東へ西へ

出来事

朝10時から和歌山市内で会議があった。
「お昼ご飯どうする?」
という話を歩きながらして、ファミリーレストランに行った。風が冷たい。
ドアを開けると、席はまだいくつも空いていた。
「喫煙でいいよ」
ぼくはそう言って席に着いた。
4人は、結局一番安いサービスランチを注文した。ハンバーグのカツだったので、まあほぼミンチカツだった。
食事が終わったら、目の前でたばこタイムが始まった。ぼく以外の3人が、みんな、たばこを吸い出した。
「えー、全員吸うの?」
今どき珍しい感じだった。

会議が早く終わったので、岩出市内まで戻って、読みかけの本を読むためにカフェのドアを押してお店に入った。ケーキ屋さんの横長のフロアの奥にカフェ用のテーブルがあった。ケーキ屋さんの椅子に座って60前の男が、ケーキを食べてアイスコーヒーを飲んで本を読んでいる。
こういう人が少なくなった。話をするかスマホを触っているか。東京ならパソコンを開いて仕事をしているか。
現在社会は、こういう感じになっている。一人でやって来て本を読んでいるのは、絶滅危惧種なのかも知れない。

京奈和に上って降りて、自宅に着くと5時を少し過ぎていた。
洗濯物が風に揺れていた。
洗濯物を取り込んで、用事をしていると妻が帰ってきた。

奈良県の橿原アルルの本屋さんに行って、幼稚園用の本を買うことになっていたので、橿原アルルに行った。自宅から35分でアルルに着いた。
京奈和に乗って奈良の五條と御所を通過して京奈和を降りたらすぐにアルルがある。
いつもは正面玄関にまわって駐車場に入るのだが、今日は空いていたので、横から駐車場に入った。

本屋さんで背表紙を眺め、本を手に取って物色しながら何を買おうか、考えていた。いい本なのかどうか、Amazonでレビューを見ながら、買うのをやめていると島田雅彦さんの本に目がとまった。この方の本はすごく面白い。深くて広い認識の中からキレのいい評論が出てくる。大学教授で若い学生を相手にしているので、昔の本を若者が使う言葉で解説するので、ユーモアが漂ってくる。

島田さんの本があった本棚から回れ右をすると、左横に長い本棚があり、真ん中遍に現代詩のコーナーがあった。どんなにいい詩を書いても、詩人としてご飯を食べられている人は非常に少ない。しかし、精魂込めて書いた詩には、心を捉えて離さない魅力がある。文章そのものに対する記憶の多くは詩と結びついている。文庫本の本棚の中から石垣りんさんの詩集を見つけたとき、妻が歩いてきた。買いたい本を選べたようだ。レジに向かう妻の後に従って、嶋田さんの本と石垣りんさんの本を抱えてついて行く。

自宅に帰えると10時を少し過ぎていた。妻を降ろしてから、今度はそのまま橋本駅に車を走らせた。大阪でマンドリンの演奏をして帰ってくる娘を迎えに行くのが目的だった。夜の橋本駅は、外灯に照らされた静かな駅だった。ちょっと待っていると階段から娘が降りてきた。

京奈和ができたので、和歌山市にも奈良にも短い時間で移動できる。橋本駅に行くのも20分かからない。東へ西へ。肉体的にも精神的にも負担は軽い。

出来事

Posted by 東芝 弘明