東芝という姓の由来 2005年9月15日（木）
朝10時、笠田駅筋の交差点の信号の時間を調べた。選挙の時に「この信号を渡ろうとしても時間が短すぎて危ない。何とかして」という要望を受けていたからだ。
時計についているストップウオッチではかると、東西を走る24号線側の信号の長さは1分50秒あった。国道を10時にクロスする南北の信号は22秒しかない。この信号は、中学校やAコープ、歯科医院、内科医院などに行く人が利用している。中学生が集団で信号待ちすることも多い。10人も待っていると22秒では短いときがある。シニアカーやお年寄りの足では、短い場合も多い。あと5秒程度信号が伸びるだけで、随分安全になる。
地図を添えて、交渉する段取りをおこなうために、文書も作成した。あとは写真を撮ることにしよう。
この信号の時間を延長するために保守の議員が一般質問をおこなったことがある。かつらぎ町に要望するのは、筋違いである。国道の信号の管理は和歌山県だ。かつらぎ町に要請しても、権限外なのでせいぜい県に要望を上げるだけになる。
こういう問題は、直接県当局に働きかけることが大切だ。
一つの信号の時間を変更するとどのような調整が必要になるのか興味深い。一つ一つの要求実現には新しい発見があり、それ自体が自分の知見を広めることにもなる。
今回の一般質問は5人らしい。ぼくは2番目に質問する。今回の質問の1つは、介護保険の保険料のランクを国基準よりも細かくして、低所得者の負担を軽くするという提案である。もう1つは、かつらぎ町の地域調査をおこない、内発的な活性化をめざすべきだという提案だ。
学校給食関連の文献を読み始めて準備にかかる。地域内循環を生み出すという点でも給食と地産地消の結合はおもしろい。
そうそう、昨日、変わった姓の特集をテレビ番組でおこなっていた。東芝（ひがししば）という姓もかなり希少価値があると聞いていたので、調べてみたくなった。インターネットに名字のランキングサイトがあるというので検索してみると、いくつか検索できるサイトが見つかった。しかし、データベース検索は、Windowsのみという記述があって検索できない。
ようやく1つだけ検索できるサイトがあった。全国の電話帳をデータベース化して検索できるようにしたということなので、何件ヒットするかを見てみた。
「30軒あり」という結果が出た。電話帳に登録していない人がいるかも知れないが、全国の電話帳に「東芝」姓は30軒登録されていることになる。ぼくのように「トウシバ」という欄と「ヒガシシバ」という欄に登録したことがある人もいるので、軒数は30軒を下回っているかも知れない。かなり希少価値（？）のある姓ということだろう。
美里町長谷にある本家の人に話を聞いたことがある。
大阪に出た東芝姓の人が電気屋「東芝電気」を営み、SONYやNational、東芝の製品を販売していたそうだ。この販売方法にあろうことか、東芝電機の方からクレームが付いた。
「東芝名で他社の製品を販売することは許せない」
これが言い分だった。
裁判になった。
この裁判過程で東芝という姓が全国にどれだけあるかが問題になり、調査がおこなわれた。その結果、東芝という姓は、自分たちの血縁・縁者だけであることが判明したのだという。
裁判はヒガシシバ家の勝利に終わった。「東芝電気店」はただ単に屋号を名乗っているだけのことだとなった。
この裁判結果からしても、東芝姓は全国で30軒しかないのもうなずける。
和歌山市に2軒、かつらぎ町に1軒、美里町長谷に数軒、あとはどこに住んでいるかも知らない。
ぼくは選挙に出るときに「ヒガシシバ」ではなく通称の「トウシバ」を名乗ることにした。
ヒガシシバという響きでは漢字が頭に浮かんでこない。自分でも時々きちんとシシを発言できない。
おばあさんが電話口に出たときに「ヒガシシバです」と名乗って難儀したことがある。
「ヒガシバタさんかい？」
「いえ、ヒガシシバです」
「ヒガシシマさんかい？」
「いえ、ヒガシシバです」
「ヒガシマタさん？」
「いえ」
「なんていうてるかわからんわ」
初めて選挙に出て地域訪問でインターホンを押したときのこと。
「トウシバです」
「間に合ってます」
女の人だが強い語調だった。
とりつくしまがなかった。門前払い。
東芝製品は必要なかったらしい。
塾を経営しているお宅に電話をしたときも。
「トウシバです」
「おい、何してるんや、まだかい、はよ、コピー直しに来てくれよ」
東芝という姓は、「トウシバ」と名乗ることによって、非常に分かりやすい名前になった。知名度抜群である。しかし、ときどきとんちんかんな会話が出現する。これがなかなか面白い。
「私とお母さんはヒガシシバ、お父さんはトウシバ」
娘はつい最近まで本気でそう理解していた。
ヒガシシバと名乗っている親族もいるが、選挙に出ていない人もトウシバを名乗っている人がいる。わかりやすさと覚えてもらいやすさで呼び名を変えたということだ。
ぼくは、トウシバと呼ばれてもヒガシシバと呼ばれても何の違和感もなしに返事を返している。二つの呼び名は頭の中に染みこんでいる。
