議員の合同研修会は面白かった
3月25日に4市町(橋本市、九度山町、高野町、かつらぎ町)の議員の合同研修会が橋本市の教育文化会館で開催された。この感想を書いていなかったので、書いておきたい。
講師は、2回目となる長内紳悟氏(おさないしんごし)(地方公共団体政策支援機構)、テーマは「間違いだらけの議会改革とこれからの目指すべき議会は」というものだった。
「議会改革を行って街は良くなりましたか。良くなっていないですよね」
講演はここから始まった。
「そういう議会改革なら止めた方がいいですよ」
長内氏は、早稲田大学のマニフェスト研究所で自治体の議会改革をチェックし、採点を行っていた人だ。開かれた議会になっているかどうか、映像配信はされているかどうかなどなど。しかし、こういう風にして採点しても意味はないのだと言い、長内氏は大学での研究から離れた人だ。
一体何のための議会改革なのか。いろいろ指標が良くなれば改革の成果が上がるのかどうか。そうではないというのが長内氏が言いたかったことだろう。
「議会報告会をするんだったら、議員間による政策議論をできるようにしてほしい」
「提案説明はやめて、議案に対する議員間討議をした方がいい」
「提案説明は省略できるんですよ」
こういう発言が長内氏の口から発せいられた。
この問題意識は、ぼくが持ち続けてきた問題意識と共通している。最近は「どうすれば議員間討議を議会運営の中に組み込めるだろうか」──これをぼくは考えている。そういう目線で議会運営を見ていると、「3月会議では全く議員間討議ができなかった」ということになった。こういう問題意識をもっているので長内氏の話は、突き刺さるものだった。
PDCA(事後検証)のくだらなさを批判し、EBPM(事前検証)の重要性を長内氏は語った。EBPMとは何なんだろう。エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。データや合理的根拠に基づいて政策を立案する手法。
ネットの生成AIによると次のようなことが冒頭に出てきた。
【EBPMのメリット】
政策の必要性の根拠が客観的になる
実効性のある政策評価が可能になる
政策の透明性が高まる
市民への説明責任が果たされ、政策に対する信頼が向上する
【EBPMの推進方法】
政策効果の把握・検証(Monitoring)とそれによる政策の見直し(Managing)を適切に行う
統計等データを積極的に利用する
政策効果の予測・測定・評価による政策の改善を行う
統計等データの整備・改善を進める
【EBPMの活用事例】
神戸市では、政策をより効果的、効率的なものにするために、EBPMの推進に積極的に取り組んでいます。
内閣府職員は、日々の業務、政策づくりに従事する際に、EBPMの考えを念頭に置いています。
議会改革の進んでいるところでは、政策サイクルを回そうといい、住民懇談会から政策の立案へのサイクルを強調しているところがある。一年間かけて政策サイクルを確立していくというが、ぼくはこの動きに対して、何となく違和感を感じてきた。できてもいないのに違和感を感じるというのもおかしいが。
住民との懇談会をへて、政策の検討に入り、決算を通じて予算要望を行うという形も紹介されている。しかし、決算は令和7年度の予算執行時に令和6年度決算を9月から始めるというもの。予算要望を行う時点の予算は令和8年度ということになる。6年度の決算を経て、教訓や改善点を見いだし、提起するのは令和8年度というのは、どうもしっくりいかない。
調べていると、決算は徹底的に事業がどう推進されたか、されなかったか。決算を通じて浮き彫りになったものは何かということで、決算年度の会計も含む評価を徹底的に行うことに徹した方がいいと言うことが見えてきた。これが見えてきたので、予算に対する要望は止めておこうと提起した。それよりも重視したのは、決算評価をおこなって、問題点や改善点をその年度の事業に対して行うということにした。この決算の作業と並行して、予算要望書を作り、この要望書は決算とは切り離す。こっちの方がいいと思い始めた。予算要望書作りには、新たな労力を伴うが、そうすべきだというのが、ぼくが今到達しつつある観点だ。
予算要望書の基本は、議員の問題意識とエビデンスのあるデータに基づくものになる。そもそも、政策提案というのは、現在を変えるための提案であり、未来を見据えたもの。政策はたえず未来を見ているということだろう。これはPDCAからは生まれない。いつもEBPMの観点が問われるということだろう。
そこに足を踏み出すためには、調査や分析、データに基づく議員間討議が必要だ。住民との意見交換会は否定しないし、そこで提案されることも十分課題にすべきだと思うが、議会はそれだけをやっていればいいということではない。
本町でいえば、町長は官民連携に前のめりで、積極的に事業を展開している。最先端にいるはずの議員にも戸惑いがあるけれど、この政策の是非について、住民が答えをもっている訳ではない。たえず新しいことが生まれてくる最先端部分の取り組みに対して、エビデンスをもって是々非々で対応しようと思えば、たえず政策的な研究を行い、議会そのものが情報発信をおこなって政策的に対応することが求められる。
日本共産党中央委員会は、そういうことを繰り返し行っている。住民の意見を徹底的に聞くという行為と、最先端の問題に対して、調査研究を行って、分析し答えを明らかにする努力は矛盾しない。住民の意識を分析し、住民が求めるものを政策化するとともに、新しいものを生み出す努力を最新の研究の中から生み出すということが求められる。この組み合わせによって、日本共産党の政策は成り立っている。
現状に対する批判の中から生まれてくるものも多い。本当の批判は現状を変革するためにある。批判というのは徹底的に建設的なもの。これが批判の本質だろう。相手をたたきのめすのが批判の本質ではない。科学者の精神にこそ、批判の本質がある。正しいと思い込まれてきた常識に対する徹底的検証と変革。ここに人類の歴史がある。
どうやって議員間討議を、がんじがらめの議会運営の中に持ち込むか。組み入れるか。これを考えたい。エビデンスに基づく政策研究を先行させ、そこに議員間討議をのせていく。これがいい方法かも知れない。
朝から議会だよりの作業日。人事の異動があったので局長と2人で話し合いながら作業を行った。11時に歯医者の予約があったので、役場を退出し、治療の後、橋本市の法務局に行った。帰り高野口の伏原にあるオークワ内のマクドナルドで、560円のセットを注文し、車の中で食べて役場に戻った。
午後作業を行っていると、勤務時間終了後、役場内の人事異動に基づく引っ越しで慌ただしくなり始めた。作業を一通り終えた後、日曜版を配達した。異動しているので読者の人の机がなかったりして、少しうろうろした。



