1本の電話
事務所の電話を取るとかつらぎ町外の人からだった。
「東芝さんいらっしゃいますか」
「はい、私です」
「テレビを見ていると12月26日に契約を破棄されて、解雇になり社員寮も出て行かんとあかんと言っていた。こんなんムチャクチャや。年末に路頭に迷うことになる。企業はお金を貯め込んでるみたいや。こういうことにきちんとものが言えるのは共産党だけやと思って電話した」
男の人の声には、真剣な響きがあった。
「実は、共産党はすでに大企業に熱心に申し入れをおこなって、雇用を守れと交渉しているんですよ。トヨタにもいすゞにも行って、契約破棄による解雇は不当だと言って、撤回するよう求めているんですよ」
「そうかい、もうやってくれとるんかい」
「そうです。新聞やテレビはこういう共産党の動きは報道しませんから。こういう活動は、本来政府がすべきことだと思います。しかし、政府はほとんど動いていません。自民党がどうのこうの、解散総選挙がどうのという話ばっかりです」
「いや、共産党は何で動けへんのかいなと思っとったんや。テレビ見てたら腹立ってきて」
「こんな状況になってきたのは、小泉さん以降の構造改革が原因です。自由に解雇できるような状況をつくったのは、自民、公明、民主、社民党です。労働者派遣のい原則解禁なんてことをしたんで、今みたいな状態になっているんです。構造改革は日本をムチャクチャにしてしまいました。その結果、自民党は崩壊する可能性が出てきています」
「なるほど、この問題はよう分かってきたわ。共産党にがんばってもらわなな」
町外の男の人とはこんな風な会話になった。
その後の話も面白かった。
「俺は長谷(紀美野町)なんやけど、あんたらが出している折り込み、1年前までずっと見てたんや。それが、なんや知らんけど入らんようになったんや。笠田の○○という散髪屋に行くんやけど、そこに届けてくれたら見れるんやけどな」
かつらぎ民報が紀美野町の長谷にまで入っており、それを熱心に読んでくれていた人だった。おそらく、その民報に載せてある電話番号で事務所にかけてきたようだ。ぼくたちが発行している民報は、人の心に届いて、いろいろな思いを広げているようだ。
この話を聞いて何だかうれしくなった。
政権党の政治が、人心から離れている。民主党が政権を担っても政治の根本が変わらないと、政治への信頼は戻ってこない。国民のくらしと政治かかけ離れ、国民は生活の安定と将来の安心と地域経済の発展を渇望している。雇用問題、社会保障問題、地域経済問題、この3点で政治が責任を果たさないと日本の未来は開けない。この3点の対策は、文字通り内需拡大路線になる。輸出企業による外貨獲得経済とこの路線応援の政治からの転換が必要になっている。消費税増税路線などは全くの論外だろう。