2人の昼食

出来事

相談事があったので、男の人といっしょに警察に行った。外には激しい雨が降っていた。ぼくはロビーにあるソファーに座って『プロ作家になるための四十カ条』という新書版を読んで、用事が済むのを待っていた。カウンターの前にあるクッション性のないソファーだった。
警察で事務を執っている方々は、ほとんど私語をしていない。もくもくと事務をこなしている。
妙寺警察署という古い建物の時代もそうだったが、新しいかつらぎ警察署になっても、雰囲気は同じだった。

免許証の更新手続きが終了したので、総合文化会館の2階にある「シーズン・カフェ」に昼食を食べに行った。ぼくの目の前には87歳になる男性が座り、ぼくと同じ日替わりランチを注文した。まだ11時台なので客はぼくたち2人だけだった。
席を外して電話をかけて、戻って来るとランチが2人分テーブルに向かい合わせに並べられていた。
会話もせずに昼食が始まった。
「食欲があるんですね」
「うん、そうやよ」
男性は、飄々とした表情でご飯を口に運ぶ。ぼくよりも5分ほど遅れてランチをすべて完食した。
食事が済んだのでエレベーターで1階に降り、男性が玄関前まで歩く間に、ぼくは車を回して待った。
気温が下がってきているので、信号待ちしている間にフロントガラスが曇ってきた。

出来事

Posted by 東芝 弘明