ソクラテス、家に帰ればただの人 2005年12月4日(日)

雑感

「ソクラテス、家に帰ればただの人」
何かの本でこういう下りがあった。
哲人ソクラテスでも、家に帰ったら奥さんにガミガミ言われ、役に立たず失敗をして、挙げ句の果てに子どもにまで説教される、というような意味だった。
まず、自分はソクラテスなどとは思っていない。みじんたりとも。ただし、議会などでは、質疑を臨機応変におこない、一般質問でも相手に鋭く迫っているという自負はある。
自分では、かなりな手応えを感じたりする。
しかし、自宅では妻と娘にこてんぱんにやり込められたりする。
今日の昼の出来事がまさにそれだった。
お昼はスパゲティだった。冷凍の四角いパスタ(?)の中にカボチャのすり身が入れてあるもので、8分間ゆでるというのが調理方法である。
お鍋に水を入れ、沸かし、パスタを手際よく入れる。8分が経過したように感じた。
「もう上げてもいい?」
ぼくがそう聞くと、
「まだ8分もたってないやろ。時間ちゃんとはかったんか?」
妻は目をつり上げた。
「ううん、計ってない」
「そんなに、急いでるんやったら、もっと早よ帰ってきたらいいんやんか」
「そうじゃなくて、8分たったと思うから」
「たってないやろ。することはなんぼでもあるやろ。そんなに暇やったら、ミックスジュースでも作ってよ」
「……○×△□」
反論は、口をぱくぱくするだけ。声に出していったら、怒りが増幅されて爆弾のように落ちてくる。
台所には、真新しいミキサーが置かれていた。
ミキサーの台の上に容器をセットしようとすると、再び妻が声をかけてきた。
「さきにセットしてから乗せるんやろ。何してんのよ」
だんだん語気が強くなる。
ガラス容器の部分と歯の部分をいわれたとおりセットし、台の上に乗せた。
バナナ2本、オレンジジュース、牛乳を混ぜる。
妻がふたをしてミキサーにスイッチを入れた。
勢いよくミキサーが回ると歯とガラス容器の付け根の部分から牛乳がこぼれ出た。
「何よ。きちんとしまってないやんか。なんで牛乳が出てくるんや」
「えー、きちんと閉めたで」
「閉めてないやんか。こぼれとるやろ」
「あっ、ゴムパッキンをはめるの忘れとるわ」
この時点で娘が怒り出した。
「ううん、うーん、お父さんはもう、ほんまに」
妻が怒り始めると、娘が一緒に歩調を合わせて怒り始める。
妻にしかられてショックを受けた後、娘にだめ押しされると、骨身にこたえる。
「ソクラテス、家に帰ればただの人」
──これを誰が書いたかは、分からなくなってしまった。しかし、この言葉がリフレインされて胸に迫ってくる。
でも、この変わったスパゲティはおいしかった。
美味しい料理は、ご機嫌を立て直す。
めでたし、めでたし。


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雑感

Posted by 東芝 弘明