先細る地方自治体の選択肢

雑感

18歳で日本共産党に入り、23歳で党の職員になり、30歳でかつらぎ町の議員に立候補し当選した。それ以後、共産党の議員として65歳になった。35年間、議員を続けている。最近は、10年年上で先輩だった宮井議員の仕事を引き継いで、議会改革のため、条例案などを作成し、議会の中で丁寧に議論を続けている。政治倫理条例案と議会ハラスメント条例案の検討も準備している。

18歳で高校を卒業し、半月も経たない3月14日、日本共産党に入党した。「夜間大学には科学的社会主義を学びに行く」、そう決意していた。大学1年生のときに1年かけてマルクスの資本論に沿って、経済原論の講義を受けることができたのは、今から思っても幸せだった。
そのころは、ほんとに頭でっかちだったと思う。世間知らずの18歳が、しかし、マルクスの理論に触れて、資本主義の社会の仕組みを知り、その深い理論を知ったことは幸いだった。母が癌で死んで、数年のうちに兄妹がバラバラになってという人生が翻弄されるような出来事があったり、失恋の苦痛を深く味わったりしたが、30歳になって議員になった。

議員になってから保守系議員の方々と接することになり、世間に対するものの見方が徐々に広がってきた。共産党に入って学んだことが、具体的な事実の裏付けをもって、さらに深く理解できるようになった。それは、科学的社会主義の理論的な正しさを豊かに把握するプロセスでもあった。
日本共産党の議員として地方政治の最先端で、真剣に努力してきたことが、自分を形成してきた。それは幸せなことだった。

科学的社会主義という言葉で表現される日本共産党の論理は、客観的な事実の分析の仕方、ものの見方考え方を与えてくれ、物事の発展方向を見据える力を与えてくれた。きちんと物事の本質を把握できたときは、その物事の発展方向が見えることを体験してきた。こういうことができた根底には、唯物論と弁証法という哲学があった。

客観的な事実をできるだけ全面的に深く把握していくと、一つのものの中にある相反する二つの側面が見えてくる。徹底的な唯物論は、その物事が動いているメカニズムを明らかにする。物事は弁証法的に存在する。物事の弁証法的な関係が見えてくると面白い。

日本社会の劣化が進んでいる。地方は、戦後政治が第一次産業を軽視してきた結果として、衰退の中にある。米不足が明らかになって、減反政策、生産調整、農業の規模拡大、家族経営の軽視などの農政が問われ始めている。食料自給率、カロリーベースで38%。これが日本の現実だが、そういう方向に日本をもってきた政治の根本が問われている。先進国が第二次世界大戦の教訓として、徹底的に農業を保護し育成してきた歴史と、日本は真逆の方向を選択した。この誤りは大きい。

それなのにアメリカの軍事戦略に組み込まれたまま、中国の脅威を唱えるアメリカの手先になって、軍備増強を行い、ミサイル基地をつくり、戦争準備を具体的に進めている。
アメリカのトランプ政権は、中国との軍事衝突の可能性に触れ、日本の役割分担を求めるまでに至っている。こんな食糧自給率で戦争を維持できると考えている自民党的な政治は、全くのお花畑的状態だろう。中国と戦争をして、今の日本は勝てるわけがない。アメリカとの戦争に勝てる可能性を追求して、ハワイの真珠湾攻撃を行った歴史を、今度はアメリカの操り人形として演じようとしている。歴史上発生した惨劇を、もう一度繰り返したいとでもいうのだろうか。
戦争準備を自分ごととして捉えないと、国民は再び戦争に巻き込まれる。政治はもうそこまで来ている。

科学的社会主義という理論は、こういうことに対してタブーがない。事実をありのままに捉え、それに基づいてものを考える。時代の本質をどう捉えるのかという点で、制約のない考え方、考え方の基礎に科学をおいている点に優位がある。

和歌山県知事選挙の投票日だった。午後6時30分過ぎに妻と2人で投票に行った。8時30分に総合文化会館に行って、開票立会人を務めた。9時44分、全ての開票が終了した。かつらぎ町の開票結果は、宮崎泉氏、5383票、松坂美知子氏907という結果だった。自民党から立憲民主党まで、全ての政党が相乗りした宮崎氏が当選した。

自民党政治の枠組みの中に地方自治体の未来はない。そこまで事態は深刻になっている。元知事の仁坂氏が、「和歌山の活性化はカジノ誘致にかかっている」と言い切っていたように、自民党的な政治の選択肢は先細りしている。博打に未来を託して何が生まれるのか。仁坂氏の言い分が正しかったとすれば、今は選択肢がないなか、迷走していることになる。それは、細い一本道を暴走する新自由主義に未来はないということでもある。
日本の社会を発展させる処方性や自民党政治とは違う道はある。その道は広く大きい。この道は戦後日本が手に入れた日本国憲法という現代憲法とともにある。国民主権と基本的人権、恒久平和、地方自治、議会制民主主義。こういう原則を守って発展させていけば、資本主義下でもまだ日本は、国民のくらしを豊かにできる。それは、戦後日本国憲法が描いてきたが、阻まれてきたものの実現になる。国民の所得を引き上げ、第一次産業を再生していく道が、本当は存在する。
もちろん、この道を進むためには、現在の超軍拡路線を止めなければならない。戦争準備と共存する平和なんてないし、国民のくらし優先の政治なんてない。
官から民へというかけ声の下、何もかも商品化し、その商品を買えというのが新自由主義だろう。お金を持っていない人は、選択肢さえも与えられない。こういう考え方が地方自治体の中に入り込んできている。県民のくらしに沿った政治を考えると、国政の転換がどうしも課題になる。
自民党政治という先細っていく選択肢の中で自治体がどうなっていくのか。そんなことを考えた。


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雑感

Posted by 東芝 弘明