岩出の市来市議
岩出に行った。市議選挙が近い。人間、住めば都。岩出の人は住んでいる岩出のことを愛している。自分たちの生活の中で、街はものも言わず人生に寄り添っていく。小さい頃から大人になるまで、子ども時代は夢中で遊んでいるだけなのに、まわりの環境は、必ず心の中にいろいろなものを染みこませ、深い印象を与えていく。環境は知らない間に人間を作る。
意識は現実の反映。これは唯物論の大事な命題。そんなことは全く考えてもいないのに、生まれ育った場所はこの命題を深く心に刻んでくれる。普段、何にも考えていないのに、自分の意識の奥底に、それぞれの場所で生きていた記憶がたたみ込まれており、その場に立つと、記憶の底から鮮明なシーンが立ち上がってくる。
たとえば、母校に立ってみんな「懐かしい」という言葉をいっせいに出したとしよう。100人いれば、100人、懐かしいという中身がそれぞれ違う。懐かしさはみんな個別的だ。
岩出市をさらに住みよい街にという言葉が、住んでいる人に深く刺さるためには、一人一人の人生には、個別的な価値があることを深く理解する必要があるだろう。訴えることよりも相手から聞くこと、汲み取ることの方が大切なのは、政治の主人公は一人一人というところにあるのだと思う。一人一人に主権があるという哲学は、おそらく頭で考えているよりもはるかに深い。すべての国民に主権があるということを首長や議員が忘れ、「我々は住民のことを思って政治をしている」なんてことになったら、必ず上から目線、傲慢さが生まれてくる。
岩出市議の市来さんは、「住民の声を聴かせてください。あなたの声を議会に届ける」ということを、徹底的に大切にしている。しかもこの認識は、実際に赤旗の宣伝紙を自宅に配布して、繰り返し対話し続けてきた中で生まれたもの。15年以上、自分の足で一軒一軒訪問してきたなかでの血肉化したもの。ぼくが見習うべきものだ。一緒に訪問し、対話して市来さんの背中越しに人々に会っていると、そういう思いが湧いてきた。
「大切なことが、ぼくの目の前で生まれている」
そう感じた。人と議員との結びつきの深さがあって、それが初めて会う人との中でも、人間と人間の深い結びとなっていく。初めて会った人が市来さんを信頼していく様は驚きでもあったし、心強くもあった。
「この人を落としてはならない」
心底、そう感じる。



