マイナンバーは、ほとんど使い道がない

雑感

マイナンバーについて、少し書いておこう。
10月5日から通知カードが順次世帯主宛に配布される。これで届かない人は、市町村が責任を持って配布への努力を行う。それでも届かない人がどうしても発生する。
名前の通り届けられるのは通知カードなので、本人に届かない場合でも行政内部では、本人に12桁のマイナンバーが付与される。行政はすべての国民のマイナンバーの番号を把握するが、本人は番号を把握しないままになるということも起こる。届かない人に番号をふれないということはない。

ホームレスの人の中には、家族の元から蒸発し、ものすごい年月が経過した人もいる。これらの人の中には、家族によって死亡扱いの手続きがなされているケースがある(行方不明になって7年が経過すると「失踪宣告」の手続きができる)。こういう人の場合、マイナンバーは付与されない。
今回の通知カードは、国が配布を委託した機構から市町村ごとに郵便書留で配布されることになる。郵便局で1年間、別の住所に転送する手続きをとっていても、通知カードは転送先には配布されない。転送して欲しい方は、自治体が通知カードの転送先を期間中に申し出るよう促しているので、これに基づいて転送手続きをする必要がある。
長期出張者(じつは自衛隊員にも多い)などの場合、書留による配達なので届かない。DVで夫から逃げている妻などの場合も、転送手続きを取る必要がある。この手続きを取らないと夫の元に通知カードが送られてしまう。
本人に通知カードが届かないケースは、さまざまな形で存在する。いつの時期にそうなるかは定かではないが、行政手続きにマイナンバーの提示が必要な時代になると、本人がマイナンバーを知らない場合、手続きが進まなくなる。

来年の1月1日からマイナンバー制度が施行されるが、当面は(どれだけの年月になるかは知らない)行政窓口でマイナンバーの提示は求められない。今までどおり、印鑑を持ち、自分の身分を証明できれば、手続きを進められるし、各種証明書を取ることもできる。
マイナンバーの番号を届け出なければならないのは、自分の勤め先だ。源泉徴収を行っている事業所は、従業員のマイナンバーを管理することが必要になる。勤め先は、管理する義務が生じるので、従業員にマイナンバーの提示を求める。

マイナンバーカードを作れば身分証明書として使える。カードを作るときにお金は入らない(初回のみ)。カードの有効期限は20歳までの年齢の場合は5年、20歳以上の人は10年となっている。未成年者の有効期間が短いのは、容姿が成長にともなって変化するからだ。有効期限が切れたときにカードを更新する必要があるが、その時のカード発行が有料なのか無料なのかは、今後の検討課題になっている。議会で「無料にすべき、国に意見を上げよ」と迫ると、かつらぎ町は「近隣市町村の動向を見て、意見を上げる必要があれば意見を上げたい」、という妙に及び腰のような態度だった。
プラスチック製のカードには、顔写真、氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバーの番号、有効期限、発行した市町村長が記載されている。銀行のキャッシュカードは、裏に自分で署名するようになっているが、読み取れるのは通帳の口座番号、銀行の店番号、銀行名。クレジットカードは、カード番号と有効期限、ローマ字の名前、裏面に自分の名前を自署するようになっている。裏面にはセキュリティーコードも印字されている。車の運転免許証は、顔写真、氏名、生年月日、住所、交付日と有効期限、免許の条件、免許証番号、免許を取得した年月日が記載されている。
情報の掲載の仕方は、運転免許証に近い。違うのは、マイナンバーの番号がカードに記載されている4情報とともに他人の手に渡ったら、重大な情報が流出したことになるという点にある。4情報とマイナンバーが繋がることによって重要な情報になる。カードを落として、それを誰かが拾って交番や行政に届けられたとしても、安心してはいけない。届けられるまでのあいだに情報を全部コピーしたり写真を撮って情報を盗むことができる。落として誰かに拾われたら、番号を変更した方がいい。この場合は、本人が手数料を払わなければならない。

来年の1月1日から行政は、税情報や社会保障情報をマイナンバーで紐付けられるようにする。大きく変化するのは、行政と勤め先の事業者だ。行政も事業者も万全の体制をとってセキュリティを講じなければならないので、体制構築にお金がかかるケースが多発する。住民の側は、ほとんど活用すべき必要性がないので、通知カードが家の中に眠ってしまう可能性が高い。
利用価値のない状況を変えるために、国は制度が施行されていないのに新たな活用方法を打ち出した。マイナンバーを消費税における食料品の軽減に活用するというものだ。消費税を10%に引き上げるときに、食料品8%据え置きを実施する。食料品を購入したらICチップに記録するのだという。ICチップをカードに貼り付けているので、かなりの情報があのチップの中に入る仕組みがある。国は、活用方法を具体的に打ち出して国民に定着を図りたいのだろう。ICチップを使いたくてウズウズしている。
消費税に軽減税率を導入する場合は、製造メーカーに多大な負荷がかかる。例えば缶詰や飲料水(お酒は除かれる)。中身には軽減がかかるが、外の容器である缶には軽減がかからない。したがって食品によって消費税額が微妙に違ってくる。軽減税率を導入した場合は、国民には負担がかからない。しかし、消費税額の還付となり、マイナンバーカードを活用するとなると、末端の小売業者と国民に全部負担がかかるようになる。
カードが便利になればなるほど、カードの紛失自体が、重大な意味をもってくる。付加価値をつければつけるほど、便利になる反面、便利と比例する形で危険性が増大する。
国が提唱しているマイポータル制度が実現すると、自宅などのパソコンで自分のマイナンバーカードをカード読み取りリーダーに入れ、暗証番号を入れると、自分の税と社会保障の情報が見られるようになる。この段階まで来ると、カード紛失が、個人のかなり重要な情報流出につながる可能性が生じる。免許証の紛失とは全く次元の違うものになる。

情報流出の可能性は、サイバー攻撃、職員による不正な情報流出などにもある。職員が不正を働いて情報を売り渡した場合、市町村は住民に対し損害賠償を負わなければならない可能性がある。いずれにしても大量に情報が流出すれば、個人が持っているマイナンバーの番号を変更しなければならない。個人に番号変更の責任がない場合は、無料で番号交換となる。この際は番号交換の手数料は発生しない。しかし、大量に情報が流出すれば、自治体にかかる負担はかなり大きなものになる。

国民の徹底的な管理と支配。このためにマイナンバー制度が実施される。マイナンバー制度は、行政機関と国のための制度というところに本質がある。繰り返すが、現時点では身分証明書以外の意味はほとんどない。まずは使い道のないカードを死ぬまで管理しなければならないという責任だけが負わされる。
情報の流出、詐欺、カードの紛失、番号の変更など実施した段階からマイナンバーを巡ってさまざまな問題が発生する。導入を喜んでいるのは、国と詐欺集団、このシステム導入で大もうけのできるコンピューター関連の企業と国の外郭団体だろうか。

雑感

Posted by 東芝 弘明