党大会の報告を聞いて

雑感,日本共産党

日本共産党の党大会決議案に対する中央委員会報告を聞きながら、一番思ったのは、日本に科学的社会主義の理論が入ってきて、社会主義に対する理想が人々の心を捉え、燃えるような情熱で周りの人々に、それを訴え続けた人々のことだった。その当時は、おそらくこの理論を力に現実の日本を分析して、日本社会の具体的な発展方向を見いだし展望を示すようなことは、できなかったと思う。しかし、先人たちはやがて日本共産党という組織をつくり、日本社会の現実と格闘しはじめ、現実社会の具体的な展望を、自らの力で導き出して、社会の根本的な矛盾に立ち向かいはじめた。

この歴史と伝統は、日本共産党を結成するまでのたたかいを含め100数十年に及ぶ。
科学的社会主義とは何か、という問いに一言で答えることは難しい。その根底には哲学がある。その哲学を一つの武器に、同時に資本主義経済の具体的分析を通じて哲学そのものを鍛えつつ、資本主義の運動法則を明らかにしようとした経済学がある。最近、マルクスが資本主義によける搾取の強まりによって、人口が減少していくことを指摘しているのを知って驚いた。150年前の資本主義の分析が、現代の日本社会の本質を射貫いている。これは学んでいて驚く。
現実の具体的分析にマルクスの資本論の真骨頂がある。商品には使用価値と価値があり、この2つの側面は対立物の統一として捉えられる。この商品の2つの側面に資本主義の矛盾の根本が全部詰まっている。
マルクスが商品の分析から資本主義の分析を行い、この商品の2つの側面は、労働の二重性によって生み出されており、労働には具体的有用労働と抽象的人間労働の2つの側面があることを明らかにし、具体的有用労働が商品の使用価値を作り、抽象的人間労働が商品の交換価値を作ることを指摘した。
また商品分析によって貨幣が商品だったことを突き止め、金(Gold)がどうして全世界で商品の役割を果たすようになったかを明らかにした。マルクスの資本主義分析は、商品分析から始まったことによって、100年経とうが200年経とうが、資本主義の根本問題を射貫く力をもっている。

弁証法という考え方にはなじみがないかも知れない。弁証法のより根本的な命題は、一つの物の中には相反する2つの側面があり、それが対(つい)になって物質や物事が成り立っているというところにある。この弁証法の核心は、根本的には人間の意識の外にある物質がどのようにして成り立っているのかという事実の積み重ねによって導き出された一般的な結論である。
これは、人類の歴史の中で培われてきた科学の神髄でもある。ここでも具体的事実の具体的分析が生きる。弁証法的な物質の存在の仕方は極めて豊かであり、一つの物の中にある2つの側面という一般論だけでは、事実を表現したことにはならない。具体的な物質の中に存在する相反する2つの側面は、極めて豊かな様相を呈している。

6番目のトップクォークを発見しようとする研究を重ねていたとき、益川さんの導きの糸になったのは、エンゲルスの『自然弁証法』という書物だった。ボトムクォークと対になっている6番目のクォークがあるという予測を立てた考え方はまさに弁証法だった。それが具体的にどのような性質をもって存在しているのかという具体的な研究があってはじめて具体的な弁証法的な関係を記述できる。そのことを通じて弁証法はより一層豊かになる。レーニンは、電子といえども、人類はその性質を汲み尽くすことはできないと言ったが、具体的な物質の存在の仕方は実に豊かだということだ。自然科学が一歩一歩事実を解明するたびに、科学的社会主義の哲学はその形態を変えなければならない。これは、学問体系としては開かれた体系だということを意味している。

人類の知識の総和をめざす開かれた学問の体系が科学的社会主義にはある。科学の研究方法を科学的社会主義の哲学は与えてくれる。この力があるかぎり、現実の具体的な分析の上に社会が発展する展望を見いだすことができる。
社会主義の最も根本的な本質は自由の拡大にある。これが今回の大会で強調された。社会主義における自由とは何か。それは搾取からの自由と労働時間の短縮による人間の自由時間の拡大にある。これが日本共産党の求めている社会主義であり、ソ連や中国の社会とは全く違うということだ。面白い。
いまジェンダー平等を求めている運動が起こっている。これは女性の世界史的な復権を意味する巨大な歴史的変化であるとともに、同時にすべての人間の最も身近な課題でもある。自分たち自身の問題が、人類史と直結している課題というのは興味深い。このジェンダー平等も含め、すべての人々の自由の拡大こそが日本共産党がめざしている社会主義なのだというのは、多いに語っていくべきものだと思う。

日本の資本主義は、極端な人口減少の中にある。この人口減少は、今ここにある危機であり、日本の資本主義社会が持続可能性を失っていることを、根本的に問いかけている。
日本の資本主義はこのままでいいのか。金権腐敗の自民党が、企業からお金をもらって、大企業の言いなりになって政治を動かした結果、国民の貧しさと苦しさが増大している。こんな歪んだ政治を続ける先に日本の未来はない。
国民主権を実現するためには、どうしても企業団体献金の全面的な禁止が必要である。金と利権で政治を動かしてきた結果、国民の望まない政治が横行し、30年間、経済が発展しなくなった。このような政治に終止符を打つことが問われている。
少なくともヨーロッパの国々の多くは、日本以上に自由と民主主義という点で進んでおり、ある程度国民の意思が国会に反映し、政治が行われている。この民主主義の差が、社会保障の差になって現れており、日本との経済的な格差となって現れている。

党大会の報告は、色々なことを考えさせてくれる。面白い。真理と真実のみがたたかいの力。日本共産党の精神はここにある。国民の現実の苦難の軽減のためつくられた政党は、一致点で一緒にたたかうという統一戦線を思想としているので、純粋さと柔軟さと優しさをあわせもっていると思っている。ほんとに面白い。


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雑感,日本共産党

Posted by 東芝 弘明