基本条例等の議会内の協議が終了した
午前中、厚生文教常任委員会。それが早く終わったので岩出市のビラを作成。午後は全員協議会。議会基本条例のことについて、2班に分かれて1時間協議。条例の改正案は1月7日に提出し、1月10日に採決することを確認した。
1年半以上の時間がかかったが、議員自らが条例の改正を行うことができたのは大きい。今回、総務課との協議も重要な意味をもった。かつらぎ町の条例の体型に合わせて、整合性のある書き方にもこだわって条例の改正を試みた。
全国の議会基本条例には、分かりやすくしたいということで、他の条例とは全く違う書き方をしているところがある。全国の状況を見ると議会基本条例には、文体を「です・ます体」(以下「敬体」)にしている議会が存在する。しかし、こういうものはいかがなものかと思う。それをしたいのであれば、本当は自治体の全ての条例の文体を統一する必要があるだろう。しかし、国の法律が敬体として書かれていないので、自治体全体の条例を敬体にするのには無理がある。
「だ・である体」(以下「常体」)で条例や法律が統一されているのは、末尾の文体だけの問題ではなく、敬体の場合、どうしても敬語がはいってくるという課題が生じるところにある。名称が敬体となっているように「です・ます体」は敬語と親和性が高い。丁寧だけでなく敬語が入ってくると、法律や条令にはそぐわないだろう。また曖昧な表現が持ち込まれる可能性もある。
常体は、言い切る形なので、曖昧な表現を回避できる可能性が高い。曖昧さは内容にもよるので文体だけで克服することはできないのも明らかだが、文体上の問題で、曖昧さがさらに増幅するのは避けるべきだろう。
そういうことも十分考えて、議会基本条例を作るべきだと思う。
また、表記のルールにも特徴がある。例えば「又、及び、並びに」という表記にもルールがあるので、今回は表記の統一も行った。この点では総務課の力を借りた。深く感謝したい。町民と住民との違いにつても、最終段階ですべて住民に統一した。
条例の表記の仕方については、今後、本を読んで身につけたいと考えている。議員も、そういうスキルを身につけないと条例提案の力をもつことはできない。
今回の改正作業を通じて、議案の提出の権限は、首長とともに議員にあって、この権限は全く同じだということを学んだ。地方自治法は、首長に提出権があり、議会や議員は、限定的に提出権を認めているという体系にはなっていない。議案の提出権は、等しく首長と議員にある。権限としては対等平等だというのが法体系だ。
では違いはどこにあるのだろうか。それは、議会には制限列挙的な権限しか与えられていないというところにある。首長の権限は、行政運営に対し全面的に保障されているのに、議員の側には制限があり、それが条例提出についても制限として表れる。こういうように整理される。ここを間違ってはいけない。議案の提出権が首長とともに議員にある。しかもこの権限には基本的な違いはないということを、誤解している人が多いのではないだろうか。
例えば、予算案を議員が提出できないという制限は、議案の提案権に対する制限ではなく、制限列挙的な議会の権限に依存しているということだ。
今回、議会の議決案件を巡って議論が起こった。現在、かつらぎ町議会は、町が策定する長期総合計画を議会の議案として扱うことにしている。全国的には、法律で議決の案件になっていない計画等に対し、議会基本条例で列挙して議会の議決案件にする傾向が広がっている。自治体のどの計画を議会の議決案件にするかという議論を、かつらぎ町議会では行っている訳ではない。具体的な課題がないにもかかわらず課題になったのは、議決案件に対する条例の体系をどうするかということだった。
議論の内容はこういうものだ。
町長側が策定した条例を議員の側が廃止し、議会基本条例に組み込んで規定し直そうとした。しかし、これに対して総務課からは、「町長側が作成した条例を議会側が廃止するのはどうなのか」という疑問が出された。しかし、現行の課題になった条例には、この条例は町長側がつくたという痕跡はない。そもそも条例は、これは議会側が作ったのか、町当局側が作ったのかという区分があるのではなく、地方自治法によって、議会だけが改正権をもつ条例(及び規則)と、首長側のみに改正権がある条例の違いがあるだけだ。
今回の条例案でいえば、その条例を廃止するかどうかも含め、議会の側にも提出権はある。そういう基本があるのに、町長側が策定した条例を議会側が廃止して整理するのはいかがかという課題意識は、考え方の基本がずれていると思わざるを得ない。
協議としては、町長側が策定した条例を生かしながら、議会基本条例の規定を記述しようとなったが、ぼく個人としては、今回の整理の仕方については、ほとんど意味がないと思っている。
もうひとつ懸念として出されたのは、議会側が一方的に議決案件を増やして、制限がなくなるのではないかというものだった。しかし、この議論は成り立たない。現行の条例案についても議会側が改正案を出すのは自由なので、このときも「この条例は町長が作ったから、議会が改正するのはいかがか」などという論は成り立たない。
横たわっているのは、町長側に作成の権限がある計画に対して、議会がそれを議決案件にするためには、どうしても町当局との間で協議が必要になり、その協議を経て条例の改正案が提出されるということだ。基本的に町当局の側にある権限に対し、議会にも議決権を発生させようと思えば、どうしても協議が必要になる。それを無視したり度外視して勝手に議会が議決権を拡大するようなことにはならない。町長側が作った条例を残せば、議会の改正にブレーキを掛けられるというような考え方は成り立たない。
次の議会運営委員会の宿題は、基本条例等の改正についての解説と逐条解説、議会における政治倫理条例の制定とハラスメント条例の制定になる。これらは来年の仕事の一つだろう。



