無数にあるひとすじの道

紀の川の議員団に出て、すき家の牛丼を食べ、後期高齢者医療広域連合にヒアリングに行った。
もちろん朝早く起きて準備をした。
3時30分に起きた。頭はすっきりしていた。もうほんの少し眠ろうと思って、目を閉じ、起きたら、4時30分を過ぎていた。一瞬は1時間かと思ってしまった。やばい。結局6時頃から準備を始めた。9時まで3時間。その間に洗濯を干したり、食洗機に食器を入れたりする必要がある。9時半の会議に間に合うためには9時前に準備を始めて9時10分に出て、車に給油してという段取りが頭に浮かんできた。
後期高齢者医療広域連合を出てから人に会うまで1時間ほど時間があった。本を読みたかったのでカフェを探して駐車場に車を止め、階段を上がろうとしたら「CLOSED」という札がかかっていた。仕方がないので共産党の事務所に行き、本棚の本の背表紙を眺め、大門みきしさんのエッセイを読んで時間が来るのを待った。
ドアが開いたので見ると、会う予定の人が入ってきた。約束の時間まで30分あった。
日本共産党に入った人の話を聞くのは楽しい。日本共産党に入るというのは、立身出世とは関係のない組織に入るという色彩が濃い。昔は、職場の中で迫害を受けたり排除されたりすることもあった。出世という流れから外されることもあった。しかし、そういうことがあっても、日本共産党員になる選択をして、理不尽なことに向き合い、民主的な職場をつくりたいというう人が多かった。
共産党員として生きてきた人々を「ひとすじの道」だと表現した人もいる。まっすぐに誠実に、人と深いところでつながる生き方。大企業で共産党に入っていた知人は、現役の時代、地方の支店を転々とまわされていた。
この方は穏やかな口調で、「ときには受け入れがたい理不尽なことがありますからね」と言い、職場に1人であったとしてもたたかわなければならないときはあるという話をしてくれたことがあった。
ぼくは、この人の横顔を見ながら『沈まぬ太陽』の恩地元が目の前にいると感じた。
政治の根底には、経済があり、日本の経済は力を持った勢力が人間関係をつくり、経済的利害を優先しながら政治を動かしている。理不尽なことや不合理のことが経済的利害優先の中から不文律のように生まれ、この巨大な力が個人の生活にまで影響を与えている。
日本共産党は、戦後、日本社会の仕組みの根底に、大企業による経済的支配とアメリカに政治的、経済的、軍事的、外交的に従属させられているという仕組みがあることを明らかにしてきた。この2つの勢力の支配を転換し、国民主権の本当の実現、日本の政治的経済的独立、平和を実現することを目指してたたかってきた。このたたかいは、アメリカの支配と大企業財界の支配を転換して、国民主権を実現する民主主義革命になることも明らかにした。
財界・大企業は、日本の経済力の衰退も、競争力の低下も、GDPが発展しなくなることも望んでいなかっただろう。しかし、戦後の支配の仕組みのどうしようもない矛盾として、日本は発展しない国になってしまった。
高度に発達した資本主義国なのに、政治・経済・軍事・外交の全分野において、経済大国に従属する社会になることを、政治経済学者は想定していなかっただろう。しかし、戦後一貫して、経済大国になった日本が、アメリカに従属し続け、しかもこの支配の枠組みを変革しようとしない中で、日本だけが「唯一発展しない先進国になる」ことなど、誰も想定していなかったに違いない。
自民党政治は、アメリカの支配をタブー視し、この支配から逃れたり、対等平等の関係へと変化させるという意思を全くもっていない。21世紀の発展はアメリカの従属の中にあると思い込んでいるので、日本が経済的な自立性と自主性を見失って、沈んでいっていることを直視できない。おそらく、自民党政治は、アメリカに日本が従属していることさえ、まともに見ることができない勢力になっていると思われる。
地方自治体に降りてくる国からの施策が、どうしてこうも理不尽なことが多いのか。
コロナ対策という緊急性の求められることにさえ、理不尽なことが多々あるのは、政治が国民の側に立っていないからだ。それは、ワクチン、検査薬の不足にも現れている。同じ資本主義国なのに、日本と違いが歴然としている国もある。
この世に中にほんとうの国民主権を実現して、人間の尊厳を大切にする国をつくる。そう思いながら議員として生きてきた。共産党員として生きる人生は、100人いれば100通り魅力のある生き方だと思う。道理が生かされる国と社会に。その努力こそがひとすじの道。ひとすじの道は、共産党員の数だけあるのだと思われる。




毛
私は近頃、鏡を見るのを楽しみにしている。手鏡を持って合わせ鏡で洗面台の鏡に映る後頭部の毛の生え具合を確かめる。
「ふむふむ、生えてきているではないか」
EDにはなってしまったが、そんなものはどうでもよい。髪の毛の方が大事だ。毛が生えだした頃は天にものぼる気持ちであった。EDがなんだ。私は鏡に映る自分の頭の毛を暫し眺め、うっとりとする。
無かったのだ。無かった物が今はある。なんという幸せな事だ。
床屋の親父からも、東芝さん、生えてますよ、今まで無かった所に確かに生えてますね、と言われた時には少し顔を紅潮させて、
「そうですか、生えてますか」
と冷静を装い返事をしたが、実は椅子から飛び上がらんばかりに喜んだのだ。
だが、妻は冷たい態度である。ミノキシジルを飲むと副作用としてEDになる事は妻には話した。妻は無表情であった。無表情という事は何を意味するのか。何か納得出来ない事を不承不承表現しているのであろうか。妻は私より年下である。私は61歳だ。妻はまだ50代である。30させ頃、40しごろ、50茣蓙掻くというぐらいだから女ざかりである。現役だ。私はもうミノキシジルの副作用で完全にEDだ。
最近、妻が上機嫌な事がある。どうしたのだ? と聞くと「別に?」とそっけない返事が返ってくる。なにか色めいた雰囲気を帯びている。おかしい。娘にそれとなく聞くと、妻は携帯で何者かとヒソヒソと話をしている事がある、と言った。浮気だな、と私はピンときた。さあて、どうしたもんか。私はミノキシジルを飲むとEDになる事は事前に説明している。妻は反対も賛成もしなかった。無表情だったのだ。
浮気は看過出来ない。私が不具者になったのは申し訳ないとは思うものの、よりによって他の男とマグワウなどとは政治家としては最高級のスキャンダルである。致命傷になる。その自覚が妻にはないのか。
WAOの回想
どうやら、東芝さんに勘づかれた様だ。ラブホで1戦終えた後、
「奥さん、浮気がバレた様ですよ、どうするべ」
と俺は奥さんに不安げに言った。
「大丈夫よ、だって証拠がないんですもの」
「そうですね、鹿児島からわざわざ和歌山にSEXしに来る男がいる訳がないですからね」
「そうよ」
「いやあ、一か八か、住所は分かっていたのだから、お宅にアマゾンの宅配業者を装ってさつま揚げを配送にいってみたというのは我ながら妙案だったと思いますよ」
俺は奥さんとベッドの布団の中で同衾しながら、灰皿を胸に置き、セブンスターを深々と喫んだ。左腕で奥さんの頭を乗せて、
「貴女も喫んでみますか」
「頂戴」
「うまいですよ、どうですか」
「ゲホゲホ」
「はははははは」
「もう、煙草はいいわ」
「そうですか、じゃあ、シャワーでも浴びますか」
俺たちはラブホの浴室でシャワーを浴びながら、名残惜しそうにキスをした。
「奥さん、いつもの態度で勘づかれない様にしてくださいよ」
「分かっているわよ、ドジは踏まないわ」
「メールも、着信記録もいちいち、削除してくださいね」
「わかってるわ」
俺達は、着替えるとチェックアウトしてタクシーを2台呼び、それぞれ分かれてそれぞれの場所へと帰ってゆく。昼下がりの事であった。東芝さんはこの日は哲学の講師をしていて忙しい日なのであった。その時間に俺と奥さんが浮気をしているなどとは想像もつくまい。タクシーに乗っていると、空港に向かう途中で雨が降ってきた。
「雨か」
俺はなにか、東芝さんに申し訳ないような気がしてきた。ミノキシジルを飲むとEDになると書いたのは東芝さんだ。これはチャンスだと俺は思ったのだ。俺は若い女より年増の女が好きだ。青いバナナより、腐れかけたバナナの方が旨いのは女も同じである。酸いも辛いも知り尽くした女というものは良いものだ。
(それにしても奥さんはいい體をしている。あそこの具合もなかなかだ。これは東芝さんには申し訳ないが暫く楽しませてもらおう)
鹿児島空港から我が家に着いたのは夕方であった。和歌山は雨であったが鹿児島は晴れている。
俺はフランス書院から受けている原稿の執筆に取り掛かった。俺はポルノ作家なのであった。東芝さんとは同世代であるが、俺は何故か昔から頭の毛はふさふさで石川五右衛門の様な髪をしている。ペニスは勃起して22cmある。胴回りはかなり太い。俺の自慢はカリの部分である。カリの段差が深く、この部分で膣壁を擦ると、大抵の女はよがり狂う。自慢のペニスなのである。
続く。
もう、続かないのである。俺はここで小説を出鱈目に書きながら、(俺はポルノ小説の才能があるのではないか?)と感じたのである。フランス書院は原稿枚数が無制限であるのがいい。「文学界」は400字詰め原稿用紙で100枚と決まっている。100枚書くのは至難の業である。短すぎるのだ。無駄な部分を削りに削って宝石を作るような難儀な作業を強いられる。
よし、ポルノだ。
東芝さん、なんか、ここに書くのは勿体ない気がしてきました。本当にフランス書院に投稿して銭を稼ごうかなと思います。純文学でダメだったので、俺はポルノ作家になります。
順番を間違えました。
編集機能がないんですね。
なんか、コメントが書きにくいなあ。
親しき中にも礼儀あり。行過ぎたと反省しております。
お詫びにこれでどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=ZyDgvz5sacc
サントリーオールドを呑んで、寝よう。
一応、共産党の議員なんで、どうもそぐわないですね。
いやあ、申し訳ありません。反省しております。
俺の予感としては、谷崎潤一郎の「鍵」ではないですが、ポルノでも立派な文学作品になるような気がして、俺がポルノを書いたら、それが芥川賞になるのではないかとも夢想しました。どの道俺は純粋なポルノなど書けず、何となく純文学的になるような気もします。ポルノはポルノで難しいのでしょう。
話はかわりますが、コメントを投稿すると、そのコメントが上に表示されるので困っております。
何とかなりませんか。
よし、1っ発、純文学でもう1度、挑戦してみるか!