口頭で始まった事業はやっぱりおかしい
アクアイグニスの誘致事業は、令和4年9月時点で2億2488万2000円の用地買収費が予算計上されたことを出発とする事業だった。この時点ではアクアイグニスとミモナの2人の社長と町長との口頭での約束だった。
はっきりしているのは、用地買収は、アクアイグニスとミモナからの「希望」、もしくは「申し出」によるものだった。課長は9月では次のように答弁している。
この地におきまして、進出を希望されておられる企業が、先ほど議員の御発言にございましたアクアイグニス様でございます。そちらについて、今回企業誘致、町のほうが活性化を目指して考えておりました当地におきまして、この地で希望されましたので、それについてかつらぎ町のほうで買収をし、それについて目的とする企業様に売却をするということの考えを持ってございます。
12月の一般質問での答弁は次のとおり
当時、9月頃の時点におきまして確認しておる内容につきましては、株式会社ミモナ様と株式会社アクアイグニス様から、この笠田中用地を活用して事業展開をいたしたいという申出があったものでございます。またその確認したお相手につきましては、両社の社長からのお話でございました。
相手側が進出したいという希望を示し、申し出があったことを受けて、町が用地買収を行ったにもかかわらず、町は2億5000万円の取得経費の内、土地代だけの経費である1億3000万円程度でこの用地を売却しようとしている。いったい、どのような約束でこの用地の売却を行おうとしているのか。口頭での事業出発だったところから見ると、平米1000円という単価で売却する約束も口頭だったのだろうか。企業が進出することを希望したのに対し、かつらぎ町が協力して、経費のほぼ半額で土地を販売してくれる。民間からすれば、なんと優しく美味しいものになるのではないか。
農地の宅地転用は、13ヘクタールという規模の大きいものだったので、大臣承認の必要なものだった。期間も1年近くかかったと思われる。職員の人件費も手間も時間もかかっている。これは一切経費に含まれていない。
「先行投資。ゆくゆくは固定資産税で返ってくる」
これが町の言い分だった。
特定の企業との口頭から始まった用地買収。一体2つの企業と町の関係は何なのだろうか?
ここからはぼくの妄想。
宅地開発業者がかつらぎ町に相談に来たら、かつらぎ町は、「よし、この事業を町の住宅開発に位置づけて行います」と口頭で約束し、その業者に成り代わって農地を購入し、買収後、宅地に転用して、経費を一切度外視して、購入した土地代だけで申し出のあった業者に販売してくれるのだろうか。これができるんであれば、住宅は安く建設できる。特定の企業の経済活動に利益を供与するようなことが簡単にできるんであれば、宅地は増やせるし販売も伸びる。しかし、これは明らかにルール違反だろう。



