高校の恩師に会いに行った

出来事

選挙のお礼も兼ねて大阪に住む高校の恩師の先生を妻と2人で訪ねた。携帯のカーナビの案内で泉南の方に行く。四郷のトンネルを越えると岸和田まで1時間程度で行けるので到着できる時間が早くなった。団地の4階に住むご夫婦の前まで携帯のカーナビは案内表示をした。奥さんは明るく元気だった。旦那さんが脳梗塞になり、そこから認知症が進んだので、訪問した日はデイ・サービスに行っていた。
妻がデイサービス先に訪問できるのではという提案を行ったので、奥さんが施設に電話を入れてくれた。
施設は快諾して下さった。
「ここから近くですからすぐですよ」
「すごく穏やかになって、私にも『すまん』とか『ありがとう』とかばっかり言うんです」
施設の電話番号を聞いて、iPhoneで検索すると道順が表示される。車を停めたところからすぐ近くに施設があることがわかった。

奥さんにモナカを出してもらって、お茶とモナカをいただき、2人の暮らしぶりを聞いてから、時間が来たのでデイ・サービスの施設を訪問した。
先生は、ぼくたちが来るのを待っていた。外を見ている先生がぼくを認めたのでお互いに手を上げて挨拶した。先生がいた部屋は、玄関の横にある大広間で、女性と男性が大きなテーブルに分かれて座っていた。
ぼくたち2人は、先生の前にテーブルをはさんで座った。
「教え子の中で、東芝、お前が一番の俺の自慢や」
先生がそういったときは目頭が熱くなって、頭を下げた。優しい顔が印象的だった。
1時30分に自宅に帰るということだった。女性職員に「歌を歌ってよ」と声をかけられ、先生は照れながら五輪真弓の「恋人よ」を歌った。
歌を聞きながら涙が出てきた。先生の歌には深い味があった。ときどき、意味を取りがたいような発言もしていたのに、歌になると難しいメロディーラインを外すことなく歌われた。
低音の太い声が歌によく合っていた。
ぼくも歌うことを促されたので「高校三年生」を一緒に歌った。
訪問して少しお話しをするつもりが、思いもかけない楽しい時間になった。
施設の職員のみなさんは、実に優しく高齢者に対応していた。
「ここに来てるんやけど、楽しいんよ」
先生は何度かそう言った。

「高校時代の先生はどうだったんですか」
「笑いながら話をしていても、ぼくたちは直立不動で聞いていました」
「やっぱり、怖かったんや」
「でもまあ、俺にもいいところはあったんや」
ぼくは嬉しくなって拍手をした。

時間が来たので、先生を玄関先まで見送って、ぼくたちも施設を後にした。


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出来事

Posted by 東芝 弘明