一般質問のテーマ設定とは何か?
他の議員の批判ではない。しかし、問いたいのは質問の組み立ての仕方だ。かつらぎ町の一般質問は、国会の予算質疑と同じ形で、会話形式の一般質問となっている。問いと答えが繰り返され、往復1時間という形だ。この形式を踏まえた上でどのような質問になるのか。
まずは、ぼくの今回の通告書の文書を引用しよう。最近の質問事項は2点にしている。1つの質問の持ち時間は約30分というつもりで準備する。まず質問のテーマは以下のとおり。
核兵器廃絶を推進するために、ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会との協力・共同の発展を
次に以下が質問の要旨
日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は2024年10月11日、「核兵器の使用禁止、廃絶を求め続けた運動が評価され、ノーベル平和賞を受賞した。80年前に広島・長崎に原子爆弾が投下され、非人道的な被害を受けた被爆者は、1956年8月に被団協を結成し、今日まで核兵器廃絶の運動の先頭に立ってきた。被団協の結成宣言には「あの瞬間に死ななかった私たちが今やっと立ち上がって集まった」と記されている。
被団協が求めているのは、核兵器廃絶と核兵器禁止条約への日本の参加にある。かつらぎ町は、一地方自治体としてすべきことがある。その力は決して小さくない。被爆者一人一人が、自らの苦しい体験の証言を通して訴え続けてきたことがノーベル平和賞につながったように、かつらぎ町が国に対して核兵器の使用禁止条約への参加を求める意思を示すことが、被団協の運動と力を合わせることになる。議会も含め、核兵器禁止条約への参加を求める宣言をすべきだということも含めて提案する。
テーマと要旨で、ぼくが何を結論として質問するのかは、最初から鮮明になっている。したがって町当局の側からみると、
「東芝議員が何をテーマに質問しようとしているのかよく分からない」
ということにはならない。テーマと要旨を鮮明にして、質問を組み立てはじめる。料理に例えれば分かりやすいだろう。
「親子どんぶりを作ります」
これは鮮明だということだ。作ることができない状況にあると仮定して、
「作るためにはキッチンが必要、足りない食材は鶏肉と卵です。これを用意すれば、親子どんぶりは作れるでしょう」
これがぼくの質問になる。なぜ親子どんぶりなのかを明らかにする必要があるし、親子どんぶりとは何かという定義も必要になる。状況を把握した上で鶏肉を用意する必要があるが、それは予算的に見て可能だということも明らかにしなければならないし、卵の調達の仕方も明らかにする必要がある。ケースによっては、作る職人の確保が問題ならば、職人を用意しようという提案も行う。
これが一般質問の具体的な内容になる。質問のテーマと要旨が明らかになっただけでは質問は終わらない。実行に移すためには、より具体的に肉薄する必要がある。テーマと要旨の中には、無限の課題があるということだ。
ここからは一般論。他の議員の質問項目の中には、たとえば、買い物難民の問題について、当局はどうお考えでしょうか。というものがある。他の自治体の共産党の議員にも、「耕作放棄地の雑草が他の畑や民家に迷惑を掛けている。この問題がいかに深刻化を自覚していますか。当局が自覚しているならば、何らかの方策を打ち立てるべきだ」というものがあった。買い物難民問題にしても、この耕作放棄地の雑草問題にしても、これでは問題は解決しない。当局に具体的な案と計画が実際にあって、実行されているのであれば、こんな質問は必要がない。仮に対策がある場合は、踏み込んで質問して事業の改善を求めればいい。
テーマを設定して、当局の見解だけを聞くのであれば、各課に行って「立ち話」をしたらそれで終わる。一般質問という貴重な時間をさいて質問する必要はない。
中には、全国の先進事例を紹介して、かつらぎ町でも実施してみては?という質問もある。これも極めて不十分だと思う。先進事例を引用するのであれば、本町でも「こうすれば実現できる」という具体論まで落とし込まないと質問にはならない。
「国保のことを質問しよう」とか「空き家問題を質問しよう」ということを議員が考えたとしよう。こういう問題の立て方は間違ってはいないが、この漠然としたテーマで質問を組み立てると、
「はて。?議員さんは何を質問で言おうとしているのか?」
となる。職員は訳が分からない。おそらく質問する議員も、このような問題の立て方だけでは、何が結論になるのか見えない。
「国民健康保険税の5000円値下げ」「空き家対策のために不良空き家除去に補助金を」というように一言で結論が明らかになるようなテーマ設定をしないと、一般質問は死んでしまう。それは余りにも、もったいない。
「こんな風に結論をはっきりさせたら、『しません』と言われてしまうので、結論はぼかしておきたい」
こう考えている議員はいるだろう。結論を明らかにせず、
「どうだこの提案、いいだろう」
こう思っている議員はいそうだ。しかし、これは大きな間違い。手の内を見せずに得意満面で見事な結論を見せても、当局は初めて示される提案に戸惑うばかりだ。最初から結論を鮮明にして、当局にも考えていただき、さらに質問の組み立ての中でじっくり検討してもらう。このようにしないと質問される側は準備できない。
一般質問のテーマで日本共産党のある議員と話をしていたら、
「テーマを設定して組み立てていくんだけれど、具体的な提案までたどり着けない」
という人がいた。これは、そもそも考え方が間違っている。テーマを設定して調べていくと多くの課題が見えてきて、質問が拡散してしまう。国保問題を調べれば、滞納の問題もあれば、保険証の問題もあり、保険税が高い問題も資格証明書の問題もある。
「あー、いっぱい問題があるのでどうしたらいいんだろうか」
こうなる場合、具体的な提案までたどり着けないことになる。これは、密林ジャングルに道具も何も持たずに入り込んで道に迷うようなものだ。
一般質問のテーマは、結論を明確に絞ること。それを実現するために質問を組み立てること。ここに尽きる。通告段階でそうなっていない質問は、最初から転ける可能性をもった質問になると言わなければならない。
![にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へ](https://b.blogmura.com/localkansai/wakayama/88_31.gif)
![にほんブログ村 政治ブログへ](https://b.blogmura.com/politics/88_31.gif)
![にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ](https://b.blogmura.com/philosophy/philosophy/88_31.gif)
![にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへ](https://b.blogmura.com/localkansai/88_31.gif)