資本主義の搾取の仕組み
久しぶりに経済学(資本論の解説)の講師を引き受けた。搾取の仕組みまで説明して議論した。資本主義の搾取の仕組みを理解するためには、労働力が商品として企業に購入されていること。労働力商品の価値は、養育費、教育費、娯楽費、衣食飲住の費用など生活資料の価値の総体(「労働力商品の再生産に必要な生活資料の価値の総体」)だと指摘されている。この労働力商品の価値を生み出す消費は、同時に企業にとっては商品の生産になる。一方、企業は労働契約で1日8時間労働、月○日雇用、休暇は○○という規定で働き賃金を得ている。労働者には賃金=労働力商品の価値と見えている。
賃金が労働力商品の価値どおり支払われていても、企業は剰余価値(利潤)を得ることができる。ここに大きな謎がある。
契約は成立し、法律上の違反はない。ではどうして、企業は賃金を支払っているのに利潤を得ることができるのだろうか。この謎を解明したのが、マルクスの資本論だった。労働力商品の消費、つまり企業の側からの生産に従事する労働時間は、労働力商品の価値以上に新たに価値を生み出す。賃金に匹敵するような商品生産の時間が、たとえば5時間だとすると、8時間労働の内の3時間は、労働力商品の価値以上に商品(たとえば自動車産業の場合は車)を生産している。労働力商品の消費は、労働力商品の価値以上に新たな価値を生み出す。ここに資本主義社会の搾取を解くカギがある。
現代日本で労働者の生活が物価高の中で苦しくなり、賃金を引き上げてほしいという要求が強く出されている。この要求の本質は何か。今受け取っている月いくらという賃金とな何か。日本社会における労働力商品の価値というのは、ある程度計算すれば想定されるが、この価値に見合うだけの賃金が支払われていないので、賃金を受け取っても生活が苦しいのだ。子どもは1人とか、子どもはもちたくないとか、2人が精一杯だとか、3人は無理だとか、3人目の子どもは高校を出たら働いてほしいとか。こういう実態は、賃金の低さを表している。夫婦共働きで生活が厳しい家庭も多い。
結局、労働者の賃金は、社会全体の階級闘争の結果として決まる。1日8時間労働の賃金が労働力商品の再生産(次世代の労働力の再生産費も含む)にふさわしいものになっていないのは、労働者側のたたかいの力が弱いということでもある。日本の労働組合の多数は、労使協調の路線をとっており、会社と一体で労働者を支配しているようなところがある。こういう組合のたたかう力は弱い。
マルクスは、労働力商品が価値どおり支払われていたとしても、資本主義社会では搾取がおこることを明らかにした。これが「資本主義搾取の秘密の暴露」と呼ばれるものだ。
現代社会でも商品を生産して販売する過程が、一番利益率が高い。なぜ企業は商品を仕入れて販売する商業よりも、商品生産の方が利益率が高いのか。こういうことを考えると面白い。
車販売を行っているディーラーは、車のメンテナンスと修理の部門を持っている。ここには労働が伴っている。この分野の利益率が高い。車という商品の販売の利益率は、このメンテナンスや修理と比べると低い。こういう仕組みで会社は成り立っている。
マルクスの資本論が解明した労働価値説と商品生産の仕組みの解明は、現代社会を具体的に読み解く力になる。どうして巨大な企業は商品生産を事業の中心に据えているのか。なぜ第三次産業である商業部門の賃金が安いのか。スーパーマーケットは、正社員が極端に少なく、パートで成り立っているのか。資本主義社会の価値の源泉はどこにあるのかを知れば、そういう仕組みも見えてくる。
面白い。











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