町長選挙に寄せて
9月30日投開票でおこなわれる町長選挙の説明会があり、山本惠章氏(現職町長)と山田昌美氏(元町議会議員)の2陣営が説明会に参加し、選挙必至の情勢となった。
山田昌美氏は、氏の側近の情報によれば、昨夜遅く立候補を決意したのだという。今日に至るまで一切、選挙準備の運動はおこなっていない。
準備運動でさえこれからだ。
良い機会だから町長選挙について、少し考えを書いておきたい。
まずは、日本の置かれている現状について
現在の地方自治体は、新自由主義路線にもとづく構造改革のなかで、激変の最中にある。新自由主義の路線は、単に政治的な路線としておこなわれているのではなく、日本経済の全体が、経済政策の深い影響を受けて変化の中にある。
社会的な転入と転出の統計資料に目を通したが、転入増が大きく進んでいるのは、東京であり、大きく引き離されて愛知がそれに次いでいる状況だ。それ以外の道府県の圧倒的な多数は、転出増になっている。これは、多国籍企業の本社が集中している東京に人口が集中していることを意味している。
事業所統計数を見ると製造業もサービス業も事業数は減少している。増えているのは福祉関係の事業所だが、これは高齢化にもとづいて事業所が増えていることを意味している。事業所の減り状況で言えば、地方都市での減少が著しい。地方都市の地域経済は、製造業でもサービス業でも市場の縮小が見られるということであり、人口の転出増は、働く場所の縮小に起因していることが読み取れる。
東京と名古屋への集中、中でも東京への集中が目に見えて現れている。
日本の産業構造にも変化が起こっている。輸出よりも海外への直接投資が増大し、2001年以降は、金融を中心にしてアメリカの金融資本(銀行や保険業)が日本国内に大規模に参入してきた。その結果、日本は外国の資本と企業を多く受け入れる国に変わってしまった。この元での東京一極集中は、多国籍企業の利益の確保と外国資本の利益の確保ということにしかならず、地域に好景気が循環しないという構造を生み出すに至った。
地方自治体や地域経済が直面している課題について
いま、地方都市や農林業を主体とする地域は、衰退が目に見えて明らかになっている。和歌山県下の事業所統計もおそらく事業所数の減少という傾向の中にあるだろう。
しかも、これらの事業所の減少は、明らかに中小零細企業の衰退という傾向をもつ。
これらの産業構造の変化は、新自由主義にもとづく経済政策と財界の産業再編成の過程で起こってきたことだったが、明らかに小泉構造改革以降の路線が、この傾向に拍車をかけていった。
同時に、所得配分という点でも、日本の富裕層に日本の中流や下層の人々の所得が吸い上げられる傾向が顕著になった。金持ちがさらに金持ちになり、貧乏人が没落するという所得の再配分は、法律の改定によって発生してきたといっていいだろう。
税制の改正が、露骨に金持ち減税、庶民増税という姿になった。また、正規雇用が減少し非正規雇用が増えたことが、所得の再配分をさらに拡大し、固定化するものになった。
東京都名古屋に象徴される好景気は、労働法制の改正によって、それらの地域にも著しい貧困と格差を拡大している。
このような変化を経済的に生み出してきた新自由主義の路線は、ただ単に貧乏人から富裕層に所得を再配分しただけの改革だったと言えるかも知れない。
新自由主義からの脱却を図らないと日本国民の未来はない。このことは、強調しても強調しすぎることはないだろう。
このような産業構造の変化の上に、地方自治体に配分されてきた交付税の削減をはじめとした地方に対する構造改革が重なってきた。
その結果、地方自治体の運営が極めて厳しい状況に置かれるようになった。
自治体に対する政府の財源削除は、結局地方の福祉や教育などの諸施策の切り捨てとなって、住民の生活にのしかかってきている。
自治体の多くは、いまだに建設優先というスタンスをとっている。このような自治体では、財政の削減が、ストレートに住民の生活に関わる施策の削減となって現れている。
地域住民は、経済政策で痛めつけられ、同時に国や県、自治体の福祉・教育・暮らしの施策削減の中で苦しめられている。
このような流れは、根本的に転換されなければならない。
自治体は、こういう認識の下で、構造改革に立ち向かい、住民サービスを維持しながら、地域の再生に力を尽くさなければならない事態に直面している。
かつらぎ町の町長に求められる時代認識は、以上のようなものだろう。
町長個人の資質について
しかし、町長に必要なのは、独断的なワンマン性やトップダウンによるリーダーシップではない。地方自治体が、向き合っている課題は、誰も経験したことのない新しい困難だ。この困難に立ち向かい、解決の方向を示すのは、天才的な町長なのではない。町長に必要なのは、住民や職員、議員のもっている地域再生を願う力を引き出し、活かすという手腕だろう。これは、利益を調整するというようなものではない。
強力な個人のリーダーシップではなく、住民の力を引き出し、多くの知恵を集めて町おこしを推進するという力が必要だということだ。
これを成し遂げる上で、欠くことのできない町長個人の資質は、人間に信頼を寄せることができるかどうか。住民を自治体運営の主人公だと考え、実践的に貫けるかどうか。人と人との信義を裏切らない人物かどうか、だろう。
自治体の現在の難局は、政治力で突破できるようなものではない。
ここを見誤ると、自治体が進むべき道が見えなくなる可能性があるだろう。
まちづくりは住民とともに。ここにしか未来はない。








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