一般質問の原稿をアップしました

雑感

一般質問が終了した。ぼくの質問原稿を読みたいという方がいたので、ここにアップしておきます。今日は、1つ目の質問によって、後半、時間が押され気味になり、はしょることになってしまったので、原稿どおりの展開にはなりませんでした。アップしたものは、あくまでも原稿だということです。あしからず。かつらぎ町の一般質問は、議場と傍聴人に対し資料を配付できます。質問の中で資料に言及しているのは、ぼくが用意した資料のことです。一番下にその資料を添付しておきます。

発言通告にもとづき、一般質問を行います。
最初の質問は、公の施設等の条例整備に関わる提案です。
公の施設とは何かを明らかにするためには、地方自治法に基づいて公有財産とは何かを正確に踏まえる必要があります。資料①をご覧ください。この資料は、福島県による説明資料です。
公有財産とは、地方自治体が持っている財産の一部です。それは、地方自治法に規定され、①番から⑧番の内容を持っています。不動産である土地や建物以外にも数多くの公有財産があるということです。
本日の質問は建物に絞って行います。
公有財産は、行政財産と普通財産に分かれます。行政財産はさらに2つに分かれます。ひとつは公用財産。もう一つは公共用財産です。総務課長にお尋ねします。地方自治法は、行政財産と普通財産の区分をどのように規定しているのか、ご説明ください。

メモ
地方自治法238条の4  行政財産とは、普通地方公共団体において公用又は公共用に供し、又は供することと決定した財産をいい、普通財産とは、行政財産以外の一切の公有財産をいう。

この分類は、きわめて大事です。公有財産のうち、公用財産と公共用財産以外の一切の財産は普通財産だということです。
かつらぎ町は、毎年決算の実績報告書に「財産に関する調書」を作成して議会に提出しています。一番新しいのは平成24年度版です。これに基づいてお尋ねします。総務課長、本町における公用財産と普通財産についてご紹介ください。

メモ 本庁舎、花園支所。普通財産は旧小学校、旧職員住宅、旧町民プール。

本町の公用財産はこの本庁舎と花園支所の2つです。普通財産は、廃校になった学校関係と職員住宅および旧町民プールしかありません。従ってそれ以外の本町所有の建物は、すべて公共用財産になっています。総務課長にお尋ねします。公共用財産とはどのような性格の財産なのか、お答えください。

メモ
公共の用に供し、または供するものと決定したもの。

この公共用財産の圧倒的多数は、公の施設だと思います。総務課長、地方自治法第244条の1から3は、公の施設について規定しています。どう規定しているのか、お答えください。

メモ
第二百四十四条  普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。
2  普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。
3  普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。

福祉の増進が目的で、当該地方公共団体の住民の利用に供するもので、かつ地方公共団体が設けた施設が公の施設です。国が建設した建物は公の施設ではありません。
課長に紹介していただいた次の地方自治法の第244条の2の第1項と第2項も重要な規定です。この規定は次のように書いています。資料③をご覧ください。
第二百四十四条の二  普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。
2  普通地方公共団体は、条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止し、又は条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の三分の二以上の者の同意を得なければならない。
資料②をご覧ください。今までのやり取りを図式化するとこうなります。公有財産には、行政財産と普通財産がある、行政財産は、公用財産と公共用財産に分かれる。このうち、公用財産は本町の場合庁舎関係のみ、それ以外の建物のほとんどは、公共用財産となる。ということです。この公共用財産のほとんどが公の施設だということです。
若干、さらに図表を説明しておきます。公有財産以外の財産に物品と債権、および基金があります。地方自治法239条1項は物品を規定し、240条1項は債権を規定し、241条1項は基金を規定しています。この図の全体が地方自治体の財産を表しているということです。
私の質問は、結論からいうと、公の施設の条例を整理すべきだということと、施設を普通財産に振り分けて積極的な活用を行うべきだというものです。本町の公共用施設の中には、公共用とはいいがたい施設があります。また公の施設ではあったが、本来の目的を失っている施設もあります。
質問に踏み込む前に、総務課長にお尋ねいたします。行政財産と普通財産には取り扱い方に明確な違いがあります。どのような違いがあるのか、簡潔にご説明ください。

 

ぼくの資料では、資料①の表がこの違いを明示しています。この違いは重要です。普通財産は、私権を設定できるので、個人や団体に貸し付けることも可能ですし、払い下げることも可能になります。行政財産は、私権を設定できないことによって、公共性を失わない仕組みをもっています。そのかわりに使用には制約が発生します。しかし、普通財産であれば、自治体が経済活動のために財産を活用することも可能になり、処分することも可能になります。この違いを踏まえて、質問をすすめます。
資料⑤をご覧ください。道の駅の物産販売所、椎茸菌床栽培施設、あんぽ柿加工処理施設、柿の茶屋については、公の施設でしたが、条例が廃止されました。廃止されているので分かりやすい名前をここに書きました。しかし、これらの施設も、公の施設ではないのに、公共用施設の中に入っています。
総務課長にお尋ねします。公共用施設は、公共の用に供する施設です。団体が経済活動をおこなっているこれらの施設は、公共用施設ではありません。私は普通財産の例だと結論づけて書きましたが、普通財産にすれば、使用している団体との関係が非常にはっきりすると思います。位置づけを替えるべきではないでしょうか。

 

福祉の目的をもたない、公共の用に供する施設でのない施設は、公の施設でも公共用財産でもありません。、公用財産でも公共用財産でもない一切の財産は普通財産ではないですか。いかがですか。

 

表⑥をご覧ください。この表は総務課からいただいた資料です。25施設の中で使用料規定があるのは5施設だけです。この表の新規作物地域ブランド定着施設以下の19施設はほとんど集会所として使われています。使用料設定も2施設以外ありません。17施設は管理委託契約がありますが、条例に管理委託できることをうたっていないものもあります。また、規則への委任をうたいながら規則がないものもあります。これらの19施設は、公の施設でありながら、すべて補助金が出されています。しかし、町の施設である公の施設に対して、補助金を支給するのはおかしいといわなければなりません。これは、おそらく水道光熱費の一切を地元が負担する代わりに補助金を支給するというものです。
私は、すべての事実を把握していませんが、これらの中には、利用料を徴収している施設があります。利用料は、委託を受けた団体が管理運営上収入を得ることができるというものです。法律上違反しているものではありません。しかし、利用料を取る場合、条例に委託の規定と利用料を徴収できる規定、並びに利用料の範囲を規定する必要があります。
この表は、本町の公の施設の実態を示しています。課題が山積していることを表した資料だということです。
提案があります。資料⑦をご覧ください。
本町の公の施設について、法律に基づいて整理をすべきだという提案です。ここからは政治的な判断が必要になるので町長にお尋ねいたします。
1つは、条例及び規則を整備すべきだということです。文言の統一も必要です。条例で開館をうたう場合は、職員を置かないと開館が保障できません。職員を置いていない施設には、使用時間さえうたっていない施設もあります。また使用時間とと共用時間という文言があります。公共用団体に委託できるという規定もあったりなかったりしています。条例の中には、使用料手数料条例に規定があるものと個別条例に規定があるものがあり、この面でも整合性がありません。
2つは、使用料の規定を見直す必要があるということです。典型的なのは児童館です。これは昨年9月からの課題です。
3つは、開館時間の整備です。天野の自然休養村管理センターは、開館時間をうたっています。児童館も開館をすべてうたっていますが、閉まっている例があります。他にもこういう例があるかも知れません。
4と5は、公の施設から普通財産に変更することを積極的におこなうべきだということです。集会所としてのみ使われている施設のほとんどは、公の施設としての用途を廃止するとともに、関係する条例を廃止し、普通財産として貸し付けるべきだということです。補助金の適正化法との関係ですぐに用途を廃止できないものもあると思われるので、その場合は、工夫が必要だと思われます。経済活動を行っている施設については、公の施設のまま管理するのか、普通財産に切り替えるのかが問われています。
条例を廃止して普通財産にすれば、地縁団体である町内会や自治区に自由に貸し付けることは可能です。その際のルール作りは、建物の規模によって変わると思います。自ら建てた集会所は、地域住民が維持管理しているので、それと整合性が合うように、家賃を設定すればいいということです。大きな施設の場合は、地域住民だけで管理が困難ですから、役場が維持管理しつつ家賃設定すればいいと思われます。
公の施設と集会所的な施設を財産上も明確に区分すれば、公の施設を公の施設として適正に管理運営できるようになり、条例も非常にすっきりしたものにできると思われます。その中で今後の公の施設の活用にも新しい展望が出てくると思います。
町長、このような改善をぜひ行うよう提案したいと思いますが、いかがでしょうか。

 

公の施設の中には、法律によって運営されているものがあります。公民館や児童館はその典型です。公民館や児童館をはじめ、公の施設に対し、集会所のルールを適用することはできません。現在町が検討している地元に対し一部負担金を求めると、地方自治法244条の3「不当な差別的扱いをしてはならない」という公の施設の規定に違反する可能性が濃厚です。公の施設であるのに、集会所的な性格に着目して、一部負担金なるものを設定することは許されません。たとえば、公民館は公民館としての役割を果たすべきだということです。公の施設なのに実質は集会所になっているというのであれば、公の施設の用途を廃止して集会所に改める必要があります。建設からはるかに時間が立ち、公の施設としての目的を失っている施設には、こういう判断が必要になるということです。
この問題の最後として町長にお尋ねします。
改善の事務をすすめるためには、総務課による統一・調整的な検討と担当課による個別の検討がどうしても必要です。担当課による検討の中には、施設の廃止などの課題が含まれます。ケースによっては、複合施設の設置を検討する必要があります。こういう検討を行うつもりがあるのかどうか。お答えください。

 

 

2つ目の質問は、長期総合計画に基づく定住支援策の具体化についての提案です。
資料⑧をご覧ください。非常に小さいグラフですが、これは、第4次長期総合計画の基本構想に示されている人口推計と人口目標の関係を示したグラフです。平成34年の人口推計は、15,027人まで減るとしています。これに対して目標人口は17,000人に設定されています。約3,000人減少する推計に対し2,000人の減少に留める努力をしようという計画ですから、毎年300人減少するのに対し定住者を100人増やそうというものになっています。
企画公室長にお尋ねします。この人口目標をどのようにして実現するのか。ご説明ください。

 

メモ
雇用の確保・充実、安全安心な定住環境、交流人口の拡大という取り組みを通じて、若年層等の人口流出の抑制、新たな定住人口の拡大、交流人口の拡大による活性化を通じて目標人口を達成する。

 

このことを文章で示したのが、資料⑩です。これは、長期総合計画の24ページに書かれています。町長にお尋ねいたします。若年層等の人口流出の抑制、新たな定住人口の拡大、交流人口の拡大による活性化を通じて目標人口を達成する。というのが、今回の長期総合計画を貫く中心命題だと思っています。町長はどうお考えですか。

 

私は、長期総合計画に書かれている交流人口の拡大と定住人口の拡大への取り組みを具体化するために、今回の一般質問を行っています。現時点では、この取り組みは、本格的にははじまっていないと考えています。
資料⑪をご覧ください。和歌山県は、「田舎暮らし応援県わかやま」というホームページをつくり、和歌山県への移住推進のための具体化をおこなっています。この資料は、移住推進のネットワーク図を示したものです。産業観光課長にお尋ねします。本町は、資料⑫と⑬にあるように県内で移住推進を行っている17市町村のうちの1つです。担当者である産業観光課の三木君は、ワンストップ相談員という名で、「チャンス、現役世代のみなさんへ」という見出しのチラシに顔写真と名前が掲載されています。この事業について、本町の取り組みと実績をご紹介ください。

 

メモ
平成22年度から天野が加わった。4世帯12人 和歌山県内 401世帯721人

 

調べてみて驚きました。田舎暮らしの取り組み、移住推進の取り組みは、イバラの道のようなイメージを持っていました。ところが、天野に行き、町の担当者の存在を知り、話を聞き、県に取材をすると、田舎暮らしの取り組みは、まさに京奈和自動車道が一気に開通するように、高速道路のような道が広く太くできていることが分かりました。「県は田舎暮らし応援県わかやま」というパンフレットを作成し、取り組んでいる17市町村を全部紹介しています。かつらぎ町は、紀美野町の次に2番目に紹介されています。かつらぎ町天野「標高450メートルの盆地に広がるのどかな田園風景」田舎暮らしの先輩の言葉も載っています。
企画公室長にお尋ねいたします。このように広く太い道ができているのに、しかも平成22年度から本町でも、県の「田舎暮らし応援県わかやま」の取り組みに呼応して事業展開が始まったのに、どうして長期総合計画の具体化として位置づけられ、広げられようとしていないのか、お答えください。

 

分かりにくい答弁でした。
和歌山県はつなぎ役を果たしています。年に一回、大阪で「田舎暮らしフェア」が行われます。田舎暮らしのセミナーは、名古屋や東京でも開かれてきました。和歌山県は、いわば全国を視野に入れて、積極的に和歌山県への移住をアピールしています。この取り組みにかつらぎ町の天野も参加しています。「田舎暮らしフェア」で知り合った方が移住した例も生まれています。
県の担当者は、移住推進事業を通じて、①地域の担い手ができ、できなくなっていた行事も復活できる、②地域の誇りを取り戻し、雇用も生まれる。若者が帰ることのできる地域になると語っていました。この話は、かつらぎ町以上に過疎化が進行している地域における変化だと思います。爆発的な変化は起こらないけれど、移住促進の取り組みは、地域おこしと活性化、地域づくりが一体になった取り組みになっていると思います。
産業観光課長にお尋ねいたします。
移住推進事業は、行政の担当職員をワンストップ相談員もしくはワンストップパーソンと呼んでいますが、同時にもう一つ重要なしくみを持っています。この仕組みがあるかないかが、補助金を受けることができるかどうかの試金石にもなっています。地域に必要な仕組みとは何か、お答えください。

 

 
メモ
受け入れ協議会が必要

 

なぜ、受け入れ協議会が必要なのか。県は、地域住民の中に受け入れ協議会がなければ、補助金の適用を認めていません。地域には地域の文化やしきたりがあり、町内会や自治区のさまざまな運営ルールがあります。このことをきちんと伝えて地域に馴染んでもらわないと、せっかく移住しても定着率が悪くなるようです。住民による受け入れ体制とおもてなしの精神がなければ、移住推進は成功しないということです。移住は貸してもらえる住宅の橋渡しや家の持ち主との契約、住宅の改修、仕事の確立、企業のお世話など多義に渡ります。天野では、少ない人でも5回、多い人なら10回お会いしてはじめて実現するという話もありました。
資料⑭をご覧ください。これは、天野の里づくりの会のホームページから取ったものです。「田舎暮らしの7カ条」と書いています。これは、移住する方に最初にお配りするものです。「現金はいる、プライバシーは無いと思え、農業で飯は食えないと思え、参加を求められる地域行事の多さを覚悟せよ、運転免許は必需だ、自分の今までの価値観は通用しないと思え、自然は時として大きな脅威になる」。厳しい言葉があえて書かれています。移住には覚悟がいりますよということです。町内会や自治区のルールも伝えてあげないとなかなかなじめません。資料⑮は受け入れ協議会があれば、活用できる県の住宅改修補助金の要綱です。これ以外に県には、起業への補助金100万円、移住者農林水産就業補助金50万円などの制度があります。
町長にお尋ねします。私は、「健康寿命日本一」と同じように「田舎暮らし応援かつらぎ」を宣言して、かつらぎ町全域を移住推進地域になるように努力し、各地域に受け入れ協議会を組織し、空き家を探し、貸してもらえる交渉を進めるとともに、移住を積極的に推進するような運動を組織すべきだと考えます。本年度をこの取り組みの元年になるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 

 

私は、住民との協働による地域計画をつくるときに、この移住推進事業が地域計画の1つの核になると考えています。この取り組みは、かつらぎ町のすべての地域で具体化できるものであり、この事業への取り組みが、自分たちの地域を見つめ直し、地域の良さを再発見し、地域の誇りを再確認するものになると思います。この事業は、各公民館単位でも推進でき、学習事業としても展開できる面白いものです。住民レベルで積極的な運動が組織されることを願って、私の一般質問を終わります。

説明のために使用した資料は以下のとおりです。
2014年3月一般質問資料.001
2014年3月一般質問資料.002
2014年3月一般質問資料.0032014年3月一般質問資料.004
2014年3月一般質問資料.005
2014年3月一般質問資料.006


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雑感

Posted by 東芝 弘明