小澤征爾さんという人に心惹かれて

雑感

TKY201309180622

ozawaseiji

NHKのあさイチを見ていると、小澤征爾さんが登場した。赤いダウンジャケットを着て出てきた姿は、ものすごくラフだった。普段着のままスタジオに遊びに来たような感じだった。
79歳という年齢の小澤さんは、何も飾らず、何の格好もつけず、自然体で物事に向きあっている人だった。指揮者であるときの姿には、鬼気迫るような感じがある。真剣さが熱い力で伝わってくる。この方は、自分の地位や名誉には関心がなく、「世界の小澤」と呼ばれても、まったくおごり高ぶったりしない。小澤さんのように生きるには、どうすればいいのだろうか。
もしかしたら、自分が真剣に取り組みたい音楽というものに、真っ直ぐに向きあう中で小澤征爾さんというものは出来上がっていて、その中にある真摯さが、生き方のすべてにつながっているのかも知れない。純粋で謙虚で地位や名誉からものすごく遠いところにいる人ではないか、というのが小澤さんから伝わってくるものだった。
「指揮をしているときにおならをしたことはありませんか」
という問いが視聴者から寄せられた。
こういう質問が小澤さんに対して向けられるのは、普段の気さくな小澤さんをよく知っているからだろう。
「おならはしたことないですね」
これが答えだった。
「カリスマ性はどうやったら身につきますか」
という問いに対しては、「カリスマはないですよ」という返事が返ってきた。

話の神髄は指揮とは何かにかかわるところだった。
「指揮というのはどういうものですか」
「映画監督と似ていると思いますが」
「映画監督とは、違うと思いますね。音楽は、作曲家の曲がすべてなんですよ。譜面を読んでいるとどういう気持ちで曲を書いたのかも見えてくるんですよ。楽譜にすべてがある。メトロノームのテンポが66とあれば、これ以外にはあり得ないです。この音、音の長さ、全部楽譜に書いてある。指揮者は、楽譜を読み込んで作曲家の作曲どおりに演奏するということがすべてですね。音楽は、遅かっても速かってもダメ、音が高くても低くてもダメなんです。楽譜を読んでそれを全部自分のなかにたたき込んで指揮をするんです」

指揮をする中で指を譜面台にぶつけて、右手も左手も骨折したという話も紹介していた。指揮に全身全霊をつぎ込んでいる姿が節くれて曲がっている指に表れていた。

小澤さんは、オーケストラをバスに乗せて前宣伝なしに演奏をしてまわっているのだという。観客が楽団員よりも少ないこともあったという。もうひとつ、山の中の中学校に30年も演奏に行き、お返しに中学生が歌を歌ってくれるのだという。そういうことを楽しそうに話すのを聞いていると、何だかこちらにはジーンとしたものが伝わってくるものがあった。テレビに引き込まれながら見ていると、自然と涙が溢れてきた。人の純粋な心に触れて、心が震えるような感じがした。


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雑感

Posted by 東芝 弘明