自由をわれらに。そのために労働時間の短縮を

日本共産党,政治

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東芝130時間、日立製作所133時間、NTT東日本150時間など、これは、大手の企業が労働組合と協定している1か月の残業時間の上限だ。日本共産党の志位委員長が2月20日、衆議院予算委員会で基本的質疑を行った中で、この問題が取りあげられた。新聞やテレビは、この質問を記事にしていない。
日本社会の最大の問題の一つは、残業問題やただ働きにある。なぜマスコミはこの大問題を取りあげないのだろうか。結局、新聞もテレビも大企業をスポンサーにして利益を上げているからではないか。
NTT東日本の150時間という協定は、22日で割ってみると1日6.8時間の残業になる。8時間労働に6.8時間を加えると1日14時間48分ということになる。5時に終了する会社の場合、夜11時48分までなら働かすことができるというものだ。夜中の12時間際まで働かせる残業でもOKだと言って協定を結ぶ労働組合というのは、労働組合の役割を果たせていないのではないだろうか。ここには、日本の労働運動の異常さも横たわっている。

安倍さんは、このような残業時間に対し、
「これ実際は、まあ私もちょっと話を聞いたことあるんですが、これは、実際はこんなにしょっちゅう残業しているわけではなくて、念のためにこれは結んでおくと、そういうコンプライアンスをしっかりしているということであります。例えばですね、労使協約で月80時間を超える延長時間を締結した事業所の割合は4・8%で、実際の時間外労働が80時間をこえている事業所の割合は2・2%だということであります」
と答弁している。
大手企業が平気で80時間を超える労働協約を結んでいることを名指しで明らかにしているときに、安倍さんは企業数の問題を取りあげ、割合は4.8%にすぎない、80時間を超えている事業所は2.2%なので少ないという意味のことを言っている。答弁をごまかすというのは、こういうことだ。
普通、企業の実態が名指しで指摘されたら、指摘された企業の実際の残業時間がどうなっているのかを調べて答弁すべきだろう。論点をすり替えるというのは、こういう答弁をいう。
この答弁に対し、志位さんは、
「そして大事なことは、日本経団連、経済同友会の役員企業の8割が、『過労死ラインを超えても働かせるぞ』と『宣言』している、これが何より重大なんです。『特別な場合』とか言いますが、1年間に6カ月までできるんです。6カ月までは『(月)45時間』を超えても働かせることができる。6カ月も『過労死ライン』でやられたら本当にまいっちゃいますよ。これは実際、そういう『宣言』をしていることが重大であります。政府が決めた『大臣告示』も、『過労死ライン』も、まったく眼中にない。」
と切り返している。

大企業の残業の上限についての労使協定は、残業の上限は月45時間という大臣告示を無視して結ばれている。これも志位質問で明らかにされた。志位さんは、この大臣告示は、厚生労働省が医学的根拠に基づいて示したものだということを紹介し、つぎのように発言した。
「2001年12月に、厚生労働省は、過重労働による『脳・心臓疾患の認定基準』を決めております。これがその通達であります。そこでは、『脳・心臓疾患』を発症させる過重労働かどうかは、総合的に判断されるべきだが、最も重要な要因は労働時間であるとして次のように述べております。通達を読みあげます。
『(1)発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること
(2)発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること』」

志位さんは、この大臣告示を法制化し、残業の上限とすべきだと迫った。首相は「慎重に検討する」としか答えなかった。
日本における過労死は増えている。志位さんは過労死の状態を質問で紹介した。
「厚生労働省によりますと、長時間労働や仕事のストレスなどが原因で『過労死』や『過労自殺』をした方は、未遂も含めて、2013年度は196人。15年前、1998年度の52人に比べて4倍近くになっております。『過労死』はヨーロッパでは考えられない、日本だけの異常な現象です。」

TOYOTAの事例も紹介した。
「トヨタ自動車における『過労死』について、私は取り上げたい。トヨタにおける残業上限時間は『月80時間』で『過労死ライン』上にあります。トヨタでの『過労死』認定は、これまでに5件にのぼります。
2002年2月には、内野健一さん(当時30歳)の『過労死』事件が起こっております。内野さんは、トヨタ自動車堤工場車体部で班長として働いていました。トヨタの製造部門では、1週間おきで昼夜逆転の不規則勤務が行われていました。加えて『QCサークル』活動――労働者の自主活動の名のもとに行われる品質管理と能率向上のための職場の小集団活動が過重労働に拍車をかけました。亡くなる1カ月前の残業時間は106時間45分に達しました。妻の博子さんは、『享年30歳でした。亡くなる半年ぐらい前から夫の残業がどんどん増え、年が明けてからは異様な働きぶりでした。私は不安にかられていたのですが、その不安は的中し、過労による致死性不整脈で死んでしまったのです』と訴えておられます。
2006年1月にはAさん(当時45歳)の『過労死』事件が起こっております。Aさんは、主力の中型セダン『カムリ』ハイブリッド車のチーフエンジニアとして働いていました。亡くなる前年の2005年には、1年間でアメリカへ6回、のべ49日間出張し、帰っても休むことなく出勤していました。死亡1カ月前の残業時間は月79時間、2カ月前は106時間、6カ月前は114時間でした。妻が作った弁当をそのまま残したり、半分しか食べない状況だったこともあるといいます。
妻のBさんは、『車をつくりあげる喜びで仕事が止まらなくなるんです。『今日もアドレナリンが出っぱなしだった』。帰宅するなり夫はそう笑っていました。職場は常に興奮状態で、みずからを追い込んでいく。だからこそ会社がストップをかけないと』と訴えておられます。」

「『会社がストップをかけないと』と遺族が訴えているときに、何人もの犠牲者を出しながら、トヨタの首脳はどういう姿勢でしょうか。総合自動車ニュースサイト『Responce(レスポンス)』によれば、トヨタ自動車の伊地知隆彦専務(当時)は2011年8月、4〜6月期決算発表の席上で『今の労働行政では、若い人たちに十分に働いてもらうことができなくなっている』とのべ、韓国のヒュンダイはトヨタより年間労働時間が1000時間も多いと指摘。『私は、若い人たちに時間を気にしないで働いてもらう制度を入れてもらわないと、日本のものづくりは10年後、とんでもないことになるのではないかと思う』、こう言い放ちました。『会社は過労死するまで働けというのか』と怒りを広げました。
総理に問いたいと思います。『過労死』した労働者の遺族が『会社が止めてくれないと』と訴えている。そのときに会社は止めるどころか、『まだまだ足らない、もっと働け』という。そうであるならば、政治が責任を果たすべきではないでしょうか。重ねて問います。残業の限度は『月45時間』とするという『大臣告示』の規制を法律化すべきです。法律にしてこそ拘束力が生まれ、『過労死』防止の本当の力になる。いかがでしょうか」

志位さんが取りあげた問題は、ニュース価値のないものだろうか。日本の労働者は、ただ働きも含め異常な労働を強いられている。ヨーロッパのように残業の少ない社会が実現したら、地域に潤いのある状況が生まれ、地域社会における生活が豊かになる。働く人々は、8時間労働、1日8時間の自由時間、8時間の休息を手に入れるようになる。そうなると、自由な時間が拡大することによって、地域では賢く豊かな運動が起こってくる。日本社会は、非常に豊かな社会になり、会社に依存するだけではない社会が次第に形成されるようになる。自民党などの政治のウソが、賢い国民によって全部見抜かれるように変わるに違いない。

自由をわれらに。そのために労働時間の短縮を。

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Posted by 東芝 弘明