カジノ法案は退廃の極み

雑感

カジノ法案がわずか2日間、6時間で衆院内閣委員会を通過した。強行採決が相次いでいる。日本は、議院内閣制をとっていて、大統領はいない。アメリカの大統領は行政の長として絶大な権限を持っているが、しかし、アメリカの国会に対して出席する権利も法案を提出する権限も持っていない。内閣は合議制であり、与党の中で内閣を構成するので与党の意向を踏まえたものになるということだったが、小選挙区制によって与党が内閣に完全に牛耳られることになった。アメリカのトランプ氏のことが危惧されているが、アメリカは新しい法律を制定するという点で、極端な主張をする大統領が現れたとしても、それだけで政治がものすごい勢いで暴走することは考えにくい。
政治の暴走という点でいえば、現在の日本の方がはるかに政治が暴走するようになっている。今回のカジノ法案の短時間強行採決も政治の暴走ぶりをものの見事に体現している。安倍内閣というのは、暴走に次ぐ暴走によって、何重にも日本のあり方を破壊している。こういう政治に未来はない。

カジノは、外国から大量の資金を招き入れることによって、外貨を稼ぐから経済効果があるということなのだろう。日本国内だけに留まっているとすれば、カジノの各機械を製造する会社を潤すだけで、あとは働いた人々や大金持ちのお金をバクチによって右から左に動かすだけのものだ。新たな価値を生み出すものではない。日本はすでにギャンブル依存度のかなり高い国になっている。そこにカジノを解禁することによって、もたらされるのは、青少年への悪影響、生活破壊と治安悪化、ギャンブル依存症の増大、ブラックな集団の育成、マネーロンダリング等々ではないだろうか。

「カジノは賭博であり犯罪だ。モノを生み出すわけでもない。人のお金を巻き上げるだけのもので、いったいどこが成長戦略か」
小池晃政策委員長は、12月4日のNHK日曜討論でこう発言している。お金がお金を生み出す場合G→G’となるが、付け加わるのは利息だろう。貸したお金が、生産的な経済活動に生かされる場合は、投資した資金は、新しい価値を生み出す。利息はそれを見越して貸出期間に対するものとして設定されている。G→G’というプロセスには意味がある。しかしカジノは、まさにお金が右から左に移動するだけで、そこで何か価値が生まれる訳ではない。
サービス利用者に対して、場所代を払わせるとしても、多くはそこで働く人々の人件費や経費に消える。カジノ経営の胴元が得るお金は、まさにカジノで負けた人々から得たお金ということであって、そこで発生しているのは単に所得の移転だけではないだろうか。こういうものを成長戦略だと位置づけるのは、全く間違っているのではないだろうか。日本政治の退廃ぶり、日本経済の退廃ぶりを国民に見せつけているのがカジノ法案ではないか。


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雑感

Posted by 東芝 弘明