議論のテーマの分解を

雑感

会議の改善の話を読みながら、思いはじめているのは、どのようなテーマ設定や問題提起をすれば、意見が活発に出され議論が深まっていくのかということだ。今読んでいる「ファシリテーター養成講座」(森時彦著)は、こういう疑問に深く答えてくれる。
一つのコツのようなものは、その課題に対し、会議参加者がどのように現状を把握しているか、それを出し合うということだ。現状に対する認識が共有されれば、次の段階の議論の方向性が見えてくる。
課題に対する認識の共有。ここで一致すればかみ合わない議論はかなり克服できる。

テーマを分解することも大事だと思う。
たとえば、子どもによる子ども会を作るにはどうすればいいのか。というテーマがあるとしよう。
子ども会を作るためには、子ども会とは何かという根本問題がわかる必要がある。
子どもが自主的に会をつくって、子ども自身が集まって相談し、いっしょにさまざまな行事に取り組む。──これが子ども会だろう。
これだけでは、何のために子ども会を作るのかはわからない。

では何のためにを考えてみよう。
子どもの自主活動が子どもの自主性を育てる。
子どもが自分たちで会議を運営することによって、コミュニケーション力を身につける。
子ども通しの人間関係が、子ども会を通じて豊かに発展する。
子どもの自主的な活動には、親のサポートも必要なので、子ども会活動を通じて地域の交流が深まる。
子ども会活動は、地域における子育てそのものになる。
人前で自分の意見を述べる子どもに育つ。
みんなと行事に取り組むことによって、思いやりのある子どもに育つ。
自然とふれあう行事を行うことによって、豊かな体験を保障できる。

他にもあるだろうけれど、以上のようなことが、何のために子ども会を作るの?という意義に対する答になる。

しかし、子ども会とは?ということに答えて、子ども会の意義について、答えたから子ども会を作る議論が始まるかといえば、これではまだまだ足りない。これだけの分解の仕方では、イメージが豊かに湧いてこない。

では、テーマをどのように分解すればいいのか。
次のような問いは、子どもの置かれている現状認識を深める議論の出発になる。
子どもたちは普段、どんな遊びをしているの?
集団で遊んだ事って本当にあるの?
鬼ごっこやかくれんぼって、子どもたちはしたことがあるの?
なぜ、外で遊ばなくなったの?
みんなで力を合わせて何かを行うっていうような活動は、どんな形で実現しているの?
スポーツ少年団や文化的な習い事と、子どもの自主活動の似ている点と違いは何?

次のような問いは、子ども会の具体的なイメージに接近できる。
子どもたちが集まって、会議を開き、行事をおこなえば、どんなことが実現できると思う?
子どもたち自身の会議って、どうすればうまくいくの?
地域で集団で遊ぶことが少なくなっているから、子どもの会議と言ってもイメージが湧かない?
子どもたちのしたいことを出し合うとどんなことが起こるの?
自主的な活動の具体的な内容ってなに?、何から始めればいいの?

新しいことを始めるときには、現状を踏まえ、何をどうすればいいのかイメージを沸き立たせて、共有することが大事になる。
物事は具体的に考えてはじめて、豊かなイメージを持つ。

以上、書いたようなことは、机上の組み立てにすぎない。実際親の中で議論をすれば、ここで想定したことと具体的な話には大きなずれが生まれる。臨機応変さが求められる。
実際にみんなで現状を共有しながら考えていけば、ここに書いたことよりも豊かなイメージが沸き立ってくる。

会議に参加している人の気持ちにより添って、議論を始めることが成功のカギを握っている。
このような議論の組織があってはじめて、第一歩を踏み出せる。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

雑感

Posted by 東芝 弘明