本と人生
人間の人生。一度だけの人生。同じ人生であるならば、幅と深さをもった人生にしたい。人間と動物との違いのひとつは、学ぶ生き物だという所にある。生活に精一杯の生き方をしていると、日々の仕事に追われてしまい、どうしても幅や深みのない生き方になってしまう。
しかし、貧しくても、できることは、本を読むことだと思う。本は、他人の人生の経験や知見を分け隔てなく伝えてくれる。
壁があるとすれば、それは自分の前にある。その壁は自分自身の読む力に他ならない。読んでも理解できない、読み通す力がないなど、ときには、自分自身ではどうしようもない事情がある。学校に行けなくて本を読む力がない場合は、夜間中学など、学び直しの機会が必要になる。学びたいと真剣に思っているときの学びは深い。
一定の基礎的な学力があり高校等を卒業できた人は、本を読む力がある程度は身についている。その力をどう生かすのかは、その人の過ごし方次第。物事について考えるときに、幅の広い知識や学問に支えられている人は、物事を深く豊かに捉えられる。懐が深くて幅が広い人に出会うと、話が豊かに展開していく。そういう会話や出会いに触れることができると、人生は楽しくなる。
ぼくたちの目の前には、人類が文字に記してきた膨大な財産が山のように積み重なっている。その中から本を取り出し、本から学んでいけば、やがて自然に人は、賢かった人々に導かれて山を登ることになる。引っ張られるように。導かれるように。
読みながら登っていく行為は、次第に自分の体の中と本とがシンクロしていく過程になる。この過程が、自分の人生体験とも重なってひとつの織物を紡いでいくので、学ぶことは、直截人生を豊かにする力になる。
ぼくは、人類の豊かな本の山の前でそれを眺めて少しずつ山を登っている。ぼくの山登りは、ほとんど入口に留まっているのだけれど、それでも自分なりの広く豊かな感性が身についていると思っている。学ぶと見えてくるものがある。それは、一つのことを聞いて、数多くのことを感じることのできる感性を与えてくれる。読書は、人生の豊かさに深くつながっている。深く学べば、高い山に登ることになる。












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