紀の川市を歩いている
毎日、2時間程度、歩いてビラをまいている。ようやくビラまきは終わりそうだ。紀の川市の選挙の応援に行っている。隣の町並みを歩いていると、同じ法律の下で町をつくっているのに、かなり町の作り方が違っているのに驚かされる。かつらぎ町には、町立集会所という存在はない。しかし、名手の町中にはいくつも町立集会所が建てられている。もう一つ特徴なのは、2戸が一つになった町営の住宅(現在は市営だろう)がななりの戸数建てられていることだ。
名手市場という地名は、かなり広いエリアになっている。名手の駅前を中心に大きな家がたくさん並んでいる住宅街が広がっている。この地域の町並みには趣がある。近年は、県道が整備されて大きな広い道が南北に2本通り、横の道も広げられてすっかり町並みが変わってしまった。
ビラをまきに入ったお店の女将さんと話をした。お店は小さなスーパーという感じだった。
「日本共産党です」と言ってドアの外に向いて歩き、思いとどまってきびすを返した。受け取ってくれた女将さんの笑顔に惹かれて話をしようという気になった。
「この道路は都市計画課何かですか」
「ええ、県の都市計画道路です」
「きれいになりましたね。道ができてお客さんは増えたんですか」
「いいえ、余計に減った感じです。立ち退いてね。岩出の方に出ていった人も多いんですよ。大きな家でもね、住んでいるのは2人とかですよ」
昼の日中、ビラをまいていてもすれ違う人は少ない。閑静な住宅街がかなり広いエリアに広がっている。
歩いた印象と話をした印象には違いがある。
紀の川市は、合併によって基金をたくさん貯め込んできた自治体の一つだ。大きなハコモノ建設をいくつも行いながら、基金は確実に増えている。建物のグレードは非常に高く、贅沢をしているように見える。その一方で福祉や教育の予算は削り込まれている。粉河中学校の改築には建物だけでも28億円もかけているのに、理科の実験道具やプールの消毒代を削り、人件費削減のために、自校方式からセンター方式への切り替え、さらにそのセンターでの調理を民間に委託する、公立保育所を廃止して、私立に保育所を移管するということを盛んに進めている。
住民の福祉や教育の向上を目指して住みよい町をつくる努力をしないと、人口は減少するばかりなのに、自治体内で進行している衰退傾向に対して、真剣な手だてを講じているようには見えない。
住民が願う方向で町をつくる。施策を発展させる。こういう課題に向きあう自治体をつくるために日本共産党は頑張っている。ビラを作成して、市の実態を明らかにし、実現すべき政策を明らかにして支持を訴えているが、積極的に見解を明らかにして、政治を変えようとしているのは、他に見あたらない。少ないすぎると言わざるを得ない。
くらしに関わるさまざまな問題は、政治に直結している。政治は、経済とも深く絡んでいるので、経済活動への支援も工夫すれば行える。地方自治体の場合は、地域経済の実態をよく把握して、住民と一緒になって地域内に経済循環を生み出せるよう取り組みを重ねることが重要になる。
市町村における地域経済の活性化という事業は、まだまだ未開拓な分野になっている。市町村がどれだけ地域にある経済活動を深く把握するかが、変化を起こすことができるかどうかのカギを握っている。物事は具体的なので、具体的に物事を把握できるかどうかが、自治体における経済活動への支援の差になって現れる。
地域内に自分たちの努力によって産業をおこす。資本主義発展の歴史の中で自主的自発的に地場産業が発展した。しかし、大企業の経済活動を重視し、中小企業を押し込めてきた歴史の中で、地方における地場産業や個人商店は衰退してきた。商店や地場産業の衰退の中で、どのようにして産業をもう一度おこしていくのか。
問われているのは、こういう問題だ。取り組みを行わなければ、衰退するのは明らかだ。これに対し、現状を分析し危機に立ち向かって産業興しを行うということになるが、自然発生的な競争によって、資本主義の発展期に形成された地場産業を、違った形で再生するためには、個々の企業による競争ではなく、異業種も含めて協働と共同が必要になっている。
危機的な現状の認識を一致させて、協力し合って地域おこしに取り組む。力を合わせるところに未来への展望がある。
地域を歩けば、地域力が落ちている様子が見えてくる。空き家が増え、放置されて久しい家が散見している。自分たちの地域を知る。再認識する。ここから新しい再生が始まる。