恐れないで真実を貫ける政党

雑感

日本共産党の議員になって32年が経った。18歳で党に入ったぼくは、かなり頭でっかちの党員だった。「党員になって科学的社会主義を学びたい」という気持ちが強かった。和歌山大学の経済短期大学部は夜間の短大であり、そこには近代経済学とマルクス経済学の2つが肩を並べて講義として学べるようになっていた。ぼくは、マルクスの資本論を実に丁寧に講義してくれる授業を、毎回ワクワクしながら学んでいた。資本主義の搾取の仕組みというところは、教授に呼び出されて、階段教室の一番大きなところで、「説明しなさい」ということで説明したこともあった。そういうことがあったので、ぼくを中心に学習会も立ち上がった。

マルクスの経済学を学ぶためには、科学的社会主義の経済学を学ぶ必要があるということが見えてきたので、哲学を集中的に学んだ。その中でレーニンの「唯物論と経験批判論」を半年かけて読んだりした。

日本民主青年同盟の専従になったのは20歳の1月。まだ大学に通っているときだった。20歳になりたてのときに、民青同盟の中央学校が伊豆で行われ、ほぼ1か月ほどみっちり時間をかけて学ばせてくれる機会があった。このときの講義の多くは印象深いものだった。

哲学の基本は、志位さんが語ったとおり、「事実から出発して法則を明らかにすること」にある。哲学の分野に史的唯物論という理論がある。全ての物事には歴史があり、歴史を学べばそこから発展の法則をつかみ取ることができる。物事の連関と連鎖をつかみながら発展の歴史を学べば、これから先それらの物事がどう発展するのか見え始める──これが史的唯物論のひとつの視点だ。史的唯物論が、自然科学と同じように人間の歴史にも発展の法則があることを明らかにした功績は大きい。

日本共産党に入り、日本共産党が好きになったのは、一番重要なのは物事の客観的真理(事実といってもいい。事実を構成している物事の本質と真理は深く関わっている)であり、労働者階級はこの真理に忠実であってはじめて戦いに勝利できるというものだった。この考え方は、表面的な損得や利害によって物事を判断するのではなくて、そこに客観的な真理があるかどうか。それに従って物事を考えるかどうかが、何よりも大切だという点にある。

レーニンは、資本主義社会において、真理は党派性を帯びると書いた。真理を何よりも大事に、論理を組み立てていけば、この真理は資本主義社会のもとでは党派性を帯びてくる──真理が党派性を帯びるというのは、こういう意味だ。

「原発村」には多くの科学者が群がっている。
しかし、本当に原発の真実を突き止めたいと思って、科学を探究していくと、今の人類の科学の到達点では放射性物質をコントロールしきれないという現時点での限界に突き当たる。このことを率直に認めれば、原発はすべて廃止しなければならない。ここには客観的真理がある。この科学的な立場を貫くためには、「原発村」に群がっている勢力に対して、「原発を廃棄せよ」ということを主張しなければならない。「原発廃棄」を唱え続けるには勇気が必要だ。この勇気を支えるのは、この結論は科学的に正しいという確信だ。ガリレオ風にいえば「それでも地球は回っている」ということだろう。

日本共産党は、真理に忠実に理論活動を組み立てる。そこには迷いがない。迷いなしに出てくる問題のひとつは、アメリカの支配をなくし日米安保条約を廃棄しなければ、日本の発展はないという命題だ。
日本社会だけが先進国の中で唯一、GDPが伸びない国になり、賃金が減り続け、子どもの人口が減少している。このままのテンポで行けば日本は消滅すると言われるまで危機が進行している。
どうして日本だけがこんな矛盾のただ中にあるのか。原因のひとつは、アメリカの政治的、軍事的、経済的、外交的支配にある。そして、この政治的、軍事的、経済的、外交的支配を規定している法的な根拠は、日米地位協定を含む日米安保条約しかない。
日米同盟が日本の基軸なんてことを言っていると、日本は確実に崩壊の道をひた走る。結局外国に主権を侵害され、振り回されている国は、経済的な自立さえ奪われ衰退するということだ。日本を発展させたければ、この不都合な真実を直視しなければならない。

日本の政党の中で日米安保条約の廃棄とアメリカとの平和友好条約の締結を方針として掲げている政党は日本共産党だけになっている。日米安保条約廃棄。この立場はやはり党派性を帯びている。
最近、池上彰さんが、日本共産党が伸びるためには日米安保条約の廃棄という方針を転換して現実路線を選択すべきだという意味のことを書いていた。日米安保条約の問題が視野に入らない池上さんは、日本の衰退の原因をまともに直視していないといわざるを得ない。おそらく、「日米安保条約を廃棄しなければ、日本の経済的発展も自立もない」なんてことを、池上さんが語り始めたら、テレビの画面から消えてしまうだろう。

日米安保条約を廃棄しないと日本の未来はない。そのことをまっすぐに見つめ、主張できる日本共産党という存在は、極めて貴重だと思う。恐れないで真実を貫くことのできる政党。ここに日本共産党の魅力がある。


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雑感

Posted by 東芝 弘明