まな板除菌顛末記

出来事

Rain Drops On My Window At Night by ©Komatoes

朝から雨が断続的に降った。激しいときもあり、晴れ間が見えるときもあった。梅雨のこういう日は、部屋の中がジメジメしなんだか湿ってくる感じがする。まな板を見ると黒ずんできていたので、キッチンハイターを振りかけてみた。
シュッという音がしてまな板の上で泡のかたまりを作る。
これで時間が経つとまな板の黒ずみが消えていく。時間が経った後見るのが楽しい。

その後、リビングに掃除機をかけ、廊下、奥の畳の部屋、客間、仏壇の間にも掃除機をかけた。階段は雑巾掛けをした。
1時間半、たっぷり掃除をしてから事務所に行った。
よしよし、今日はきちんと責任を果たしたぞ、という感じだった。
2階で議会広報用の原稿を作る。終了すると夜7時半を回っていた。

事務所の1階に降りて、作業をしているとiPhoneが鳴った。自宅の家族写真が表示されていた。
電話に出ると娘の声がした。
「おとう、まな板にキッチンハイターしたんちゃうん?。おかあが知らんと使って料理が変な味になったんやで。一口食べたんやで」
怒りが伝わってくる声だ。
「エッ」
言葉を失った。
掃除をして、まな板をゆすいで片づけるのを忘れていた。
「なんでそんなことするんよ」
「ごめん、忘れてた」
「おかあが、料理食べたんやで」
娘は機関銃のごとく、色んなことをしゃべってまくし立ててくる。途中から何を言っているのか分からなくなった。
「お母さんは大丈夫?」
「大丈夫やけどね」といいつつ、またもや娘は機関銃のごとくまくし立て、電話は一方的に切れてしまった。
「ただいま」
帰るときつい目つきの女が2人いた。明らかにぼくを責め立てている。
「作った料理全部ほかしたんや。何にも考えてないんちゃう」
妻は怒りが目から吹き出していた。
「ごめんなさい」
とにかく謝って、謝り倒すしかない。

食事の間、2人はぼくをにらみつけていた。にらまれても仕方がない。まな板も除菌しようという作戦が、完全に裏目に出てしまった。
それでも妻は、コップ半分だけビールをつくでくれた。妻の分しか多い。有無を言わさぬ空気が充満していた。
料理を食べたあと、食器を片付け、さらに食洗機に食器を入れた。こまめに動いて罪滅ぼしをしないと、事態は好転しない。

あほうにぼけ、などという言葉まで頭の上を飛んでいる。
こういう失敗が半年に1回、もしくは3か月に1回ぐらいは起こる。
褒めてもらうことよりも、失敗することの方が多い。

「おばあちゃんが知らんと使ったらどうすんの?」
「おばあちゃんやったら大丈夫と違うか?」
少し冗談めかして言うと娘の顔が赤鬼のように赤くなって怒り出した。
何てこというんや、ということだった。

キッチンハイターの味ってどんなん?ということも聞けないで、小さくなっていた。
2人の女の機嫌が直ったのは、9時半をまわった頃だった。

機嫌が直ると眠たくなってきた。


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出来事

Posted by 東芝 弘明