令和7年度かつらぎ町一般会計予算に対する反対討論

雑感

今日行った一般会計の反対討論を載せておく。この討論は日本共産党の論理で討論したものではなく、国民主権、住民主権という視点で官民連携というかつらぎ町の事業運営の本質に関わる点を批判したもの。賛成する事業が多いか少ないかで賛成や反対を決めているのではない。町政運営の本質がどこにあるのか。その点を見極めて討論を組み立てている。

後は読んだ人の評価を受ける。批判にも耳を傾けたい。姿勢が改まらないまま町政を進めるのは「やばい」と思っている。

議案第57号 令和7年度かつらぎ町一般会計予算に対する反対討論を行います。
町は、官民連携を基本に町政運営を行っています。この手法は、かつらぎ町の歴史にはなかったものです。
官民連携を基本に町政運営を行うことには明確に反対します。それはなぜか。答えは明瞭です。主権は国民及び住民にあります。官民連携によって住民主権が貫かれていないのは大問題です。株式会社は、営利を追求する組織であり、このような組織をまちづくりのパートナーにするのは、根本的に間違っています。
行政にとってまちづくりのパートナーは住民であり、如何にして住民自治を活性化するか。ここにまちづくりの正否がかかっています。企業と行政の知恵が、住民を導くのではありません。

ごく一部の人間と企業の知恵による行政運営が、歪みを生み出しています。この歪みが典型的に現れたのが、アクアイグニスの企業誘致です。
令和7年度の予算には、アクアイグニスの誘致事業について、1億3307万6000円で販売する予算が計上されていました。これは用地買収の必要経費2億5289万4000円から1億1981万8000円を差し引いたものでした。しかし、この予算は私の指摘により、特定の企業に対する利益供与に当たることが確認され、同時に企業との間で協議が整っていないという理由で取り下げられました。
この事業は、令和4年9月、アクアイグニスとミモナとかつらぎ町長による口頭の約束によって2億4000万円の買収予算が組まれるところから始まりました。
アクアイグニスの誘致事業には、すでに2億5000万円以上の予算が使われており、今年度もこの事業には397万4000円の予算が組まれています。

用地を販売しようとした段階で、事業計画がまったく具体化されていないのは、異常だといわなければなりません。最初から特定の企業を相手にして、用地の買収を行ったのですから、どのような事業展開を行うのかは、最初の段階から具体化されるべきでした。しかし、そういうことには全くなっていません。ごく一部の人間による意思決定のまま用地買収がなされただけというのが、この事業における官民連携の実態です。
用地の転売事業によって、土地を手に入れる企業が、環境整備の全てに責任を負うことになります。現地への進入路や交差点の改良、下水の設置、排水路の改修など、企業が責任を負うべき負担は極めて大きく、前途には大きな困難が横たわっています。農地造成だけを行った土地に建物を建てるという施設建設だけでも、課題は大きいと思われます。
私は、この企業誘致については協定を結ぶべきだと提案し、企業負担の重さも指摘してきました。昨年の10月には、事業を推進するために、町行政の中に事業推進の集団体制をつくるべきだと指摘しました。しかし、私の指摘もむなしく、本格的な取り組みはなされませんでした。このまま進めばこの事業は失敗すると言わなければなりません。

このような懸念は、地域優良賃貸住宅の建設の在り方にも表れています。国道からのアクセス道路の検討の必要性は、私が指摘したものであり、検討に入ったのは今年なってからです。妙寺地域からスーパーと衣料品店が撤退した状況のときに、私は事業の再評価を求めました。今年の5月末にはドラッグストアが撤退することが明らかになりました。それでも、町として事業の再評価は行われず、民間企業からの参入提案に期待するというのは、いかがなものかと思います。
それは庁舎建設にも言えます。妙寺地域でスーパーと衣料品店が撤退し、ドラッグストアの撤退も明らかになっている中で、賑わいを創出することが如何に難しいか。だから尚更、賑わいをつくりたい、活性化したいという町の気持ちは分かります。しかし、その思いだけで「計画を再検討すべきではないか」という提案を無視していいというものではありません。

私は、今行っている様々な事業に対し、多面的な検討を行うことを求めます。今からでも軌道修正はできます。行政として徹底的に住民への説明責任を果たしつつ、住民の意見を受け入れれば、活路は開けるのではないでしょうか。
本来、住民主権を貫く努力をすれば、事業の計画段階から住民の多様な意見を受け入れ、深く検討することになります。わが町に欠けているのは、この視点だと思います。

地域公共交通の計画策定については、実証運行の成功を望むとともに、精査の上で、よりよい計画ができることを期待します。体育館の空調設備を4つの小学校と2つの中学校、三谷こども園、かつらぎ体育センターに設置することは素晴らしいことです。道路整備の3か年計画を立て町道の維持補修工事と町道改良工事に予算を増やしたことは喜ばれると思います。西部公園がいよいよ完成することは嬉しいことですし、消防団員の報酬額を抜本的に見直したことは画期的です。ハザードマップと地域防災計画の見直しも重要だと思います。三谷公民館が住民の意見を積極的に取り入れて建設されることは、素晴らしいと思います。文化財拠点施設が整備されることにも夢と希望を感じます。

主権は住民にある。住民自治の活性化を図りながら、住民とともにまちづくりを進める。この基本に立ち返ることを重ねて求め、私の反対討論と致します。


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雑感

Posted by 東芝 弘明