「人間失格」の感想が飛び出した

文学

090404_045__MG_8287 by oda.shinsuke

「好きな作家は?」
役場で色々な人にこんな質問を投げかけてみた。
「ごめんなさい、あんまり本を読まないんです」
「乱読なんで、誰がというのはないです」
「ここ1年半ぐらい、時代小説ばかり読んでます。本には結構お金使ってますよ」
あんまり本を読まないという反応がだいぶん返ってきた。
そうなんだ、本読まないんだと思いつつ、役場の中を歩き回って赤旗新聞の集金をした。
結構読んでいるという男性からは、東海林さだお、吉川英治、池波正太郎、宮部みゆき、太宰治などの話が次から次へと飛びだ出した。

横に座っていたもう1人の男性から太宰治の「人間失格」の感想が飛び出した。
「高校時代に『人間失格』を読んで1週間自分の部屋に引きこもってしまいました」
「えー、あの本を高校時代に読んだん?、よう読んだんやね。ぼくは20代の後半に読んだんやけど、10代の時に読まなくてよかったと思ったんや。読んでいたらどうなっていたことか。考えたら恐ろしい」
「ほんまですよね」
「ぼくの知り合いに高校生の時に読んだ女の子がいて、『1週間誰とも口をきかなかった』って言ってたんや」
「それと同じでした」
彼は、膝をたたくような感じでそう言った。
「でもね。中学生の子がね。『人間失格』を読んで、突き放した感想を書いて読書感想文の最優秀賞になってたことがあったよ。それ読んで、こんな読み方ができるなんてすごいなって思ったんや」
昨年だったか、ぼくは新聞で読んだ「人間失格」の感想文のことを紹介した。

「走れメロス」などは、なんだか薄っぺらく感じた。暴君が2人の友情をみて改心するのがどうしても納得いかなかった。でも「人間失格」には、10代の青年を引き込む魔力のようなものがある。今までそう感じていた。
「好きな作家は?」という問いからこんな話になったのは面白かった。


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Posted by 東芝 弘明