「関係がない」という言い方が増えている

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参議院選挙が公示された。日本の公職選挙法上、選挙に関わる記事を書けなくなった。政党が候補者になるので、なおさら気を使う。
ということで、7月29日の投票がしめ切られるまで、参議院選挙に関わる記事の配信を差し控えます。
さて、哲学的な話題をひとつ。
気になる言動がある。
「あなたには関係ないでしょ」
「関係ないからほっといて下さい」
こういう言い方が随分増えている。そんな風にいわれたら、関わりをもたないという態度をとる。
しかし、ぼくは、自分自身の問題については、「あなたには関係がない」というような言葉は口にしたくない。もちろん、ぼくが抱えている問題に介入してきて、差配をふるうような態度を取られた場合は、「よけいな手出しはしないでください」とか「あなたには関係がないことです」と言ってしまうかも知れないが……。
すぐに「関係ない」という言い方をする方がいる。「関係がない」といってさまざまな事柄との関係を断ち切ってしまうような、身のほどこし方は、実はものすごく多くのことを見失うことにつながるのではないだろうか。
自分の利益になるかどうか、もしくは利害関係に関わるのかどうかで、「関係がある」、「関係がない」という見方が、増えているようにも思う。これは、損か得かで関係が「ある」か、「ない」かを見る見方なのかも知れない。
たとえば、学校で習うさまざまなジャンルの授業。数学、化学、物理。これらの授業が、自分の生活と一体どんな関係があるのだろう。実際に学んでいる学生の中にも、自分の人生と何の関係があるのだろうと思って悩んでいる人もいるかも知れない。
日本の若者の中には、政治的な無関心が多い。無関心を装うのではなく、政治的な出来事そのものを知らない人も多い。あれだけニュースで年金問題が取り上げられていても、「ハア?」、「何、それ?」という反応が返る場合もある。
ここにも「自分とは関係がない」という意識があるのかも知れない。
若い人々の政治的に対する無関心さは、子どもの成育過程の中で培われたもののようにも思う。
日本とアメリカとでは随分違う。
アメリカでは、教室に新聞がいつも置かれており、先生はたえず「新聞はよく読みなさい」と言い、社会的な事件や政治的な事件に対し、小学校のクラスで新聞記事を読んで討論することは多いという話を聞いたことがある。
たとえば、イラク戦争がテーマになり、「ブッシュが悪い」という結論になったとしても、子ども達が自由に自分の意見を述べて話し合ってそういう結論になったのであれば、それはそれでいいというのだ。
日本で、果たしてこういう授業が自由に出来るだろうか。
ものの見方や考え方を培っていく上で、社会や歴史の授業では、アメリカのような問題の取り上げ方や討論が大事だろうと思う。
最近の話題の一つである沖縄戦。
沖縄戦では、日本人の集団自決が起こったが、教科書検定は、集団自決に対する軍の関与を否定し、教科書の記述からこれを削除した。この問題をめぐって、沖縄県議会は、満場一致で集団自決に軍の関与はあったという記述に戻すよう意見書が採択された。
これは、社会科の中で、時事問題としては非常にホットであり、学びがいのある教材になりうる。日本の学校教育の中で、時事問題を通じて真剣に討論するような授業がおこなわれ、そういう授業を受けた若者が育ってくれば、無関心な若者はうんと少なくなるのではなかろうか。
人は、社会の中で生きており、政治、経済、文化、風俗、地域等々さまざまな関わりの中で成長していく。この生き生きとした現実の中から学ぶべきことは多い。
どうも、日本の学校教育は、社会と隔絶されたところで、知識としてだけ学ばせているような感じだ。
歴史学、政治学、経済学、文学、物理学、化学、生物学、どれをとっても欠くことのできない知識とともに、その知識を活用し、ものを考えるということが非常に大事になる。知識だけでは、新しい発見は生まれないだろう。知識だけならば、コンピューターに中に入っている情報や百科事典と同じだ。
百科辞典的な知識の確認のために、試験があるわけではないだろう。しかし、単に知識の正確さだけをとうような試験は、まだまだ多い。
知識は、事物に対する強い好奇心(問題意識)によって、活用されはじめて生命のような輝きをもつ。新しいものは、知識と好奇心との結合によって生み出される。
「関係がない」と思っている問題が、実は自分たちに深く関わっているものである場合が多い。
物事は、他の物事と結びついていく目には見えにくい触手のようなものがある。学ぶという行為は、この触手を見抜く力を培うということなのかも知れない。
知識がきざみネギのように見えるのか、それとも納豆のように見えるのか。
知識が、納豆のように見えてきたら、「関係ない」という発言も減ってくるのではなかろうか。

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Posted by 東芝 弘明