厚化粧の裏の顔が見えてきた

雑感

安倍さんの辞任の後、菅さんが総理の最有力候補になって、事実上菅政権が誕生することを前提に日本が動いている。なぜ菅さんか。答えは明白だと思われる。森友問題、加計問題、桜を見る会、河合杏里参議院議員の大量買収事件など、安倍さんが関わってきた事件が目白押しで、かなりやばい展開になってきている。森友問題も亡くなった官僚の婦人が裁判を起こしているし、桜を見る会では800人もの後援会員を招待し、反社会的勢力まで参加していたことが明るみになっている。河合杏里さんの事件では、買収の事実があったかどうかはかなり明白で、1億5000万円もの費用がどこから出て、安倍総理がどう関わっていたか。関わりの深さが問われる事態になっている。

こういう状況のもとで、コロナ対策がまともにできなくなって、国会を閉じた後はほとんど何の対策も講じてこなかった中での安倍さんの辞任だった。病気による辞任だったが、明らかに追い詰められて止めざるを得ない形になった。

行き詰まった安倍政権をどうするか。政権の中枢は、みんな安倍さんをかばって政権を運営してきたので、悪事を暴かれたら政権の存立に関わるので安倍政治を全面的に維持する選択肢しかなかったと言うことだろう。その結果として菅義偉官房長官に次期総裁の白羽の矢が当てられた。

菅さんは受けて立った。安倍さんの病気による辞任と苦労人としての菅さんの人柄をクローズアップして人気を博す。これが政権中枢とマスメディアの共同合作のシナリオだった。新聞は安倍政権とは何だったのかという特集も組んだりしたが、テレビは総裁候補の政治家個人の人柄を報道し続けた。安倍さんが辞任したら内閣の支持率が上がり、菅さんを総裁にという世論は70%を超えるに至った。

ここまでは、政権中枢のシナリオどおりだった。しかし、菅さんが政治について語り出すと暗雲が垂れ込めはじめた。「消費税増税」発言、「自助、共助、公助」発言が批判されはじめた。コロナ禍の中で自殺者が増え、生活保護申請が増えはじめている。日本経済については、「今年の第2四半期(4月から6月)における日本の国内総生産(GDP)が、前年同期対比で「27.8%(年率)減少」した。これは1955年の統計作成以降で、史上最大規模の減少幅である」(Yahoo!ニュース 2020年8月17日)となって、政治経済の舵取りが真正面から問われている。

この中での安倍政治継承と自己責任論の展開は、「空気を読めない」発言になってしまった。マスメディアと政権中枢がお膳立てした厚化粧が剥がれ落ちるのは時間の問題ではないだろうか。

自民党は、自浄作用を持てない政党になりつつある。安倍政権の7年8か月は、アベノミクスという的外れの政策展開を行って、富裕層と大企業だけを潤し、トリクルダウンも起こらない中で、国民生活は悪化し続けた。消費税増税によって国民生活が落ち込んだ中で、コロナ禍となった。アジアと比較しても日本経済の落ち込みはひどい。テレビは、パンケーキ好きの菅さんを報道するのではなくて、新型コロナウイルスへの対策や経済運営について、日本社会の進むべき方向について問い質すべきだろう。苦しみの根源に目を向けて、政治に何を求めるべきなのかを問い質さないと、日本の未来は見えてこない。

安倍政権の継承というのは、新自由主義的な路線の継承であり、自己責任の徹底と政治の社会保障からの撤退、縮小を意味する。すでに医療現場に対して、今までの政策を転換するのではなくて、さらに病院のベッドを減らし医療を縮小する方向で動いている。コロナ禍の中で医療や介護の体制が脆弱なことが明らかになり、保健衛生にも大きな課題があることが明白になった。その問題をどうするのかが政治に問われているのに、自民党からのアナウンスはないに等しい。

石田真敏集議院議員の後援会が、自分の選挙区間内に折り込みチラシを入れた。コロナ対策は、ワクチン開発、行動変容、感染防止対策、経済対策を書いているが、コロナ後の社会として書いているのは、東京一極集中の是正のために、デジタルトランスフォーメーションとテレワーク、遠隔教育・遠隔医療を提言しているだけだ。経済の問題では行き過ぎた中国依存、防災、減災、国土強靱化だけだ。ここには医療、介護、保育、教育への言及も医療制度、介護制度の改善という視点がない。新たなビジネスチャンスが見えてきたというような内容だ。

コロナ後の日本は、新自由主義的な経済政策の転換を軸に国民のくらしを守る方向での転換が求められる。医療、介護、雇用、教育、くらし、中小企業対策、文化という新型コロナで痛めつけられ脆弱化している分野をどうするのかという視点がほしい。消費税に依存してきた日本の税制のあり方を累進課税と直接税を中心に切り替えることも問われている。そうでないと国民の幸福の条件は整わない。

自民党の中枢とマスメディアが合作して菅政権の姿を覆い隠し、厚化粧して見せたのを、事実という澄んだ水で落としながらの選挙になる。仮面のような厚化粧の裏にある「お友だち政治」「利益共有の護送船団」を表に出して、それに変わる転換を野党はしまさなければならない。立憲民主党が新自由主義からの脱却を掲げたことによって、日本共産党とともに新自由主義からの転換という太い合意が生まれつつある。
内需拡大と中小企業の育成、社会保障の充実による経済循環の拡大と地方の再生。消費税に頼らない税制の改正による国家財政の立て直し。希望はこちらにある。


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雑感

Posted by 東芝 弘明