施政方針演説、コロナ対策の迷走ぶりがくっきり

雑感

通常国会が始まった。菅さんは、施政方針演説の冒頭、「内閣総理大臣に就任し、政権を担って四か月、直面する困難に立ち向かい、この国を前に進めるために、全力で駆け抜けてまいりました。そうした中で、私が、一貫して追い求めてきたものは、国民の皆さんの「安心」そして「希望」です」と述べた。
違和感満載だった。
コロナ対策で述べた部分のほぼ全文は以下のとおり。

これまで一年近くの闘いの経験に基づき、効果的な対象に徹底的な対策を行っております。
私自身、連日、状況を聞き、専門家とも議論を重ねておりますが、東京都で六割を占める感染経路不明の多くが、飲食と見られています。
特に、三十代以下の若者の感染者が増えています。
多くの方は無症状や軽症ですが、若者の外出や飲食により、知らず知らずのうちに感染を広げている現実があります。
飲食での感染を抑え込むことが極めて重要であり、飲食店について、協力金を百八十万円まで引き上げ、二十時までの営業時間の短縮を徹底します。
それ以外にも、テレワークの七割実施、不要不急の外出・移動の自粛、特に、二十時以降の不要不急の外出自粛、さらに、イベントの人数制限をあわせて実施します。
こうした対策により、感染を抑え込み、減少傾向に転じさせます。
専門家が緊急事態宣言のレベルとする、いわゆる「ステージ4」を早急に脱却いたします。
さらに、新型インフルエンザ特別措置法を改正し、罰則や支援に関して規定し、飲食店の時間短縮の実効性を高めます。
議論を急ぎ、早期に国会に提出いたします。

その上で、感染対策の決め手となるワクチンについては、安全性・有効性の審査を行った上で、自治体と連携して万全な接種体制を確保し、できる限り、二月下旬までには接種を開始できるよう準備いたします。
私も、率先して接種します。
大事なのは、必要な方に必要な医療をしっかりと提供していくことです。
あらゆる方策を尽くし、医療体制の確保を強力に進めていきます。
先月には、新型コロナ対応を行っている医療機関に派遣される医師や看護師への支援額を倍増いたしました。
新たに新型コロナ患者用の病床を確保するため、一床当たり最大で一千九百五十万円を助成します。
年明け以降、東京都では、千を超える病床の確保について、最終的な調整を行っています。
現場の負担となっている清掃業務などの委託経費を支援いたします。

保健所の負担を減らすため、応援派遣を一千二百名から三千名に増員します。
知事の要請があれば、自衛隊の医療チームなどをいつでも投入できるように、万全の体制を整えています。
(暮らしと雇用を守る)何としても事業を継続していただき、暮らしと雇用を守っていく。
それが、政治の責務です。
所得が低いひとり親世帯に追加で五万円、更に二人目以降の子どもについて、三万円ずつの支給を、昨年中に行いました。
手元資金にお困りの方々への緊急小口資金は、昨年以来、五千億円が利用されており、返済を免除する特例も、三月末まで延長いたします。
雇用調整助成金について、これまで対象とされていなかったパートや非常勤の方々に、日額一万五千円を支給する特例を来月末まで延長します。
緊急事態宣言に伴い、大企業にも特例を拡大します。
官民の金融機関による、無利子・無担保融資に十分な資金を用意し、さらに、四千万円の限度額を六千万円に引き上げ、手続も簡素化いたします。

返済にお困りの方には、公庫などが更に一定期間の返済猶予を行うなど、柔軟に対応し、民間金融機関に対しても同様の対応を要請いたします。
前年と比べ、自殺者が五か月連続で増加し、とりわけ女性が顕著な傾向にある事態を重く受け止め、SNSを通じた相談窓口などにより、不安に寄り添う体制を強化します。
過去最多となった児童虐待について、児童相談所の児童福祉司を五千名体制に強化し、学校、警察、弁護士と連携して、早期発見につなげます。
困窮する学生の修学を支援し、新卒扱いの柔軟化を要請します。
就職氷河期世代の就職も引き続きサポートしてまいります。

204通常国会 菅総理の施政方針演説 2021.1.18

無症状の陽性者も含めて隔離し、徹底的に追跡調査を行って、感染を抑え込むという疫学上の基本点が全く語られていない。抑え込む対策は、「多くの方は無症状や軽症ですが、若者の外出や飲食により、知らず知らずのうちに感染を広げている現実があります。飲食での感染を抑え込むことが極めて重要であり、飲食店について、協力金を百八十万円まで引き上げ、二十時までの営業時間の短縮を徹底します。それ以外にも、テレワークの七割実施、不要不急の外出・移動の自粛、特に、二十時以降の不要不急の外出自粛、さらに、イベントの人数制限をあわせて実施します。こうした対策により、感染を抑え込み、減少傾向に転じさせます」というだけ。若者が名指しで指摘されて、飲食での感染を抑え込むことが極めて重要というだけ。従わなかったら罰則でしばるというものだ。

一貫して追及してきた「国民のみなさんの「安心」そして「希望」」は、コロナ対策としてはこれだけだ。日本共産党からの批判の一つ、罰則規定についての言及は、今日の赤旗の「潮流」に示されている。若者が問題であるかのように言って、飲食店の営業を自粛させ、罰則でしばる。コロナ対策については迷走としかいえない。

和歌山県は、無症状の人を全員入院させてきた中、無症状の人の6割が発症し、無症状の人の12%が重症化すると指摘して、入院してもらわないと場合によっては命に関わると呼びかけている。こういう呼びかけが総理から出てこない。無症状の陽性者が出歩いて飲食しているからだめだという言い方と和歌山県の指摘は、まったく方向性が違う。国民に納得してもらって、協力してもらうというメッセージが総理から出てこないのは、日本にとって大きな不幸だ。


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雑感

Posted by 東芝 弘明