事件発生
妻と娘が買い物に行った。
イオンにあるサンクゼールの出店でジャムを買っていると、ウドさんがテレビの取材にやってきていて、取材を受けたらしい。
「よく買うんですか」
「ええ、まあ」
という感じだったらしい。
「でもね、あんまり話できやんかった」
「テレビに出るかもしれんで」
「ほんま、見る見る」
岩出の幸の湯で夜はお風呂に入った。女の人でボディービルをやっている人がお風呂に入っていてびっくりしたようだ。
「女の人でも筋肉もりもりで、ちょっと気持ち悪かった。おばあちゃんとちょっとぶつかりかけたんやで」
なんだか、筋肉もりもりの女の人を少し想像してしまった。
「それでね」
と娘が帰ってきてからひそひそ話になった。
「お母さん、うっかりしてて、お店からハンドバックを腕に通して、レジを通らずに店の外に出てしもてね。お店の人に呼び止められたんやで」
「うん」
「それで、店の奥に通されて、万引きやと疑われてね。お母さん、逆ギレして、『絶対に万引きなんてしていません』っていったんや。私は黙って聞いていたんやけど、汗いっぱい出てきたわ。それでね、偉いさんが出てきて。偉いさんが謝ったんや。お母さんてすごいで。私、もう恥ずかしかったわ」
今日は、ものすごく色んなことがあったようだ。
ぼくは、娘の話を聞きながら、議会広報の一般質問のサンプルページを作っていた。
「お父さん、今日は何の日か知ってる」
「知ってるで。エープリルフールやろ」
「そうやで」
「さて、いくつ嘘をついていたでしょう」
「えーっ」
なんだか、すっかりだまされてしまった。ウドさんのテレビ取材はなく、ボディービルダーも、ハンドバッグ事件も存在しなかった。
綺麗に3つもだまされた。
