3月会議、町長の挨拶についての感想

かつらぎ町議会

3月会議の初日、町長の所信表明が行われた。
一般会計の予算総額は、111億7700万円、前年度比8億5900万円の増となった。
国道480号沿地域振興交流施設建設(物産販売所)、妙寺団地建て替え、天野地域交流施設整備(旧天野小学校の改修)、西渋田児童館改築事業などが予算増額の要因となった。
現在かつらぎ町が取り組んでいる建設事業及び取り組もうとしている事業は、京奈和自動車道かつらぎ西パーキングエリア地域振興施設、国道480号沿地域振興交流施設、花園ふるさとセンターの改築、妙寺団地建て替え、天野地域交流施設整備(旧天野小学校の改修)、西渋田児童館改築、妙寺公民館の耐震改修、旧新城小学校の耐震改修(交流施設になる予定)、かつらぎ西部公園におけるパークゴルフ場建設、地域福祉センターの改修、花園守口ふるさと村改修、こども園2園の建設(1園は改修)などである。

町長は、起債事業や補助事業、交付金を活用して、国・県の財源を確保できるものを重視して事業を行っている。町の自主事業の場合も、一生懸命国や県の財源を探すという姿勢が貫かれている。このような予算の組み方は、必然的に建設事業中心のものになる。この事業の仕方が本町のハコモノ事業オンパレードのような事態を生み出している。
今回の予算は、バブルの頃に行われていた「補助事業以外の事業はやらない」という方針とほとんど変わりがない。

一言で言うならば、今年度の予算は、おもちゃ箱をひっくり返したような予算となった。おもちゃには色々なものがある。一つ一つのハコモノには、それぞれ特徴があるのだけれど、共通しているのは、それぞれの事業がよく精査され、どのような事業展開を行っていくのかという見通しがあいまいなものが目だつところにある。
パーキングエリアと四郷につくられる物産販売、ふるさとセンターは、すべて指定管理によって運営される予定だ。本町は、事業の見通しが曖昧なまま、丸投げ状態で指定管理するような傾向にある。ふるさとセンターの場合は、共立メンテナンスという、ホテルなどを多角的に経営して全国展開している業者に指定管理したので、この業者からの提案もあって採算の見通しの取れるような事業になっていく見通しだが、パーキングエリアや四郷の物産販売所は、議場で質疑をしても、議論が伯仲してしまうようなあいまいなものだった。

町職員の定数をどんどん削減し、職員の事務量が増えている中で、職員の多かった時代と同じような建設事業のラッシュ状態をつくっているなかで、ハコモノを建設することが事業の中心になってしまっているような感さえある。
ハコモノは、事業を展開するために行うものなのに、建てることが目的化しているような傾向は極めて危険だ。全国の多くの自治体が、バブルの時にハコモノをどんどん建設し、事業を破たんさせた事例がたくさんあるけれど、かつらぎ町も同じような誤りに陥る可能性がある。
本町も少子高齢化、過疎化、地域経済の衰退という深刻な事態に直面している。この事態を踏まえて、長期総合計画が策定されている。この新しい長期総合計画は、建設事業中心ではなく、どのようにして地域の活性化を図るのか、という点に軸足を置いたものになっている。しかし、この計画にもとづいて、現町長が事業を実施すると、ハコモノ建設が目白押しになる、というのは、現在の本町を取り巻く状況、時代認識がどうなっているのか、疑いたくなるようなものだといわなければならない。

起債事業と補助事業、交付金事業を中心にハコモノ建設ラッシュを繰り返していくと、自治体本来の自主的で自覚的、主体的な運営が見失われていく。国や県の財源を確保して事業を展開すれば、自治体は大きな予算を組むことが出来るのだけれど、これらの事業に圧迫されて、自治体独自の事業展開に障害が出てくる。今の時代、地方自治体は、自治体が直面している課題に対し、ソフト的な事業に知恵を絞り、地域経済の活性化や住みよいまちづくりをめざすべきなのだが、肝心要のこれらの事業が後景に押しやられてしまう。
小学校卒業まで無料になっている子どもの医療費を中学校卒業まで延長するための予算は500万円。今年度は、わざわざ町長の挨拶で財源について検討する必要があるといいつつ、見送ったという説明があった。毎年新たに500万円の財源を確保するというときに、財源の見通しが立たないという理由がよく分からない。今年度、ハコモノ建設を中心に行ったので取り崩した財政調整基金は、3億4800万円。この財源を中学校卒業まで医療費を無料にする事業に当てると、70年間無料制度を維持できる。建設事業のために注ぎ込まれる一般財源は、起債や補助がつけば、大きな額になっても惜しくはないが、単独で500万円の財源を使うのは惜しいという考えなのだろうか。

一つ一つのハコモノ建設がムダだというのではない。それぞれの事業には、必要な理由がある。それだけに一つ一つの事業の内容が精査され、建設後の事業展開に力点を置いた計画があれば、このような予算が組まれていても、事業を軸に希望が開けてくるのだが、建設が目的のようになってしまうと、事業展開が極めて不透明なものになる。

パーキングエリアと四郷に建設される物産販売所は、建設後、数年間で事業の成否が明らかになる。現時点での丸投げ状態に近い事業展開では、破たんも懸念される。これらの事業が、町長の評価にも深く関わってくる。

おもちゃ箱は、ひっくり返して元に戻すことが楽しかったりする。個々のおもちゃの一つ一つに魅力がある場合と、たくさんおもちゃがあること自体が楽しいということもある。おもちゃ箱をひっくり返したような予算というのは、ひっくり返す楽しさに力点がある予算だ。自治体としての時代認識と行政姿勢が問われている。

かつらぎ町議会

Posted by 東芝 弘明