税収減を怒られてもねえ
志位委員長の予算委員会における基本的質疑を読んで政府側の答弁に驚いてしまった。
少し引用しながら紹介しておこう。
消費税大増税の論拠突き崩す 政治の姿勢変えれば展望開ける
衆院予算委員会 志位委員長の基本的質疑より、以下引用。
志位 つぎにすすみます。さきほどから政府は、消費税の大増税を、「社会保障の安定財源を確保するため」というわけですが、果たしてそうなのかという問題です。
この言葉を聞きますと、1997年に消費税を5%に増税したさい、当時の橋本首相とこの場で論戦したことを思い出します。あのとき橋本首相は、「高齢社会の財源として優れており、高齢社会にとって不可欠の税制」とのべて、これ(消費税増税)を強行しました。これをやれば、「高齢化社会を支える安定財源を確保できる」といって増税をすすめました。しかしその結果、財源は確保されたでしょうか。税収がどうなったか。
つぎのパネルをご覧ください(パネル3)。これは、消費税を5%に増税する前の年の96年度と、直近の10年度との、国と地方の税収の比較であります。たしかに消費税収は、7・6兆円から12・7兆円にしっかりと増えています。しかし、税収の総額は、90・3兆円から76・2兆円に14兆円も減りました。96年度の税収をベースにしますと、消費税増税後の14年間で、なんと84兆円も累積で税収が減っております。消費税収はたしかに増えた、しかし国と地方の税収は大きく落ち込んだ。総理、なぜこういうことになったと思いますか。中井洽予算委員長 最初に、小宮山洋子君。
厚労相 委員長のご指名でございますので。「子ども・子育て新システム」のなかでは、子育て支援をしっかり充実するようにいたします。そのなかで、実施主体である市町村を中心として、児童福祉法と子ども子育て支援法の二つの法案に、すべての子どもの健やかな育ちを重層的に保障する、これまでよりもすべての子どもにいきわたるものをしっかりと法定いたします。すべての市町村による、計画的な学校教育・保育の基盤整備をして、確実な給付の保障をはかっていくということです。児童福祉法で、保育を必要とするすべての子どもに対する保育を確保するための措置を講じ、周辺施設とか事業者との連携・調整をはかる、全体的な責務を市町村に課します。幼保一体化のほかに、小規模な保育なども充実し、多様な保育の環境を充実することによって、子育て支援を充実する政策をしっかりと盛り込んでおりますので、ご理解いただきたいと思います。
安住淳財務相 所得税と住民税については、これはフラット化を進めて減税をしていることは事実でありますから、それを税収が減ったとあまり怒られることではなくて、むしろ中間層に対する配慮はしっかりやってきたと思います。法人税はですね、時代のなかでやっぱり国際競争力をつけなければならないという観点で、さまざまな意味で税率を下げてきたりしておりますから、相対的には、やはり少子高齢化のなかで、全世代型で税収というものの安定を図るために消費税の比率が高まってくるのはやむをえないことだと思っております。
志位委員長は、表示しているグラフにあるとおり、消費税を増税することによって、税収増にならずに、逆に税収が減っている現実を示して総理の認識を質した。これに対し、総理は答えずにまず厚生労働大臣である小宮山洋子氏が「子ども・子育て新システム」について答弁をおこなった。この答弁は、志位さんが、引用した質問の前段のところで「子ども・子育て新システム」が、社会保障を充実させるべき2兆7000億円の計画の中に入っているが、これは、「児童福祉法を改定し、市町村の保育実施義務をなくすというものであって、これをやりましたら、保護者は自力で保育所を探し、直接契約をしなければならなくなる。待機児童の解消も進まないということで、保育団体から大きな反対の声が起こっている大改悪であります」という指摘に対する弁明だった。
ぼくが驚いたのは、その後の安住淳財務大臣の答弁だった。
「所得税と住民税については、これはフラット化を進めて減税をしていることは事実でありますから、それを税収が減ったとあまり怒られることではなくて、むしろ中間層に対する配慮はしっかりやってきたと思います」──この答弁は話し言葉なので分かりにくいが、次のような意味だろう。
“直接税と間接税の比率を見直してフラット化を進めてきたのは事実なので、税収が減ったといって怒られるようなことではない。むしろ中間層に対する配慮はしっかりやってきた。”
直間比率の見直しという方針は、1980年代に中曽根さんが言い始めたことだった。直接税については、大金持ちには減税をしながら庶民には増税をしてきた。これは税金のフラット化のための施策だった。こういう形で減税と増税をおこないながら、消費税収を引き上げていけば、直間比率の見直しが実現でき、税全体でもフラット化を実現できる。庶民は直接税と消費税のダブル増税を押し付けられる。税収が減ったのは、自民党から民主党に至る政府が、一貫して税のフラット化を目指してきた結果として必然的に起こっている。安住大臣の答弁は、このことを赤裸々に認めたものだろう。
今回の税と社会保障の一体改革でも消費税増税と法人税減税がセットで出されている。民主党の政府にとって、法人税減税はどうしても実行しなければならない政策だから、「全世代型で税収というものの安定を図るために消費税の比率が高まってくるのはやむをえない」ということになる。
この10年間で国の借金が増大した最大の原因の一つは、国の税収が大きく減ってきたからだ。多くの人は、このことが大問題だと考えている。しかし、安住大臣にとっては、このことは問題ではない。大企業と大金持ちに減税をおこなうと税収に穴が開くので、消費税増税をおこなう。──この政策のどこが悪いんですか?ということだろう。
新自由主義の経済政策は、サプライサイドの経済政策だといわれる。大金持ちや大企業の富を豊かにすると供給側(サプライサイド)が強くなるので、供給側の投資によってやがては国民全体も潤うという考え方に貫かれている。安住大臣の答弁は、こういう考え方に貫かれたものでもある。
しかし、国内市場が縮小している中で、大企業の富は国内に投資されず、ものすごい勢いで海外に向かっている。このときに、さらに庶民増税をおこないつつ、大企業に対する法人税減税をおこなったら、より一層国内市場が縮小し、大企業の富がさらに海外に向かうのではないだろうか。
大企業減税と消費税増税というセットの政策は、最悪の経済政策であり、日本を破滅に追い込みかねないものだろう。
今回の安住大臣の答弁を忘れてはならない。
「くらし第一」という看板は、「くらし台無し」という看板に掛け替えよう。












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