通年議会の総括とは何か

雑感

松岡新議長の公約の3番目、通年議会の総括と議会の条件整備については、議会基本条例の見直しの中で基本的には終わっていると言っていいだろう。その上で、あえて総括に言及してみよう。

通年議会というのは、単に枠組みの話であって、通年議会によって、議会が多忙になっているというのは、検証すれば違うという答えになると思う。
かつらぎ町議会の通年議会は、1月の最初の議会のみ、町長による議会の招集が行われ、ここで年間の会期が決定される。1月8日から12月26日頃までというような形で。通年議会というのは、この枠組みを中心になり立っており、議会の定例会であった3月、6月、9月、12月にそれぞれ、まとまった議会日程をとって本会議を行っている。今年から12月会議までの議会日程を1月に全部決めたことによって、年間の議会日程が1月に決まるようになった。これは1年間の見通しをもって議会を開催できるという点で、通年議会のメリットだと思われる。

会期を3月、6月、9月、12月と分けて行っている通常の議会で言えば、公式に年間の議会の会議日程を決めることはできない。1年間、議会日程をあらかじめ決めることによって計画が立てやすくなったのは間違いない。
もう一つのメリットは、この定例会的な議会以外の月に開く議会のことだろう。今までは臨時議会という考え方だったので、短期間で臨時議会を開くことはできなかった。今は、町長局の要請を受けてかなり柔軟に議会本会議を開くようになったのと、一定の会議期間を取る発想が生まれて会議期間をもった本会議が開かれるようになった。もちろん、こういう方法を採用すると議会はそれだけで回数が増えることになるが、徹底した議案審議を保障するために会議の期間を設けることは、いいことである。

かつらぎ町議会の場合、9月に決算案が上程され、決算特別委員会がつくられて、近年では10月に集中して委員会審査を行うようになっている。この決算審査を踏まえて開かれる10月末の本会議は、決算審査のための本会議という性格を持つようになった。単なる臨時議会の延長ではない本会議が10月に開かれるようになった。これは通年議会の実施による変化だったと思われる。通年議会に移行する以前は、12月会議で決算認定が行われていたので、機動性のある議会へと変化したと言えるだろう。

通年議会の実施によって、委員会による所管事務調査や特別委員会の審査・調査が充実するようになった。しかし、これは通年議会の実施によって充実してきたというよりも、委員会の活動が活発化したことによって起こった側面の方が強い。一旦こういうように変化した委員会の開催は、通年議会をやめたとしても、あまり変わらないと思われる。
通年議会は、柔軟に物事を考えるきっかけを与えたといえる。1年間を通じた会期なので、委員会開催の手続きがほんのわずか簡単になったし、請願・陳情の取り扱いと審査が通年になり、受付も常時というように変化した。これは住民にとってメリットになっていると思われる。通年議会によって、請願・陳情は、直近の本会議に報告して、採択することもできるようになった。この点は、住民の目から見てメリットだろう。

委員会の開催の仕方を再検討するというのであれば、委員長の果たす役割を見直すことがカギだと思われる。委員長がどれだけ自分で、事務局を頼らずに委員会の準備をするかどうか。ここに運営を効率化するカギがある。しかし、委員長の提案が充実すればするほど、より一層忙しくなるという側面も合わせ持つだろう。

長く議会だよりの委員長をさせていただき、今回もこの任務に就かせていただいた。議会だよりは大変忙しいということで、敬遠されるような傾向が生まれた。しかし、それはいったいどういうことだろうか。
議会だより編集特別委員会のメンバーでない議員は、広報広聴特別委員会を構成しているが、こちらの委員会が、住民懇談会を盛んに実施し、そこで得た課題やテーマを議員が責任をもって深め、政策提言に生かすようになれば、議会だより編集特別委員会以上に忙しくなる可能性がある。内容が充実できるかどうかは委員長の仕事にかかる。いずれにしても、委員会活動の内容を充実させようと思えば、議員が独自に自分で調査研究しないといけない。

住民の代表である議員が、その任務を積極的に果たそうとすればするほど、忙しくなるのであって、それは、通年議会に原因があるものではないというのが、本当のところだろう。議員が汗をかけば忙しくなる。それは宿命だろう。

かつらぎ町議会は、まだ予算や議案の修正を盛んに行っていない。条例案の提出もほとんどない。この領域に足を踏み入れないと、議員の責任を果たしている、議会改革を進めているとは、なかなか言えないのではないだろうか。この領域に入っていくためには、議員のスキルアップが求められる。今の段階で忙しいと言い、なんとか改善したいというのは、根本的に話がずれている可能性がある。

議会改革で目指すべきものは何なのか、それを見据えて議論しないと、方向を見失うだろう。


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雑感

Posted by 東芝 弘明