中空構造とは?
『中空構造日本の深層』(河合隼雄著)をようやく読み終えた。こういうたぐいの本は、ほとんど読んだことがない。河合氏(故人)はユング派精神分析医。本人は本の中で心理療法家と名乗っている。京都大学教授、国際日本文化研究センター所長、文化庁長官などを歴任。非常に有名な方だ。
日本の思想の中心には中空構造があり、西洋のような単なる二律背反的なものではない、としている。中空とは、対立しあう中間に何の活動もしない「無為の中心」というものであり、それによってバランスが保たれているのだという。
二律背反的な対立を好まず、責任を追及していくと「一体誰がこの問題に対し意思決定したのか」さえはっきりしなくなっていく。そうなる原因は中空構造にある。これが河合氏が展開した中空構造だと思われる。
こういう構造を持つ日本的な思考のあり方は、母性性社会というところから来ているようだ。母性という中に何もかも包摂していくことと中空構造とは切り離しがたく結びているらしい。明治以降の家父長的な家の構造というものも、実は社会と家族とを一体のものとして把握し、社会的規範の中での家族に比重があったのだという。日本の家族というものは、父性的な切り分け、つまり自立した個人が確立しているという考え方によって成り立っているのではなく、世間の中の動きに家族を合わせて行くという傾向の中にある。
このような話は、なかなか興味深かった。具体論として書かれていたことでハッとさせられたのは、日本の核家族についての論評だった。
アメリカなどの国は、父性性の強い国なので、各家庭の中の教育方針というものが、明確に存在しているのだという。しかし、日本の場合は、大家族の中でおじいさんやおばあさんから学ぶという母性性の中で、家庭の教育が緩やかに受け継がれていくとしていた。この社会と一体となっているじわじわと自分たちを取りまき、包摂してくる傾向を嫌って、日本は核家族化してきているが、母性性から逃れたいという形で核家族しているのであって、個人の自立によって成り立っているのではないので、家庭教育には、アメリカのような信念がないのだという。母性性からの逃避は、結局は社会からの逃避につながり、隣近所との付き合いや親戚との付き合いを希薄なものにしている。
この指摘の中で、アメリカなどの方が、親戚づきあいが濃いという話があった。
核家族の教育方針のなさがあることを踏まえて、父性の復権、つまり明治から第2次世界大戦が終わるまでの家父長的なものの復活を求める傾向に対し、河合氏は、そんなことで家庭が抱えている問題は解決しない、ことを指摘している。家庭で発生している諸問題には、妙案がないと書いている。心理療法家ならではの指摘だと思う。
「面白いから読んでみてよ」
本を貸してくれた人に会うときには、この本のことが話題になる。
河合氏が生きていたら、今日本国中で若者が立ち上がり、自分の言葉で「戦争法案反対」を叫んでいる姿をどうとらえるだろうか。個人の呼びかけによって集まり、立ち上がり、主張している姿は、民主主義の発展、個人の自立につながるものだと肯定的に評価するだろうか。
今日、8月30日は、安全保障法案反対で国会を12万人が包囲した。この運動に呼応して全国では100万人運動を展開しようと呼びかけられた。かつらぎ町では午後5時30分から役場前、オークワ前、セブンイレブン前で安全保障法案反対をみんなで訴えた。横断幕4枚、プラカード、ハンドマイクによる音の出る訴えだった。








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