統一戦線とは何か
日本共産党は、1961年に作られた綱領の中でも、民主連合政府にいたる前の段階で一致点に基づく連合政府をつくることを打ち出していた。これは、綱領確定時代においては、提唱したこともあるが具体的には進まなかったので、理論的な問題にとどまり、実際に具体的に探究するという段階には至らなかった。
2004年の綱領改定によって、民主連合政府が、日本における民主主義革命を達成する連合政府であることが、明らかにされた。この整理は、象徴天皇制の位置づけによって、民主主義革命の課題と日本国憲法の全条項を守ることが一致したので、到達した認識だった。
それから11年、2015年9月19日、安保法制が参議院で強行採決されたときに、日本共産党は中央委員会を開き、その会議の後、志位委員長が記者会見を開き、野党共闘による国民連合政権をつくろうと呼びかけた。この2015年の新たな呼びかけは、日本の民主主義革命を求める運動の中では、画期的なものになった。
民主連合政府は、①日本の経済を国民本位に転換し、暮らしが豊かになる日本をめざす。②日本国憲法を生かし、自由と人権、民主主義が発展する日本をめざす。③日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本をめざす。という3つのことが目標になる。この段階に至らない連合政府というのは、日米安保条約を廃棄しない段階での連合政府になる。日本の経済改革についても、大企業の民主的な規制という合意には至らないし、日本国憲法を守るという合意にも至らない。
具体的にその後打ち出されたのは、安保法制の廃止(集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回、これにもとづく安保関連法制の廃止)を軸にして、合意を形成するというものだった。一緒に国会で追及することも広がったので、合意の内容も次第に幅広くなった。ここから当然のこととして導き出されたテーマの一つは、安保条約をどうするのか、自衛隊をどうするのかということだった。政権合意ということになると、一致していない点についての確認と対応という問題が浮上してくる。これに対し、日本共産党は具体的に踏み込んで答えを出した。
日本共産党は、安保条約の廃棄と自衛隊の段階的解消という方針をもっているが、野党による連合政権にはこの立場は持ち込まない、一致点で政権を運営するという態度を示した。この中で安保法案廃止以後は、自民党が以前とっていた日米安保に対する態度、自衛隊に対する態度が、連合政権の態度になるとして、急迫不正の侵略に対しては、自衛隊を活用し国としては対応すること、米軍への協力要請も日米安保条約に基づいて行う可能性があることにも言及した。
このような命題は、安保関連法案の廃止を目標とした連合政権にとっては、避けられないもので、どうしても態度の表明が必要なものだ。歴史に「もし」ということはないが、もし民主連合政権に至らない段階での連合政権をつくることが、政治的日程にのぼっいれば、2015年以後実際に問われた問題が、1961年綱領から2004年の綱領改定の間の時代であっても、同じように日本共産党にも問われたことは明らかだ。
民主主義革命に至らない段階での、連合政権構想は、上記に書いたようなことから逃れられない。一致点で連合政権をつくるというテーマは、まだ数年間、政党間で協議してきたものだが、残念ながら政党間で本格的に真剣に侃々諤々真正面から議論されたものではない。政党間による率直な意見交換が実現しなかったところに統一戦線としての課題が大きく存在したということだろう。ただ、この中で日本共産党は、連合政権に対して責任を果たすために、最も具体的に、真剣に政権としての対応の仕方を明らかにしてきた。これは、誠実な態度だったと思う。
しかし、統一戦線とは何かというテーマに対し、十分な理解が得られていない問題が横たわっている。一致点で共同すれば、合意が広がる。この合意の下で国民の根本的利益につながる努力をすれば、未来は開けてくる。これが統一戦線というものの道行きだ。このテーマは、理論問題でもあるが実践的な運動論でもある。ここの理解が問われている。










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