台風の被害

出来事

雨はまだ激しかった。時刻は午前8時半の少し前だった。車に乗り込んで大門口橋を南に渡った。紀の川は怒ったように荒れ狂って、ものすごい速さで流れている。泥を含んだ川は土色だった。
セブンイレブンの信号を左に回った。河南県道にのって橋本方面に向かうことになる。まず気になるのは紀州食品の当たりだ。消防団員が、歩道のブロックに腰掛けて下を向いている。徹夜だったらしく疲れているように見えた。
左手の紀州食品の駐車場は池のようになり、道を挟んだ右手もかなり冠水しているように見えた。
兄井の堤防への分かれ道のところで、堤防に向かう道はバリケードで封鎖されていた。紀の川は近寄ると巻き込まれそうな勢いで動いていた。三谷橋を北に向かって渡り、信号を左折、都市計画道路を西に走った。桜谷川の周辺が気になる。町が貸し出している町民農園は、完全に冠水してプールのようになっていた。社会福祉協議会の玄関前で車イスを降ろしている人がいた。社会福祉協議会にはたくさんの車があり、慌ただしかった。
一番漬かりやすい桜谷川樋門には、数多くの消防団員が集まって、ポンプで水をくみ出していた。
国道24号に出て西に走り、佐野の笑福亭の信号を曲がり、水道事業所の前を通って愛光園に行った。1階の玄関前まで水が来ている。樋門のところには消防団員が集まって、内水の水をポンプでくみ出しているのが見える。木村酒店の信号を右に曲がってAコープ方面に向かい、駅前通りの信号を右折して、24号を東に走り、エバグリーンのところに行くと、紀陽土地に伸びる道が冠水していて、バリケードが置かれていた。紀陽土地の団地には避難勧告が出され、住民は佐野住民会館に避難している。オークワの信号を右に曲がり、国道の南側にある団地の前を通り、愛光園のグループホームの前まで行った。ここは、さっきの紀陽土地の南側だ。そこから少し先の道が水に浸かっている。
かつらぎ町内で、真っ先に住宅浸水の危険があるのは、桜谷川の樋門付近と藤谷川の紀陽土地のあたりだ。

もう一度愛光園の前を通って、今度は木村酒店の信号を真っ直ぐ西に進み、旧大門口橋の信号も直進した。畑や田んぼがかなり冠水している。ファミリーマートの信号を左に曲がり国道24号に出て西に走り、宝来山神社に行く交差点を右折した。川の氾濫はなかったが、樋門との関係で国道の南側がかなり冠水している。
国道をさらに西に行くと、下水の終末処理場の西側に流れる川のところで農地が水に浸かっているのが見えた。
さらに西に走って紀の川市に入り、紀の川にかかっている大津の橋を渡り左折してかつらぎ町に向かって戻る。西渋田に入るとサンミックという会社がかなり水に浸かっているのが見えた。役場の職員が2人車から降りたところだった。島の方も気になったので車を走らせたが、住宅地は大丈夫だった。

自宅に戻ってから、もう一度家族3人で車を走らせた。
「九度山に行きたい」
妻が心配になってそう言うので、九度山町に車を走らせた。雨足が次第に弱くなっていた。
おばあちゃんが住む九度山の雨の森は、元の高野山有料道路に向かう国道370号沿いにある。道に沿って竜王峡と呼ばれる川が流れている。
九度山駅の下の歩道橋のある交差点に行くと道案内の人が2人立っていた。高野山方向に向かう車を呼び止めている。
「どうしたんですか。雨の森に行きたいんですが」
そう言うと若い人が、
「陸橋まで行きませんか」
「はいずっと手前です」
「では通ってください」
許可が出たので、信号を右折し、反対車線の停止線に止まっているパトカーを見ながら車を走らせた。パトカーの中の警官がちらりとこちらを見た。雨の森から200メートル先の道には、泥と流れてきた流木が歩道の柵やガードレールに引っかかっていた。
おばあちゃんの家は無事だった。

話をし、しばらくしてからみんなで歩いて道を見に行った。高野山方面に歩いて行くと川と道の高さがあまりないところで川が氾濫し、道に川の水が溢れた痕跡があり、流木が大量に道の上に散乱していた。かなり太くて長い木がある。小さい自動販売機のボックス、木製の収納ケース。看板が流木に絡まるようにしてあり、道の少し先では軽トラックが横転していた。比較的新しいトラックのように見えた。
もう少し雨が降っていたら、おばあちゃんたちは危なかったかも、そんな恐ろしさがあった。
水が少し引いたとはいえ、川は水しぶきを上げて猛り狂っていた。

昨日の夜から、多くの人が待機したりパトロールしたりしているだろう。浸水対策で徹夜して、水をくみ出した消防団員の奮闘はまだ続いている。役場の職員もかなりの規模で動いているような感じだ。
おそらく山間部でも色々な被害が出ているだろう。天気は回復しているけれど、奈良にあるダムの放流との関係で、紀の川の水が引くまで、まだまだ作業が続くだろう。

「昼夜を分たぬ奮闘には頭が下がります。ご苦労さまです。ケガをした人がありませんように」

1時を過ぎると青空が広がってきた。
自宅に戻って、お昼ご飯を食べて、一般質問の準備に入った。


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出来事

Posted by 東芝 弘明