通夜の席

雑感

台風が直撃するというので心配になってきた。夕方もまだ風は穏やかだった。6時から行われたお通夜に参加した。亡くなられたのは同級生の旦那さんのお母さんだった。参列した同級生の女性は「いくつになっても親の死は悲しい」と言った。数年前に自身の母を亡くした彼女の言葉には、彼女の母親の姿が重なっていた。
人生は短い。子育てが終わり子どもが家庭を持つ親の世代になると、自分の老いが隣にやってくる。順番。ところてんのように押し出される感じ。でも、まだいかほどのこともしていないとも思う。
「読んでいない本がこんなにたくさんあるんですよ」
死神が横に立って話しかけてきたら、そういう風に言いたい気もする。
「多くの映画ファンが最高の映画だと言った『天井桟敷の人々』も見ていないし」
そう言うと、死神は、「ビデオを録画したのを知っているんですよ。でもあなたは最初の部分をちょこっと見て、見るのを止めたでしょ」と言い返されそうだ。
「いまはまだいいか」という気持ちになるのは、「まだ時間はある」と思っているからだろうか。

通夜の後、同級生たち数人と残って話をしていると、夫婦が入れ替わるように話しかけてくださった。旦那さんは今年の4月以降、退職されて自宅にいる時間ができたので、親子の良い時間を過ごせたようだ。お母さんは安心して穏やかな日々を過ごし、次第に命の灯を小さくしていったような感じを受けた。

セレモニーホールの外に出ても雨はほんの少し降っていただけだった。
自宅に戻っても雨戸は閉めなかった。


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雑感

Posted by 東芝 弘明