かつらぎ9月議会終了

かつらぎ町議会

かつらぎ町議会では、議案の質疑がおこなわれ本日をもって9月議会が終了した。
議案の審議でもっとも意見が集中したのは、山間部にある3園の僻地保育所の廃止する条例案だった。この条例案は、10人の賛成多数(反対者 宮井・東芝・平井・・赤阪・浦中の5人)で可決した。これによって、志賀・天野・四邑の3つの保育所は、来年の3月31日をもって廃止されることになった。
今回の廃止は、地元との関係でいえば、地元合意を図った上で提案されてきたものだった。廃止されると受け皿問題が発生するので、山間部の保育園児は、送迎バスに乗って渋田保育所まで通うことになる。
日本共産党町議団は、今回の一連の保育所統廃合の経緯をふまえ、大きな矛盾が生まれつつある問題を重視し、条例案には反対の態度をとった。
かつらぎ町の保育所は10園あるが、保育所運営審議会は、10園を5園にするという審議会答申をおこなっていた。この答申については、5園を実現するために、四郷・中飯降・四邑・天野・志賀の保育所を廃止するというものだった。答申には、廃止にともなう改修については最小限にとどめるという趣旨まで入っていた。
一方、かつらぎ町は、数年前に幼保一元化の方針を打ち出し、庁内に委員会をつくって検討を重ねていくとしていた。しかし、今回の統廃合案は、保育所の統廃合を先行させ、これを突破口に幼稚園や小学校も統廃合しようというものだった。幼保一元化という方針は、まったく検討されていない。
日本共産党は、答申が出た時点から今回の統廃合の方針には反対の態度を示し、幼保一元化の検討を進めるという従来の方針とまったく整合性がないことも指摘して、「答申を町の方針にすべきではない」という態度をとってきた。
山本町長は、この指摘に対し、「もっと総合的に考える必要がある」と答弁し、6月議会では、「答申と町の方針は違う」という答弁をおこなっていた。
9月議会に出された3園の廃止は、答申案を踏まえず、10園を7園にするというものだった。しかし、それ以降の統廃合案として、21年には「認定子ども園」2園を新たに建設してすべての保育所と幼稚園をなくしてしまうという方針を検討していた。
この方針は、厚生常任委員会に報告された。しかし、行財政の合理化を検討する委員会(課長による会議)で打ち出されたこの方針は、幼保一元化を検討する委員会も開かず、教育委員会が設置している教育長の私的諮問機関「かつらぎ町立幼稚園・小学校適正配置検討委員会」の意向もまったく無視して打ち出されたものであった。
委員会で宮井議員が追及したことによって、この方針は表舞台に出せないお粗末なものであることが明確になった。
日本共産党町議団は、本日の質疑で「認定子ども園」という施設の性格を問いただした。
「認定子ども園」という施設は、幼稚園型と保育園型、認可外保育施設型の3つに分類される。この分類は、幼稚園で延長保育をおこなう施設、保育所で幼稚園教育もおこなう施設、無認可の保育所を子ども園として認める施設というものである。
「認定子ども園」は、現在の設置基準を規制緩和し、子育て支援を名目に「柔軟に」、「住民のニーズを満たす施設だ」というのがうたい文句になっている。しかし、「柔軟に」というのは、給食がなくてもいい、園庭がなくてもいい、今までの設置基準を満たしていなくてもいい、という内容をもつもので全面的な施策の後退を招きかねないものだ。
しかも、設定されるのは、保育料ではなく利用料と呼ばれ、住民は「認定子ども園」との直接契約という形になる。
これは何を意味するのだろう。
現在の保育所は、民間であれ公立であれ、保育料を市町村が決めることになっている。民間の保育所は、施設の運営費を補助金という形で受け取る。保育料の収入は市町村が受け取る。全国のすべての認可保育所は、この形態で運営されている。保育料を直接保育所が収受できるのは、無認可の保育所以外にはない。こういうシステムになっているのは、児童福祉法に根拠がある。
保育にかける子どもの保育を保障する責任は、市町村長にあるので、こういう形態にならざるをえないのだ。このシステムをとってきたので、保育所問題は、一貫して町の大きな問題として扱われ、充実が求められてきた。
「認定子ども園」は、この関係を根本的に変える問題をもつ。国は、以前から保育所との直接契約を実現するよう動いてきた。その動機は、国が支出する保育所に対する運営費を削減したいというものだった。“直接契約が実現すれば、硬直化している現行制度を変え、サービスが向上する。保護者は多様なサービスを選ぶことができるようになる”──これらが直接契約導入の理由にされていた。「認定子ども園」はいよいよこの考えを実行に移すものだ。
「認定子ども園」は、国が指針を示し、都道府県が基準を示すものになる。これは、国が保育基準を定めるのではなく、都道府県の裁量にまかせてしまうということを意味する。
現在の保育所や幼賃園の設置基準より低い、民間活力の導入をうたう「認定子ども園」は、国や県が保障する補助金が少ない可能性がある。直接契約で設定される利用料が、採算ベースを考えて設定され、施設の重要な収入源になるので、現行の保育料よりも高くなることが十分に予測される。公立の保育園が「認定子ども園」になるケースの場合は、保育部分については、従来の保育所と同じ扱いになる。つまり、「認定子ども園」になっても公立の保育所部分が子ども園の中に残るので、保育所の基本はかわらないということだ。しかし、私立保育所が認定子ども園になる場合は、直接契約となってしまう。
かつらぎ町が構想した「認定子ども園」は、民間の福祉法人が運営するというものだったので、直接契約の施設にならざるをえない。しかも現行の保育所と幼稚園のすべてを廃止して、民間の「認定子ども園」2園をつくってしまうと、かつらぎ町は保育事業と幼稚園事業から撤退することを意味してしまう。
行財政の合理化を検討していた委員会は、「認定子ども園」がこういう性格をもつ施設であることを理解しないで、方針を打ち出していた。幼稚園教育や保育所運営をどうするのかという中身の検討をまったくおこなわないで、合理化推進だけで議論してきたので、「認定子ども園」がどういう施設なのかという検討なしに方針を出そうとしていたということである。
民間活力の導入、保育関係の補助金のカットという構造改革の流れのなかで打ち出された「認定子ども園」は、待機児童の多い都市部で、新たな市場である福祉の分野に民間企業を含む事業者に仕事をあたえようとするという性格を色濃くもっている。かつらぎ町のような田舎で、幼稚園と保育所を廃止して、民間の「認定子ども園」をつくればいいという話は、まったく実態に合わないものにならざるをえない。
子育て推進課が、廃止問題の重要性を考えて、企画公室と総務課に一緒に説明会に行っていただきたいという申し出をおこなったにも関わらず、2つの課はこの申し出を断っていた。ここには、総合的に統廃合をおこない、住民の理解を得ようとする姿勢がまったく欠落している。
日本共産党町議団は、縦割りで合理化計画にもとづいて、教育委員会の権限を無視しておこなうこのような方針は、根本的に改めるべきだという主張をおこなって、今回の3園廃止の議案には反対した。
難しい時代──だからこそ集団の力を発揮してより良い方向を打ち出してほしい。

かつらぎ町議会

Posted by 東芝 弘明