オリンピックのプレゼン

雑感

時計を見ると1時をまわっていた(と記憶している)。テレビには、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われているIOC総会が映し出されていた。
安倍総理によるプレゼンテーションが行われていた。胸を張って落ち着いている。堂々たる英語による発言だった。
「今までも、現在も、これからも東京への被害はありません」
日本語の通訳はこう翻訳した。

「こんなことを言っていいのか。安倍さんは、平気で白い物を黒いというのか」
黒い色の思いが湧いてくる。

プレゼンの終わり近くに次のように発言した。
「福島第一原発について。私はみなさんにお約束します。状況はコントロールされております。私たちは決して東京にダメージを与えるようなことは許しません。決してダメージを与えることはありません。」

この後質疑が行われた。
(以下は質疑応答の部分の全文おこし)

ゲラードハイバー:
素晴らしいプレゼーテーション、ありがとうございます。
とても感情に訴えるプレゼーテーションでした。
安倍総理、こんな質問をして非常に申し訳ないんですが、福島原発についての質問です。
最近は毎日のようにメディアが報道しています。
どれだけひどい状況かという事、
もちろん総理は「東京には影響が無い」とおっしゃいましたが、
それはどのようにして、その根拠はなんでしょう?
また、なぜそのように安心できるのでしょうか?
専門的な技術的な観点から、総理お願いします。

安倍:
ご質問ありがとうございました。
わたくしも日本語で答えさせていただきます。

(ここから日本語)
結論から申し上げれば、えー、全く、え、問題ないという、こと、で、あります。
えー、どうか、新聞のヘッドラインではなて、事実を、見ていただきたいと思います。
汚染水による、影響は、

司会:総理、今通訳に少し問題があるようです。
安倍:おー、OK!   よろしいですか?

安倍:
まず結論から申し上げますと、えー、全く、問題、ありません!
えー、どうかあの、ヘッドラインではなくて、え、事実を見ていただきたいと思います。
汚染水による影響は、ま、まぁ、第一原発の港湾内の0.3平方km範囲内、の中で、完全に、ブロック、されています。
えーー、福島のキ、近海で、私たちは、モニタリングを、行っています。
ま、その・・・結果、
えーーー、数値は最大でも、WHOの飲料水の水質ガイドラインの、500分の1であります。
これが事実です。

そしてわが国の、食品や水の安全基準は、世界でも最も厳しい、厳しい基準であります。
食品や、水からの被ばく量は、日本どの地域においても、この基準の100分の1であります。
ま、つまり、健康問題については、今までも、現在も、そして将来も!
全く問題はない!!
という事をお約束いたします。
さらに完全に問題のないものにするために、抜本解決に向けたプログラムを、私が責任を持って決定しすでに着手をしております。
実行していく、ま、その事をはっきりとお約束を申し上げたいと思います。

えー、わたくしはかつて、えー、被災地を訪問した際に、一人の少年と会いました。
えー、彼は・・・・・・・・・・・・・その被災地を訪れた外国人のサッカー選手から、貰ったボールを
宝物のように、自慢げに私に、それを示しました。
その時私はこう思ったんです。このボールは彼にとって単なるボールではない、単なる宝物では無いんです。まさにこのボールは彼にとって、希望なんです。未来への希望です。
いま、この瞬間にも、福島の、青空のもと子どもたちはサッカーボールを蹴りながら
復興そして未来を見つめています。

私は日本の総理大臣として彼らの安全と未来に、責任を持っています。
そして日本にやってくるアスリートのみなさんにも責任をもって、
必ずその責任を完全に果たしていくという事をお約束申しあげます。
ありがとうございました。

「第一原発の港湾内の0.3平方km範囲内、の中で、完全に、ブロック、されています」という発言には驚いた。
それ以上に驚いたのは、サッカー少年の話だった。「いま、この瞬間にも、福島の、青空のもと子どもたちはサッカーボールを蹴りながら復興そして未来を見つめています」

「どうして、こんな発言ができるんだろう。国際舞台で」
そう言うと横で座っていた(まだ起きている!!)娘が言った。
「これって、安倍さん、地雷をふんだんと違うの」
踏んだ地雷は、国会が始まると時限爆弾のように動き出す仕掛けなのかも知れない。

朝起きて、新聞配達の途中でラジオをつけた。家に帰るころに時計は7時をまわった。ニュースが入ってきた。
「2020年のオリンピックは東京に決定」
東京で固唾をのんで見守る会場に取材のマイクが向けられた。歓声を上げる声がラジオから流れてきた。手放しで感動している人がたくさんいた。

自宅に帰ってからiPadに手を伸ばして、twitterにつぶやいてみた。
「2020年のオリンピック、東京に決定。懸念された原発事故。国際公約である事故の根本的な解決に向かうのか、事実のより一層の隠蔽に向かうのか。
国際公約を守らせましょう。国民の運動を弾圧させてはなりません。オリンピック精神は平和。原発事故解決とオリンピックの成功。目標はこの二つです。」

「ブエノスアイレスでの安倍首相の発言は国際公約です。今こそ原発事故の解決のために、世界の英知の結集を、国際協力を。事故隠しからの脱却を。原発を推進した勢力の責任追及を。オリンピックの成功のためにも脱原発を。憲法9条を守ってオリンピックの成功を。
隠蔽と弾圧、国家秘密の拡大を許すな」

「オリンピック招致のために平気で嘘をついて、反対運動を封じ込めて行ったという歴史をつくらせるのか、国際公約を守らせ、脱原発と憲法擁護を実現して、民主国家としてオリンピックを成功させるのか。
経済的な不安定が、招致の障害になるのであれば、消費税増税とTPPは反対しなくっちゃ」

さらにさっきTwitterにこう付け加えた。
「福島原発と東日本大震災。事故の隠蔽。オリンピックにつぎ込まれる巨費と置き去りにされる復興。こういう形は絶対に見たくない。」

何とも後味の悪い1日だった。

妄想が浮かんできた。

誰かが、オリンピック招致という文字を赤いマジックで鏡に書いた。
「そんなところに書くべきじゃない」
みんながタオルで拭き取る努力をした。でも、拭いても拭いても文字は消えない。
汗が流れてくる。
書いた男がこちらを向いた。
ABEさんだった。
ABEさんは次のマジックを男から受け取った。
何を書くというのだろう。
マジックを渡したのはアッソさんだった。


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雑感

Posted by 東芝 弘明