南北首脳会談の成功に拍手を送りたい
南北首脳会談について報じた4月28日の「赤旗」日刊紙の記事を読んだ。文在寅大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の発言を読んでいると涙がこみ上げてきた。韓国の人々や在日朝鮮人、在日韓国人の人々の姿を見ていてもこみ上げてくるものがあった。国家のトップの人々の話を読んでも、深く心を動かされるようなことはあまりないが、今回の南北首脳会談は、お互いの心情がよく表れていたので、感慨深いものがあった。
1910年の韓国併合から日本は35年間、韓国を植民地にした。日本には『歴史再検証 日韓併合―韓民族を救った「日帝36年」の真実 (祥伝社黄金文庫)』などの本が出版されている。この本は、日本帝国主義が、いかにして遅れていた朝鮮王朝の支配の下で虐げられていた漢民族を救ったのかという観点で書かれている。
植民地になった国々は、植民地になることによって、先進国の文明や文化を注入され、近代化されてきたが、同時にそれらの歴史は、民族としての自決権を損なわれ、従属させられ、主権をないがしろにさせられた歴史でもある。植民地だった国は、植民地によって近代化されたという側面をもつが、それを良かった面だとして評価できるものではない。
国家的従属問題は、日本の今日的な問題でもある。この問題の深刻さをリアルに見ている人は、日韓併合以降の韓国の歴史を日本に従属して良かったなどとはいえないだろう。
日本は戦後、徹底的にアメリカに従属させられ、日本の経済が大きく歪められている。経済的な従属は、農業や林業の破壊、食糧の受給率が著しい低下に端的に表れている。原発依存も対米従属と深くリンクしている。第一次産業の衰退によって、日本の田舎が衰退しはじめ、人口が極端に減少し、農山村の生産力がどんどん低下しているという歪みまで抱え込んでいる日本をリアルに見る場合、アメリカに従属し続けていることはいいことだと本当にいえるのだろうか。
軍事的従属は、アメリカの米軍基地の問題に端的に表れている。沖縄問題は、軍事的に従属してきた戦後の日本の歴史そのものだろう。
朝鮮半島は、日本帝国主義による植民地支配が、日本の敗北をもって終わってから、分断国家として第2次世界大戦後を生きなければならなかった。日本帝国主義による植民地支配と今日の分断国家になった経緯をふり返ると、日本の植民地支配が負の遺産として横たわっていることを認めざるを得ないのではないだろうか。
2018年4月27日の南北首脳会談は、歴史的に意味の深い会談になった。朝鮮戦争を2018年の内に集結させ、停戦協定を平和協定に転化するいう合意は、まさに歴史的なものだった。この合意に至った根底には、分断国家の悲劇があり、引き裂かれた民族の共通の深い願いがあった。
歴史は進歩していることを感じた。ソ連の崩壊や東欧諸国の崩壊によって、ベルリンの壁が市民の力によって取り除かれ、統一が実現したのも歴史的だったが、戦争も政変も経ないで話し合いによって、互いに歩み寄り、38度線という軍事境界線で民族の統一を一つのテーマにして、戦争の終結と非核化について共通の目標として確認できたことの意味は大きい。平和を基軸にして対立を解消しようという今回の努力は賞賛に値すると思う。
日本共産党の赤旗新聞は、今回の南北首脳会談を、積極的、肯定的に評価して報道した。そこにはうがった見方は存在しなかった。どうしてこういうような報道が可能になったのか。そこには、史的唯物論という論理の力も存在すると思われる。
史的唯物論の最大の力は、リアルに動いている現在の歴史を分析する上で、決定的な役割を担う。歴史は、過去の歴史的な積み重ねによって動いている。勿論社会の中にはさまざまな力が働いているが、何が歴史を動かす根本的な力なのかを、歴史の経緯の中から読み解き、現在を分析する。歴史を根本から動かしている力がどこにあるのかを見据えると、現在の動きが見えてくる。南北首脳会談を突き動かしている最大の力は、北と南の国民の願いだった。同じ民族が平和の内に戦争を終結させ、交流を実現し、分断されていた民族の統一を実現したいという力が、オリンピックを境にして大きく動き始め、この日を迎えたということだろう。
「赤旗日刊紙」は、韓国教育テレビのプロデューサーのパク・スウォンさんの言葉を紹介していた。
「軍事境界線を渡って両首脳が南北を行ったり来たりした場面に、胸がいっぱいになった。一つの民族だということを想起させる象徴的な場面だった」
大手韓国紙中央日報の新聞記者の言葉も紹介していた。
「出会いは、思ったよりも感動的だった。和やかな首脳たちの姿が心に響いた。もっと早く出会っていればよかったのに」「私は非核化を願っている。問題の解決には時間がかかると思う。お互いへの信頼を持ち続け、この出会いを忘れてはいけない。これからが大事」
ここに北と南の国民の思いがある。この思いを、朝鮮半島と深い関係を結んできた日本は、深く受けとめるべきではないだろうか。
歴史的な「板門店宣言」は冒頭の部分で、「両首脳は、朝鮮半島でこれ以上の戦争はなく、新しい平和の時代が開かれたことを8000万わが民族と全世界に厳粛に闡明(せんめい)した」と書いた。「8000万わが民族」という表現にハッとした。一般紙は、融和ムードの演出などと書いていたが、この書き方は、分断国家として引き裂かれた民族の思いを深く受けとめるものではないと感じた。
日本共産党の志位委員長の談話は、非核化への動き、朝鮮戦争の終結、停戦協定を平和協定に転換することとともに民族的和解について評価するものになっており、民族的和解については、「今回の合意が履行され、73年間に及ぶ南北分断と対立が解消に向かい、南北の人々が平和と繁栄のなかで暮らせるようになり、統一に向かうことを心から願う」という態度を示した。
この視点は、日本共産党ならではのものかも知れない。しかし、朝鮮戦争の終結と民族的和解への努力に注目するというこの捉え方にこそ、歴史的会談を読み解く大事な視点があるのではないだろうか。













ディスカッション
コメント一覧
楽観的過ぎる見方だと思います。確かに民族統一と言えば聞こえがいいけど、分断されたドイツと比べると民族意識が異なります。過去に日本が植民地支配をしましたが、それは日本が一方的に悪いという訳ではありません。そういう歴史を考えると、朝鮮半島統一というのは長い長い道のりが必要です。
もともと中国・ロシア・日本・アメリカ・・と周辺国の影響を受けながら存在した地域であり、自主的に民族統一は・・・・・なぁ~・・・・夢また夢の世界です。
私も懐疑的に見ています。
あまりにも展開がドラスティックで裏での取引が想像してしまいます。
東ドイツのホーネッカーと北朝鮮のキム一族とは訳が違うので
トントン拍子に終戦にはならないだろうし祖国統一は・・・・・。
拉致被害者含め北朝鮮国民の皆さんには気の毒ですが・・・・。
このような出来事がある度に日本に生まれてよかったな~と思う次第です。
東/西ドイツ統合は、東ドイツ民衆の圧力を、東ドイツ政府が抑えきれなくなってドイツ統合が実現しました。
その原動力となった民衆の力は、ゲルマン民族の「ドイツは一つ」という歴史的な民族意識が影響している。
朝鮮半島の場合は違います。・・・もともとまとまりがない。おまけに朝鮮戦争はいろいろな要因があるけど、いわば内乱のようなもの。同じ民族で殺し合いやる歴史がある。いくら政府が統合と言っても、民族自体に統一意識が薄い。
そりゃ・・・に統一なんかできそうにない。その地域の民族の考え方というのは、長い歴史で出来上がるものであって簡単には変えられない。
まあ・・・現状は、単なる政治ショー・・・そのショーに「できの悪いアメリカの大統領」が乗っただけ。
構図として、中国/ロシア/日本・・・のまともな政権が、北朝鮮/韓国/アメリカ・・・のバカ3人の首脳達の会談を見守っている。
しかし、アメリカの大統領が北朝鮮と首脳会談?・・・???何を話し合うのよ・・・・笑。