阪神・淡路大震災に寄せて

雑感

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阪神・淡路大震災から19年が経ちました。死者6434人、全半壊(焼)約47万世帯と「赤旗」に記載されています。ぼくは、当時34歳。議員になって4年目でした。橋本市の富岡市会議員といっしょに神戸に行き、数日間ボランティアを行いました。同年6月に延期された神戸市議選挙にも応援に行きました。
あらためて、亡くなった方のご冥福をお祈りします。どんなに時間が経っても、当時の生々しい記憶は消えないと思います。時間なんて関係ありません。あの時の体験は、否応なしにその後の人生の再出発にならざるを得ないものだったと思います。当事者にとっては、癒しがたい体験になったと思います。風化とはまったく無縁な体験なのだと思います。

今でも、ボランティアに行ったときのいくつかのシーンを鮮明に覚えています。心に強く残る体験は、記憶に刻み込まれます。体を動かして体験することの意味の深さ。頭で考えるだけでは、深く心に刻み込まれることには、なかなかなりません。東日本大震災のあった秋に大船渡に行ってボランティアをさせていただいた体験も、忘れることが出来ません。
人々の記憶は消えないと思います。風化という言葉が盛んに語られますが、震災を忘れるのは、メディアであり政治なのではないでしょうか。体験者は、当時の瞬間を忘れることはありません。政治家が、震災のことをなかったかのようになるのは、その瞬間に現場に行き、体を動かして対応したことがないからでしょう。日本共産党は、阪神・淡路大震災でも東日本大震災でも、体を動かして精一杯、ボランティアを行ってきました。東日本大震災へのボランティアは、現在も続けています。青空市や聞き取り調査は、今も行われています。こういう体験は、政党の中にしみ込んでいくものだと思われます。

東日本に行って、痛烈に感じたことは、日本共産党以外の政党のほとんどが、有権者に対し足を運んで、苦しみや悲しみ、要望や要求を聞かないと言うことでした。国もこの点では同じだったと思います。復興という言葉を口にしながら、現場に足を運ばないのは、異常な事態なのではないでしょうか。国民の苦しみを自分たちの体で感じながら奮闘しなかったら、結局は国民と離れた考え方や対策しかできないのではないでしょうか。国会の圧倒的多数が、東日本大震災を忘れたかのようになるのは、口先だけで対応してきたからに他ならないのではないでしょうか。

民主党は、ボランティアを組織していました。しかし、このボランティアは、2011年6月7日の記録が最後になっています。若手を組織してボランティアをしたのは、良かったと思います。しかし、民主党の国会議員や地方の議員をはじめとして、党の中心を担っている人が、どれだけそこに参加したのかは、問われるべきなのだと思います。国会議員や市会議員は、人の上に立つ人なのではありません。人間としては、市井に生きる人と全く同じです。生活をともにし、この時代に生きる生身の人間として、震災に向きあって、肌で感じてこそ、体にしみ込ませることができると思います。
岩手県にあって、一番大きな政治勢力は、小沢さんの力でした。しかし、当時の民主党や小沢さんの勢力は、有権者の目に見える形で、組織的には足を運んでいませんでした。「小沢一郎 東日本大震災」というキーワードで検索すると、小沢さんは何もしなかったという情報がトップに出てきます。もちろん、地元の市議会議員は、動いていました。でもそれは、小沢さんが組織したものではなかったということです。
「小沢さんたちは何もしていません。来てくれたのは共産党だけです」
大船渡の訪問先で聞いた言葉が印象に残っています。

一般質問の準備のときにも、できる限り体を動かして、現場に行き、話を聞いて質問をつくりたいと思っています。足を運ぶことが、体で感じ、心を動かし、認識を深くする道だと思っています。資料をあさり、情報を収集するだけでは、深い認識は得られません。現場に立つ、五感で感じる、人に会う。こういう道をたどって組み立てられた認識は、自分の中に長く記憶となって刻み込まれていきます。
「頭で考えるな、体で感じよ」
映画の中のブルース・リーの言葉ですが、この言葉は、格闘技だけではなく人生を貫く大切な意味をもっています。

阪神・淡路大震災から19年。この19年間で確認できることの一つは、政治は明らかにこの19年間でさらに後退したということです。政治や経済が劣化したという指摘が行われ、構造改革が推進されましたが、この構造改革こそが、さらに政治と経済を劣化させたことは、間違いありません。消費税増税とともに、社会保障の改悪がセットで実施されようとしていますが、この現実を見ないで、消費税増税は社会保障のために、という言葉がまことしやかに振りまかれている現実が、政治の劣化を証明しています。


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雑感

Posted by 東芝 弘明