分かりにくい健康保険証をめぐる話

雑感,出来事

「マイナンバーカードを返納してきた」
電話の向こうで相談者はそう言った。その後、町の広報の仕方が分かりにくいと言い出した。
保険証が廃止されるので、急いでマイナンバーカードと保険証を結びつける必要があるという理解が広がっているのだという。

  1. 12月2日に行われたのは、「新しい保険証の発行はしない」ということ
  2. 急いでマイナ保険証(マイナンバーカードと保険証の紐づけ)を作る必要はない。
  3. 現行の保険証は、引き続き(最長1年 来年の12月1日まで)使える。かつらぎ町の場合は、来年の3月で国民健康保険の被保険者証の期限が切れるので三月末まで、今までの保険証が使える。したがって保険証は廃棄してはならない。
  4. 12月2日以降、保険証を紛失した人は、役場窓口で資格確認書を発行してもらえる。
  5. マイナンバーカードは持っているが、マイナ保険証にはなっていない人(健康保険証とは結びつけていない人のこと)、マイナンバーカードを持っていない人には、保険証の有効期限が切れるまでに資格確認書が発行される。
  6. 資格確認書は、健康保険証と同じ役割を果たすので、安心してほしい。
  7. マイナンバーカードと健康保険証と結びついたマイナンバーカードを持ってる人も、申請理由を書けば資格確認書を発行してもらえる。
  8. マイナンバーカードの返納はいつでも可能であり、返納した人には資格確認書が発行される。
  9. マイナンバーカードを持っている人が、行政によって勝手に保険証と結びつけられることはない。

かつらぎ町の12月広報の3ページの特集記事を読んでも上記の9点を正確には確認できない(以下参照)。

広報は、まず「12月2日から現行の保険証は新たに発行できなくなります。ただし、現在お使いの保険証は、記載の有効期限まで利用できます」と書いている。この書き方は分かりにくい。
「12月2日から新たに保険証の発行はできません。ただし、現在お使いの保険証は、記載の有効期限まで使用できますので、あわててマイナンバーに保険証を登録する必要はありません。保険証は廃棄しないでください」──こう書いてほしい。とにかく住民の不安を解消する必要がある。

「同時に、マイナンバーカードの取得は任意なので、返納も新規登録も可能です。返納した人に不都合が生じることはありません。マイナンバーカードに保険証を紐付けなくても、保険証と同じ役割を果たす資格確認書が発行されるのでご心配はいりません。もし、保険証を紛失した人は、役場に来ていただければ、資格確認書を発行します」

こういう情報を伝えてほしい。表1に書いている区分は、読んでもよく分からない人が多いだろう。

あと、本当に詳しく知りたい人は、マイナンバーカードのメリットだろう。現時点でほとんどメリットはないというのが本当の姿。マイナンバーカードで確認できる健康に関する情報は、過去の情報なので新しい病気が発生した場合、ほとんど役に立たない。リアルタイムでマイナンバーカードで病状が確認できるようになるには、医療機関が全て電子カルテに移行し、その情報をリアルタイムで反映するシステムの構築が必要になる。これは近未来の話になる。

デメリットは、医療機関の悲鳴だろう。全国の保険医協会の発表では、マイナ保険証を使用している7割の医療機関でトラブルがあるのだという。こんなにトラブったら、メリット所の話ではない。不具合によるデメリットは深刻だ。

もう一つのデメリットは、マイナ保険証の場合、電子証明書の更新期限が5年、カード自体の更新期限が10年というハードルがあるということだ。この2つのハードルをクリアするためには、行政の窓口に行って手続きする必要がある。この煩雑さををなくすためには、マイナ保険証を解除して紐づけをやめればいい。そうすれば資格確認書が送付される。マイナンバーカードを返納するかどうかも、この問題が大きい。3月から運転免許証との紐づけが始まる。免許証の有効期間(1つ、3年ないし5年)とマイナンバーカードの有効期間(5年と10年の2つ)の3つを管理する必要がある。さてどうするか。

カードリーダーの精度の低さがトラブルの原因になっている。ぼくの知っている例では、医療機関で何度マイナンバーカードで認証を試みてもエラーが発生した。医療機関は「カードに原因があると思います」と言い、その方は役場に行った。役場は「カードには問題はありません」と言った。

じゃあ、どうすればいいの?──住民には判断ができない。


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Posted by 東芝 弘明