大人が決意をもって裸の王様だと指摘する必要がある

裸の王様は、無邪気な男の子が、王様は裸だと言ったことで、忖度して見ていた大人が裸であることを確信して、「王様は裸だ」という話。
東京オリンピック準備が進むなか、東京に4回目の緊急事態宣言が発せられた。8日に正式決定される緊急事態宣言の期間は8月22日まで。これによって7月23日にはじまり8月8日に終了するオリンピックは、緊急事態宣言下での開催となった。
東京オリンピックによって感染の拡大は避けられないというのは自明のことだ。しかし、この至極当たり前の、いわば火を見るよりも明らかな問題を真正面から指摘して、中止を呼びかけている政党は、日本共産党と立憲民主党、社民党、令和新選組の4党だと思われる。多くの組織は、開催したら感染が広がるというこの当たり前のことを口に出せない状況にある。
日本にある、忖度する、空気を読むという政治的状況の下で、東京オリンピック・パラリンピックの中止を呼びかけるのは簡単なことではない。しかし、オリンピックよりも人の命が大事ということを誰かが突き抜けて指摘する必要があった。そんな中で日本共産党の志位和夫委員長は、1月21日、衆院本会議の代表質問で、今夏の東京五輪を中止し、「日本と世界のあらゆる力をコロナ収束に集中するべきだ」と主張した。この主張は、忖度と空気を読む状況が蔓延する日本の中で、勇気の必要な発言だった。日本共産党は現状に埋没しがちな政治に中にあって、突破力をもつ政党になっているのではないだろうか。
日本における現代進行形の「裸の王様」の物語は、空気も読めるし、忖度する雰囲気をも敏感に感じ取ることのできる大人が、事実を的確に指摘し、勇気と決意をもって「王様は裸だ」と言って、さらにそのことを真正面から掲げて運動を起こさないと改善できない状況になっている。日本共産党と立憲民主党は、開催都市である都議選で選挙の争点として五輪中止を呼びかけ、2つの政党の議席の合計は自民党を上回った。
一方の自民党と公明党は、真正面から東京五輪開催を訴えて選挙を行った訳ではない。自民党は6月8日に発表した政策発表時、山崎一輝幹事長によると「IOC、国、都、組織委員会などの協議結果が6月に最終発表されるので、都議選の争点にならない」と言っていた。6月7日に政策を発表した公明党はの東村邦浩幹事長は「五輪憲章で政治利用が禁止されているため、公約に盛り込まなかった」と言っていた。
日本の現実は「裸の王様」のようにはいかない。誰が見ても明らかな命に関わる事態であっても、問題がないふりをした政府の「安心安全な五輪開催」という空疎な言葉が、どんなに宙に浮こうが、どんなに空回りしても開催を前提に事態が進んでいく。緊急事態宣言を語るときには、酒類の販売禁止や「人流」の抑制を大真面目に語り、営業時間のルールを守らなかったお店には罰金を科し、その一方で五輪だけを特別枠、特別ルールにして、子どもまで観客に動員して開催へと突き進んでいる。
それはそれ、これはこれというダブルスタンダード劇を見せられると、かなり気持ちが悪い。「不合理主義と知の解体」という表題の論考がかつてあった。不合理がまかり通っていくと、知恵が解体していく。国民の目の前で妙に気持ちの悪い事態が進み、しかもその方向が破綻必至ということになりつつある。この事態を止められないというのは、民主主義の危機、議会政治の危機、日本の危機であるのは間違いない。
東京五輪を開催したら、全世界に変異株をまき散らかすことになる。「放射能は湾の中でコントロールされている」という安倍さんのウソから始まった五輪招致は、破綻した論理から始まったが、現実の危機の中で実際に破綻しつつある。








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